日本オリンピック委員会(JOC)は、10月28日(土)に東京都・毎日ホールで、「挑む 東京2020へ〜オリンピック教室 校外編〜」を、毎日新聞社との共催で開催し、抽選で選ばれた約160名が参加しました。このイベントは、東京2020オリンピック競技大会の開幕1000日前を記念して、アスリートたちに頂点を目指す意欲を語ってもらうことで、大会に向けての盛り上がりをつくることを目的に行われました。
最初に、ソプラノ歌手の新藤昌子さんによる「オリンピック賛歌」の独唱が行われた後、主催者を代表して、毎日新聞社の丸山昌宏代表取締役社長が挨拶し、同社が1908年のロンドン大会にて日本で初めて本格的なオリンピック報道を行ったことや1928年のアムステルダム大会では同社の運動部記者であった人見絹枝さんが陸上競技の女子800メートルで2位に入り、日本人女性初のメダリストとなったことなど、オリンピックとの深い縁を紹介しました。そして、「毎日新聞では、東京オリンピックに向けて報道はもちろんのこと、今後もこうしたイベントを通じて盛り上げていきたいと思います」と力強く話しました。
続いて、共催者を代表して竹田恆和JOC会長が登壇し、JOCが2011年から開催している「オリンピック教室」について概要を紹介し、第1回目の校外編開催にあたり、「皆様にとってあらためてオリンピックの意義を考えるいい機会になると思います」と話しました。そして、「東京2020大会では国民の皆様方の期待に応えるべく、各競技団体の総力を結集して全力で取り組んでまいりたいと思っておりますので、ぜひ皆様方の温かいご声援を賜りますようよろしくお願いいたします」と挨拶しました。
■生活の中にある「オリンピックバリュー」
トークイベントは2部形式で行われ、第1部ではオリンピック・ムーブメントアンバサダーを務める伊藤華英さん(競泳)と小塚崇彦さん(フィギュアスケート)が登場し、オリンピアンの小口貴久さん(リュージュ)による進行のもと、オリンピック教室や「オリンピックバリュー(価値)」などについて解説しました。
「オリンピック教室」は中学2年生を対象に、オリンピアンが自身のさまざまな経験を通して「オリンピズム(オリンピック精神)」や「オリンピックバリュー」などを生徒たちに伝え、これらの価値は多くの人々が共有し、日常生活にも活かせるものであることを、授業を通して学習してもらうことを目的としています。
小塚さんは「運動の時間(体育館)」と「座学の時間(教室)」を通じて、子どもたちが「自分たちがオリンピックとどう通じるところがあるのか、オリンピックに出ていなくても、自分たちが実際に取り組んでいることがオリンピックバリューにつながっていると体験してもらえる場だと思いました」とオリンピック教室に参加した感想を述べました。その後、小口さんが「エクセレンス(卓越)」「フレンドシップ(友情)」「リスペクト(敬意/尊重)」という3つの「オリンピックバリュー」について説明し、伊藤さんから、「私はオリンピック教室では『エクセレンス』について最初に話しています。『エクセレンス』とは、自分のベストを尽くすことから全てが始まることと伝えていて、それが大事だと伝えると、子どもたちも自分にとってベストを尽くすことって何だろうと考えてくれます」と実際の授業の様子を紹介しました。
最後に、東京2020大会に向けて、小塚さんは「皆さんと一緒にしっかりとした東京2020大会にしていけたらと思います」、伊藤さんは「今日ご紹介したオリンピックバリュー、『エクセレンス』『フレンドシップ』『リスペクト』は皆さんの生活の中にもあると思います。皆さんと一緒に東京2020大会に向かって、心を一つにできればと思います」と参加者に呼びかけました。
■東京2020大会へ オリンピアン4人が意気込み
第2部では、昨夏のリオデジャネイロオリンピックのメダリストである山縣亮太選手(陸上競技)、加藤凌平選手(体操)、伊藤美誠選手(卓球)、羽根田卓也選手(カヌー)が登壇。4選手はリオデジャネイロ大会でのエピソードや東京2020大会に向けた夢や決意などを語りました。
各選手からはライバルの存在や仲間への思いが多く語られ、陸上競技男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得した山縣選手は、「若い選手が本当にどんどん出てきていてかつてないレベルになってきています。東京2020大会で金メダルを目指すには、そういう選手に勝って、リレーメンバーに入って、レベルの高い4人で走ることが大切だと思うので、練習を頑張りたいと思います」と話しました。また、目標としている選手像を尋ねられた加藤選手は「ずっと内村航平さんを目指してやってきました。今年はけがもありましたが、裏を返せばまだ航平さんを超える人はいないとも考えられるので、まず最初に僕が超えられればいいなと思っています」と話しました。
一方、伊藤選手はともに戦ってきた同世代の選手たちについて「ライバルがいるからこそここまでくることができました。同級生にもライバルがたくさんいて、みんながいないとここにはいないと私は思っているので、よき仲間だなと思っています」と語りました。また、全日本カヌースラローム競技大会で13連覇中の羽根田選手は、東京2020大会に向けての青写真や思いを尋ねられると、「今は東京2020大会に向けて若い選手も頑張っていて、正直実力差も詰まっていると感じるので、『あぐらをかいてはいけない』という気持ちで頑張っています」と、表情を引き締めていました。
そして最後に、改めて4選手が東京2020大会に向けた決意や目標を語り、熱心に聞き入っていた参加者からの大きな拍手とともに、盛況のうちに幕を閉じました。
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