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2019.10.02 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
プレゼンを行った11選手。前列左から保田星願選手、林伊吹選手、小林竜馬選手、高橋このか選手、安雅人選手。後列左から山﨑弥十朗選手、安松青葉選手、松井大和選手、石岡柚季選手、北川翔選手、藤田渓太郎選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
星野一朗JOC理事(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は9月6日、東京都渋谷区のSYDホールで、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに185社/団体286名(2019年9月6日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は東京都との共催で行われ、53社73名が参加しました。

 最初に主催者を代表して星野一朗JOC理事があいさつ。「真に強いアスリートは自身のために競技をするだけではなく、応援してくれる人のために戦うことで、持っている力を発揮できます。これまでも2016年リオデジャネイロオリンピック、2018年ジャカルタ・パレンバンアジア大会などで、選手が応援されることで力強さを感じ、それを力に変え、これまで勝てなかった対戦相手に勝ったり、破ることのできなかった記録を更新するというシーンを何度も見てきました」と述べると、「東京2020大会の開会式まで322日になりました。今日はその東京2020大会だけでなく、3年後の北京冬季オリンピック、5年後のパリオリンピックでメダルを目指す若い選手たちが登壇します。ぜひ我々と一緒に彼らの背中を押していだだきますようお願いします」と呼びかけました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、動画を用いてアスナビの概要と、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを紹介。また、資料をもとに夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技などを説明しました。さらにJOCアスナビチームがアスリート採用企業向けに企業間のネットワーク構築や、応援体制などの知見の共有を目的として実施している情報交換会をはじめとするサポート事例について話しました。

 続いて、就職希望アスリート11名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
山﨑弥十朗選手(左)、石岡柚季選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
小林竜馬選手(左)、高橋このか選手(写真:フォート・キシモト)

■山﨑弥十朗選手(レスリング)
「私は中学校、高校と一貫校に通っており、中学時代は高校生と合同で練習していたため、負けてばかりの日々を送っていました。しかし、負けて悔しいと思うのではなく、どのようにすれば強くなれるのかを考えていました。誰よりも練習を意欲的に行い、先輩と積極的にコミュニケーションを取ってきたことで大きく成長でき、高校時代には多くの大会で好成績を残すことができるようになりました。大学進学も勉強と部活の両立を考え、質の高いトレーニングを追い求め、短時間で最大効果を生み出せるように効率の良い練習メニューを考えるなどの努力しています。採用いただけましたら私の培ってきた経験を生かし、企業に貢献できるように頑張ります」

■石岡柚季選手(陸上競技)
「私は中学生の時に陸上競技を始め、高校生までは数々の大会で好成績を残してきました。しかし、大学入学後は記録が伸びず、悔しい思いをする大会が続きました。それでも日本代表として世界の舞台で戦いたいという強い思いから、日常生活や競技への向き合い方などを一から見直す決意をしました。そして、毎日の練習に明確なゴールを持つようにし、定期的に体力測定をするようにしました。また、トレーニングの効果をより引き出すために、食事を記録するようにし、大学で学んだ栄養学の知識を生かし、できる限り自炊をするように食生活の改善をを行った結果、疲労回復やパフォーマンス向上につながり、自己ベストを更新することができました。これらの経験から、業務で困難にぶつかった際にも活路を見出し、企業に貢献できるのではと思っています。社会人として成長しながら、アスリートとしても感動や活力を与えられるように尽力します」

■小林竜馬選手(トライアスロン)
「トライアスロンは他の種目に比べ駆け引きが多く、多種多様な練習が求められるため、大会で結果を残せた際の達成感は特別な物があります。私は中学1年生の時に競技を始めましたが、翌年の東日本大震災により、宮城県に住んでいた私は競技ができない時期がありました。震災後、しばらく行われていなかった地元の大会に出場した際、応援してくださった方から『感動をありがとう』と声をかけられました。この時、競技を続けていくことで感動や勇気を多くの人に届けられるのではと思うようになりました。今後、オリンピックを目指す上で日本でトップになり、世界で活躍するためには努力だけではなく、練習環境の構築が欠かせません。ぜひ、ご理解いただける企業の下で競技を続けていきたいです。また、大学では主将や経理の業務を担当してきました。大学での経験を業務で生かし、企業に貢献したいたいと思っています。よろしくお願いします」

■高橋このか選手(陸上競技)
「私の強みは常に考えて行動できることと、自分の可能性を信じて競技に取り組めることです。大学入学後の2年間は記録を更新してきましたが、昨年は怪我で競技ができない悔しさを味わいました。しかし、日本一になりたいという強い思いから、これまでリハビリに励んできました。そのおかげで、今年になって自己ベスト更新することができました。また、私は所属する大学の陸上部で主将をしています。陸上競技は個人種目ですが、チーム全体の雰囲気が良くないと記録が出ないと考え、チーム練習を行うなど練習メニューの改善を行いました。これらの経験を通し、現状に満足せず常に変わり続ける姿勢やリーダーシップ、失敗をしてもすぐに気持ちを切り替えて新たにチャレンジする力を身につけました。これらを生かし、社会人として謙虚な姿勢で業務に取り組んでいきますので採用のご検討よろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
藤田渓太郎選手(左)、安雅人選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
北川翔選手(左)、安松青葉選手(写真:フォート・キシモト)

