OLYMPIAN2019
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11スタイルを貫き、試合で最大のパフォーマンスを発揮するためにどうすべきか。日々それらを考えながら、トレーニングに取り組んでいます。不安は常にありますが、それは練習をして取り除いていくものです。決して、焦りはありません。 東京オリンピックに、自分の人生の全てを捧げてもいいという気持ちでいます。オリンピックでいいパフォーマンスを見せられるように、自分の柔道を磨き上げていくのが今やるべきこと。誰にも負けない気持ちと強さをあと1年で身につけたいと思います。と思います。——リオデジャネイロオリンピックの閉会式、東京2020大会の紹介シーンの映像に阿部選手が取り上げられていました。それだけ期待されている証だと思いますが、注目されることについてはどう感じていますか。阿部 オリンピックに出場していない自分の映像を、そのような大舞台で使っていただいたことは素直にうれしい気持ちでした。2020年に向けてメディアにもいろいろ取り上げていただけるのは光栄なことですし、自分の存在をたくさんの方に知っていただく機会を数多く与えていただき、すごくうれしく思っています。 JOCのシンボルアスリートに選んでいただいていることも、柔道だけでなくスポーツ界全体の顔として大きな存在にならないといけないと自覚しているので、シンボルアスリートとしての誇りを持って、その名に恥じないようにやっていきたいです。自分の柔道を磨く——阿部選手が感じる柔道の魅力を教えてください。阿部 柔道をしていると自然と礼儀が身につく。これは大きな魅力の一つだと思っています。 相手を豪快に投げるのも柔道の醍醐味だと思うので、皆さんにはそこを注目してみてほしいです。試合に勝たないと意味がないので、ポイントをとって勝ちにいくのも大事な戦略ですが、僕は相手を投げてやろうという負けず嫌いな性格で、常に強気で一本をとりに行く柔道を心がけています。練習してきた技が決まり一本をとった瞬間は、足の裏から体全体に鳥肌が立ってしびれる感覚で、本当に気持ちいい。「いつ投げるのか」と、ワクワクドキドキした気持ちで見ながら楽しんでほしいです。 そして、そんな自分の存在を、子どもたちをはじめ多くの人に知ってもらい、柔道をもっと広めていきたいと思っています。——東京2020大会が近づいてきています。今の気持ちを聞かせてください。阿部 2013年に東京オリンピックの開催が決定した時、逆算すると2020年には22、23歳ぐらいで年齢的にも最高のタイミングですし、その舞台で金メダルをとるしかないと思いました。 まず今は、8月の世界選手権を目標に準備をしています。世界選手権で3連覇を達成して、いい流れで東京オリンピックにつなげていきたい。3連覇を達成するためにどうすべきか。相手を投げて一本をとるという自分らしい柔道の阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日生まれ。兵庫県出身。小学1年、6歳で柔道を始める。中学2年で全国中学校柔道大会55kg級優勝、3年では60kg級で勝って2階級制覇。アジア・ジュニアユース選手権大会でも金メダルを獲得するなどで頭角を表す。2014年南京ユースオリンピック柔道男子66kg級ではオール一本勝ちで金メダルを獲得。高校2年、3年のインターハイではオール一本勝ちで2連覇を達成。高校3年時の15年にはJOC(日本オリンピック委員会)ネクストシンボルアスリートに選出される。大学進学後、世界選手権では17年、18年と金メダルを獲得し、連覇達成。JOCシンボルアスリート。日本体育大学所属。

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