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2015.07.27 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
プレゼンに参加した5選手。左から、森脇選手、阿部選手、齋藤選手、佐藤選手、久良知選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
青木剛JOC副会長(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は7月14日、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。
 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに50社/団体71名(2015年7月9日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は、東京都との初共催で行われ、42社61名が参加しました。

 開会あいさつに立った青木剛JOC副会長は、「これまで50社71名のトップアスリートが企業の皆さま方のサポートを得て競技生活を行っております。しかし、残念ながらとりまく環境に苦しみ、現役生活をピリオドを打たざるを得ない競技者も数多くいます」と、アスリートが活躍するためには安定した経済環境が必要不可欠であることを語りました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
早崎道晴東京都オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
大前孝太郎城北信用金庫理事長(写真:アフロスポーツ)

 早崎道晴東京都オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部長は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて「(競技力を)いっそう強くするためには、アスリートの皆さんの生活基盤を整え、競技に集中できる環境が必要と考えています」と都の考えを話し、今年度から新たに始めたアスリート・キャリアサポート事業の一環としてアスナビ説明会を共同開催するに至ったことを話しました。

 続いて八田茂JOCキャリアアカデミーディレクターが雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、配属部署、国際大会での社名の使用などに関して、資料をもとに説明しました。
 採用事例紹介には大前孝太郎城北信用金庫理事長が登壇。地域金融機関である同社では、「スポーツ以外の、社会や地域の事に何か問題意識を持って考えてみること。そこに非常に理解が深いなと思えるような人」を採用のポイントにしています。現在は4選手が在籍し、イベントで模擬試合などを披露。「アスリートと一緒に街や観光をつくっていくのも大事なこと。地域にそういった人たちがいることで、地域が活性化するということも十分あると思います」と、今後イメージしているアスリートとの事業・企画展開について前向きに語りました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
夏目堅司選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
齋藤悠選手(写真:アフロスポーツ)

 アスナビ採用選手からの応援メッセージでは、パラリンピアンの夏目堅司選手(スキー・アルペン)が紹介されました。夏目選手は、競技活動資金が底をつき今後への悩みを抱えていたところでジャパンライフ株式会社への採用が決定。企業に雇用されたことで「応援を受けて、今まで意識が薄かったアスリートの自覚や責任、そして覚悟を持つという重要性を学びました。私自身も企業に雇用されることで成長できたかなと思っています」と、経済面以外でも好影響を受け、その後に行われたソチパラリンピックでの6位入賞につなげました。
 パラアスリートを採用する企業側のメリットについては、「障がい者雇用による社会的責任を果たせること」「企業の団結力を養えること」「メディア露出」「パラアスリートの支援、応援による企業イメージアップ」などを挙げました。

 最後に八田ディレクターのコーディネートのもと、5選手が自己PRのプレゼンテーション。はつらつとした選手たちの様子に、出席者からは大きな拍手が送られました。

■齋藤悠選手(スケート・ショートトラック)
「大学卒業後、多くの選手同様に引退を考えたこともありましたが、『今しかできないことを全力でやったほうがいい』という恩師の言葉に、あらためて平昌オリンピックでのメダル獲得を目指すことを決意しました。
 私はスケート競技の学生連盟で委員長を務め、多くの学生主体の大会を運営。事前の段取り確認、全体共有することや、委員長という役割を認識し全体を俯瞰で見て把握することなどを実践してきました。業務では常に情熱とゴールビジョンを持ち、周りとのコミュニケーションを大切にしたいです。感謝の気持ちを胸に、常に結果を出すという使命感を持ちながら夢を追う姿を皆さんにお見せできるよう一生懸命頑張りたいと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
久良知美帆選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
阿部宏隆選手(写真:アフロスポーツ)

■久良知美帆選手(フェンシング)
「エリートアカデミーでは総キャプテンを務めさせていただきました。競技の違う選手達と共同生活をする中で、さまざまな意見をまとめて、少しでもスタッフの方々に受け入れてもらえるよう目配り、気配りすること。それが私なりのキャップテンシーでした。大学で経験したアルバイトと海外遠征では英語の大切さを痛感しました。試合では審判にアピールをしたり、自分自身の味方につけることがとても重要だからです。
 東京オリンピックまでの5年間で、まずは日本のトップに上り詰め、技術、体力、精神面と今の自分に足りないものを鍛え、世界で戦っていける選手になります。ご採用いただいた企業にいかにして貢献できるかも、自ら考え行動していきたいです」

■阿部宏隆選手(レスリング)
「2020年東京オリンピックで金メダルを目指し、競技をしていくつもりです。社会人として大きな壁にぶつかることがあると思いますが、持ち前の継続力と忍耐力でその壁を乗り越え、信頼される社員であり競技者を目指します。レスリングでは常に向上心を持ち自分には何が足りないかを考え、その足りない部分を監督やコーチ、あるいは先輩や後輩に自ら積極的にアドバイスをもらい一緒に練習し、問題解決をしてきました。この18年間の経験は社会でも必ず生きると確信しています。この経験を生かして競技力向上はもちろんですが、企業様の力になれるように努力していきたいと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
佐藤夏生選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
森脇敏夫選手(写真:アフロスポーツ)

■佐藤夏生選手(スキー・スノーボード)
「次の平昌オリンピックでは金メダルを獲りたいと思っています。高校で単身留学したウインタースポーツの本場カナダでは毎日が必死。『間違いはしてもいい。でも同じ失敗は二度としない』と心に決めて日々を過ごしました。現地の高校ではネイティブ同等の英語力を身につけ、最優秀留学生賞を授与されました。卒業後のアルバイト先では、上司から『叱っても腐らず、必ず学習して次に生かしている』と評価をしていただきました。今の私に足りないものはより多くの海外のコースを体験し、適応していくための引き出しです。体力ももっとつけていかなくてはなりません。私は精一杯やり抜きます。どうかみなさまご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします」

■森脇敏夫選手(パラリンピック射撃・ピストル)
「私はエアピストルでワールドカップ(W杯)に挑戦しており、日本での障害者の射撃選手権では何度も優勝しています。
 W杯で好成績を残しパラリンピック出場を実現させるためにも、より安定して競技に取り組める就業環境を得たいと思い転職を決意。今回、アスナビにエントリーさせていただきました。私は20年近くシステムエンジニアとしての経験があり、業務ツールの作成やシステム補修、運用などではお役に立てるかと思っています。選手としては2020年東京大会をゴールと考えており、引退後は通常の社員として勤務させていただければ幸いです。ご期待にそえるよう頑張ってまいります」

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