日本オリンピック委員会(JOC)は10月28日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、アスリート社員の活用事例をテーマに「第24回アスナビ採用企業情報交換会」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関などに向けて本活動の説明会を行い、これまでに216社/団体355名(2022年10月28日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、過去にアスリート社員を採用した企業から20社30名が参加しました。
はじめに、岩渕健輔JOC理事がアスナビ選手を採用した企業への感謝を述べた後、「現役を終えてからの方が人生は長いので、競技を離れたところでの様々な方との出会いや教えがその後の人生に生きてくると思います」と語り、「アスリートからも自分たちがやっていることや自分たちが経験したことをいい形で皆様と共有していってほしい」と述べました。
■採用企業の選手活用事例紹介
続いて、採用企業の選手活用事例として、株式会社光和 総務部の石倉氏より講演がありました。株式会社光和は、これまでに体操競技(新体操)の国井麻緒選手、アイスホッケーの太田こころ選手、フェンシング(エペ)の吉松琳果選手を採用しており、トップアスリートを社員として採用する背景やアスリート社員の業務等について詳しく発表されました。
「平昌オリンピックでの小平選手のインタビューに弊社社長が感動し、アスナビ説明会に参加。その後アスリート社員の採用活動を本格的に始めました」とアスリート社員を採用した経緯を語りました。
アスリート社員の選考にあたっては「引退後もサポートしてほしいのか、経済的な一時的サポートが欲しいのか、面談した選手の中にはいろいろな思惑がありました。弊社はアスリートのスポンサーという立場ではなく、現役引退後も当社の社員として働いていただくことを前提に仕事への適性があるかを採用の基準としました」と採用の際の選考基準について説明し、「入社時に他の社員と馴染めるように、また同期としての絆を持ってもらいたい、という思いから新卒での正社員採用にこだわりました」と、アスリート社員を新卒で採用する理由についても話しました。
アスリート社員を採用したことで企業イメージの向上に繋がり、新規受注を獲得して営業ネットワークを拡大できたことや社員のモチベーションアップなど相乗効果が得られたと話しました。
また、アスリート社員が行っていた主な仕事として「採用したアスリート社員によって異なりますが、週4日、半日勤務などで働いていただいています。また、総務部で一般事務や社内の公式SNSを担当したり、社外用のPVに出演した実績もあります」と説明しました。
社内での応援体制や広報活動については「これまで採用したアスリート社員の競技の特性上、海外や地方での試合が多く社員での応援は難しかったが、今般内定したフェンシング選手で初めて応援の機会が生まれたこともあり、社員の関心も盛り上がってきています。現在、大急ぎで応援グッズを制作中です」と話しました。
■アスリート社員を採用する企業による情報共有分科会
その後、参加者全員で「アスリート活用事例」をテーマに日頃の選手の様子や現在抱えている課題、アスリート採用にかける思いなどを共有する分科会が開催され、積極的な意見交換が行われました。
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