公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は2月20日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の第2回アスナビ交流会を行いました。
アスナビは、オリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに43社58人の採用が決まりました。
今回の交流会は、平成24年度に続き2回目の開催。今後のアスナビの発展に向けた連携を図るため、「アスナビ」採用実績企業の経営者または担当者(25企業44人)と、オリンピック実施競技団体の役員・職員(14団体17人)らが参加して、アスリート採用企業の取り組み事例の共有と課題解決に関する情報交換が行われました。
まずは青木剛JOC副会長兼専務理事があいさつに立ち、「トップアスリートが活躍するためには練習場や宿舎、食事施設などのハード面のみならず、経済的な観点からも安心して競技に打ち込める環境が必要不可欠です。本日お集まりの皆さまの日々のサポートがトップアスリートの明日を作っています。皆さまもチームジャパンの一員であるとわれわれは考えております」と引き続きの協力を訴えました。
続いて行われた採用実績企業による事例発表では、ビーチバレーの村上斉選手を採用した株式会社ADI.Gとパラ・アーチェリーの上山友裕選手、テコンドーの山田勇磨選手、レスリングの大坂昂選手、シンクロナイズドスイミングの丸茂圭衣選手の4選手を採用している三菱電機株式会社の2社が紹介されました。
株式会社ADI.Gの浅野弘治代表取締役社長は、「村上は、選手としてのキャリアが終わったあとのために、今から身に付けておくべきことをちゃんと身に付けて仕事をやっていきたいという考えがあり、そういう方向性が一致したので入社してもらうことにしました」と入社に至ったいきさつを説明。会社にとけ込みやすいようにメンターをつけたこと、また社員の共感を得るために、試合後には勝っても負けても村上選手自身が社員に向けてメールで情報発信をするという試みを紹介しました。
続いて三菱電機株式会社の高石圭吾人事部採用グループマネジャーからは採用に関する説明がありました。「トップアスリート採用の位置づけは社内でも悩みましたが、トップアスリートという経験を積んだ人材の強みを会社の中でも生かしていこうという考え方に到達しました。競技活動に支援をするのは必要ですが、実際に競技が終了したのちの社内での活躍も期待しながら採用活動を行っていこうということで、通常の採用活動の一環として行いました」と、同社の考え方を紹介。アスリート採用に期待することとして、「競技活動を通じて培われたトップアスリート選手の強み」「社員の一体感、グループ全体の連帯感の向上」「社会貢献活動の活性化」の3つを挙げました。また、同社の人事部採用グループの小野木順氏からは、制度の運用についての話があり、社内報でアスリートを取り上げると、社員からの反応が多く寄せられたことなどが紹介されました。
事例紹介の後に行われた情報交換会では、採用実績企業とオリンピック実施競技団体の担当者が4つのグループに分かれて活発な議論が繰り広げられました。その後は味の素ナショナルトレーニングセンター施設を見学するなどし、企業と競技団体の担当者が交流しました。
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