日本オリンピック委員会(JOC)は2月18日、味の素ナショナルトレーニングセンター・屋内トレーニングセンターウエストで、「第18回アスナビ採用企業情報交換会 〜令和元年度新規採用企業編〜」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関などに向けて本活動の説明会を行い、これまでに198社/団体310名(2020年2月18日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、令和元年度に初めてアスリートを採用した企業から5社7名が参加。すでにアスリート採用をしている2社の取り組みと、採用企業への留意点が紹介されました。
はじめに、鈴木統也JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクターから、アスナビを通じてアスリート社員を採用した企業同士のネットワークの構築、選手採用後の課題の共有など本交換会の目的が語られました。
次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが動画と資料を用いてアスナビの概要を説明。そして、企業と選手の関係について「JOCアスナビチームでは、企業の皆さまにアスリートの競技活動をサポートしていただくだけでなく、社内での一体感の醸成や士気の向上など、お互いにwin-winの関係が生まれることを目指しています」と述べると、採用選手に関して「JOCでは『人間力なくして競技力の向上なし』と教育しています。ぜひ、企業の皆さまには採用選手へのビジネスパーソンとしての教育をお願いできればと思います」と、社会人としての教育を依頼しました。
続いて、各社の出席者による自己紹介が行われた後、採用企業の選手活用事例として2社の代表者が登壇。はじめに、陸上競技(棒高跳)の澤慎吾選手と、スケート・ショートトラックの岩佐暖選手を2019年4月に採用した株式会社きらぼし銀行の人事部ダイバーシティ推進室に所属する小畑さおり調査役がプレゼンテーションを行い、入社までの経緯や勤務形態、仕事内容を説明。大会や合宿のスケジュールを考慮し、月単位で出勤日時や業務量を調整していることが共有されました。また自社で作成したタオルなどの応援グッズを紹介すると、「企業名が入った物が試合会場で使えない場合があったり、競技によって横断幕のサイズが違うということがあります。グッズの作成や大会への持ち込みに関しては事前に確認してください」と注意点が述べられました。
続いて、競泳の平井彬嗣選手と小松巧選手を採用した郵船ロジスティクス株式会社人事総務部人材開発課の伊藤貴博リーダーが、2人で切磋琢磨して欲しいという思いで同じ競泳選手を採用した経緯や、アスリート社員の同期との交流について説明。「彼らの同期のメンバーは非常に仲が良く、社内の一体感の醸成に良い影響をもたらしてくれています」と、アスリート採用の有用性を述べました。また、2人が中心となって行っている社内報の作成業務について、「一般社員でも簡単にできる体操や、疲れない体づくりに役立つ食事方法などを情報発信してくれており、社員の健康増進に役立っています」と紹介しました。
この日最後のプログラムは、「情報提供とQ&A」が行われ、JOCキャリアアカデミー事業の久野孝男プランニングディレクターが、アスナビ選手採用後の労務関係と応援体制について説明。さらに採用選手の活動経費の範囲、スポンサーについて、競技団体への確認事項、社内の受け入れ体制づくり、広報対応などに関する過去の事例が語られました。
また、中森康弘JOC強化部 強化第二部長が日本代表選手の肖像権使用に関するマーケティングガイドラインを紹介。オリンピック期間中の概要や、期間中の肖像権の使用に関する留意点が述べられました。
2人の説明を聞いた参加者からは、アスリート社員の業務内容に関する質問が寄せられるなど、活発な意見交換が行われました。
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