OLYMPIAN2013
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27るなって(笑)。ケン そう言えるだけの自信がそれぞれにあったということじゃないですか。とろうと狙ってとったメダルだから大きいですね。桐生 練習をしてきたし、バトンに関してはミスがゼロだったので不安はなく、しっかりと渡せる自信がありました。——ケンブリッジ選手は内側からボルト選手に抜かれました。ケン 最初は自分がちょっと前にいて、並ばれたときは「オッ」と思いました。でも最後はボルト選手が速かったですね。速いのは分かっていたけど、やっぱり引き離されたのは悔しかったです。——チームメイトの関係はどういう感じでしたか。ケン 普段はメンバー全員、本当に負けたくない相手だし、絶対に勝ちたいと思っているけど、こうやってチームになると頼りになる。みんな走り負けしていなかったので、僕は4走で安心して待っていられました。冷静にマークを見て出られたのは、そこを信じていたというのが大きいと思います。桐生 勝負事で勝ち負けがはっきり出るので、仲が悪く見られがちですが、僕らはそんなことないです。手にした経験を糧に——2人は初めてのオリンピックでした。直前に海外遠征もしていましたが、準備はどうでしたか。ケン 取材は多かったですが、あまり気にせず普段通りにやってきました。ヨーロッパ遠征でも、100mで2位でしたが9秒台の選手と初めて走ってある程度手応えを感じましたし、200mでは勝てたので自信を持ってオリンピックへ向かうことができました。桐生 日本にいたら私生活でもちょっとしんどいところはありますが、ヨーロッパは普通に楽しくていい気分転換になりました。——オリンピックについての印象は。桐生 いろいろな人から「メダルをとったら人生が変わるぞ」と言われましたが、それ以外、特別オリンピックについて聞くことはなかったですね。ケン 山縣さんにチラッと「オリンピックってどんな感じですか」と聞いたら、「4年前なのであまり覚えていない」と言われて。僕も実際に経験してみて、4年後はそんな感じになっているのかなと思いました(笑)。——想像と違っていたところは?ケン 普段試合では全然緊張しないのですが、オリンピックは緊張すると思っていました。でも意外にも、全く緊張しませんでした。予選のときは観客席のウエーブを見て「すごいな」と思って見ていたくらいです。余裕を持ってオリンピックに挑めたので自分でもビックリしました。桐生 盛り上がっている感じがよかったですね。僕はそっちの方が好きなので。ケン 自然にテンションが上がってきて、それがいい方向に出たんでしょう。——今回のオリンピックで得られたものは。ケン 経験です。100mの準決勝でガトリン選手が隣じゃなかったら違ったのかなと思いますが、今はそれを経験できてよかったと思いますし。ボルト選手の隣で走るのもいい経験になりました。桐生 今年は中盤までの走りに取り組んできましたが、あまり本気で走っていなくてもついて行けるなと感じました。筋トレもできて桐生 祥秀(きりゅう・よしひで)1995年12月15日生まれ。滋賀県出身。中学進学を機に陸上を始める。2013年、高校3年時の織田幹雄記念国際陸上競技大会男子100m予選で日本歴代2位の10秒01をマーク、一躍脚光を浴びる。16年日本学生個人選手権男子100m準決勝で自己ベストタイの10秒01をマークしオリンピック派遣設定記録を突破。リオデジャネイロオリンピックでは男子4×100mリレーで3走を務め、銀メダル獲得に貢献。東洋大学所属。ケンブリッジ 飛鳥(けんぶりっじ・あすか)1993年5月31日生まれ。ジャマイカ出身。2歳で日本に移住。中学進学を機に陸上を始める。2016年東日本実業団陸上競技選手権男子100m予選で10秒10をマークしてオリンピック参加標準記録を突破。日本選手権男子100mで優勝し、リオデジャネイロオリンピック出場権を獲得。16年リオデジャネイロオリンピックでは男子100mで準決勝進出、男子4×100mリレーでアンカーを務め、銀メダル獲得に貢献。ドーム所属。メダリストインタビュー Hero & Heroine’s Voiceないので、そろそろ取り組んでいきます。いいときと悪いときの差が激しいので、そこも意識して練習しようと思っています。——100m9秒台への期待もあります。ケン 今回のリレーのタイムを見ても、もう出ると思います。4人の誰が出してもおかしくないですし、タイミングの問題だけだと思います。桐生 一緒です。2人で話していると大体一緒になっちゃいますね(笑)。Interview & Text:折山淑美/Photo:PHOTO KISHIMOTO、岩本勝暁(Interview)
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