■藤田渓太郎選手(陸上競技)
「私には東京2020大会出場、2024年パリオリンピックでのメダル獲得という目標に向け取り組んできた競技生活を通じて培った、3つの大きな力があります。1つ目は、高校生の時に単身でスウェーデンに1ヵ月滞在した際、大会のエントリーをはじめ日常生活まで全てを英語で行い身につけた、何事にも恐れずにチャレンジする力です。2つ目は、マイナスなことでもプラスにとらえ、ポジティブに考えられる力です。現在、大学まで往復4時間をかけて通っていますが、通学の間に大学の課題を行ったり、撮影した競技の動画を分析するなど時間を有効活用しています。そして3つ目は、自ら考えて行動できる力です。大学入学後の約1年半、記録が伸び悩んだ時期がありました。しかし、日本中の様々なコーチを訪問し、トレーニングメニューの大幅な改善を行った結果、関西の学生記録を塗り替えることができました。これらは競技だけでなく業務にも生かせると思います」

■安雅人選手(フェンシング)
「私はどんな時も文武両道を忘れずに頑張ってきました。フェンシングをするために、自宅から1時間以上離れた高校に進学する際、学業面でも妥協したくなかった私は、半年間フェンシングから離れ、受験勉強に集中し、志望していた高校に進学することができました。何事であっても両立する、目標を決めたら、それを達成するためには、どんな努力も惜しまない。その姿勢は私の長所です。そんな私の姿勢を社員の方には見てもらいたいです。私が競技生活の集大成と考えているのが東京2020大会出場、2024年パリオリンピックでのメダル獲得です。競技をする姿を通じて、皆さまに勇気や元気、感動を与えられればと思っています。ぜひ皆さまのお力添えをお願いします」

■北川翔選手(陸上競技)
「私の強みは困難な状況でも冷静に判断し、状況を打破できることです。中学1年生から陸上競技をはじめ、全国大会に出場し日本一になることを目標に、高校に入学してからも走幅跳と短距離の種目を続けました。しかし高校3年生の時、同じ年で友人の桐生祥秀選手が100mで10.01秒のタイムを記録したのを見て、日本一になるのは困難だと思いました。大学進学後は走幅跳を続けていましたが、リオオリンピックで桐生選手が銀メダルを獲得したのを見て、喜びよりも悔しいという気持ちを抱きました。そこで短距離で日本代表を目指すことを決意。彼に追いつくために、自分自身の限界を決めずに、可能性を信じて努力を続けた結果、大学4年生の時に大幅に自己ベストを更新することができました。また、大学院ではトレーニング方法や筋肉の動きについて、科学的に研究しています。これらの経験を生かし、困難な状況でも諦めない姿勢で企業に貢献します」

■安松青葉選手(トライアスロン)
「私の好きな言葉は創意工夫です。所属している大学のトライアスロン部には監督やコーチがいないため、主将である私がチームを運営し、学生主体で練習メニューを作成しています。しかし、そんな環境にも関わらず、昨年の日本選手権では強豪の実業団選手を抑え、大学のチームメイトが優勝を果たしました。これらの経験から、創意工夫することで物事を冷静に見極められる判断力を身につけることができました。会社に入社後も1つ1つの行動、業務を意味ある物と考えて取り組んでいきます。また、目標に向かって一直線に努力する姿を社員の方に見ていただき、アスリートの使命と思っている勇気や希望、そしてスポーツをすることの楽しさを伝えられればと思っています。よろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
林伊吹選手(左)、松井大和選手(写真:フォート・キシモト)

■林伊吹(スケート/ショートトラック)
「私は小学2年生の時にコーチをしていた母の影響で競技をはじめました。現在はナショナルチームメンバーとして活動し、コーチであり、オリンピックメダリストの長島圭一郎さんの下でトレーニングしているほか、試合へどのように意識を持って行くかなどを日々学んでいます。また昨年、韓国へ合宿に行きました。1人での遠征で心が折れそうな時もありましたが、サポートしてくれていた両親のおかげで1ヵ月間の滞在期間を乗り越えられました。私は誰かに応援されることで、皆さんと一致団結することで大きな壁も越えられると信じています。応援してくださる企業がありましたら誠意を持って業務に取り組みますのでよろしくお願いします」

■松井大和(スケート/スピードスケート)
「高校時代は世界大会への出場、日本のトップ選手が参加している大会で優勝することができませんでした。しかし、大学では実力のある選手と練習を重ね、ジュニアワールドカップに出場できるようになるなど成長することができました。そして、今シーズンからはナショナルチームに入ることができ、世界のトップを身近に感じながら練習を行っています。私は人間力なくして競技力は向上しないと思い、感謝の気持ちを持ち続けることを大事に日常生活を送っています。競技ができることは決して当たり前のことではなく、様々な方の支えがあるからだということを忘れず、今後も取り組んでいきます。メダルを獲得するという目標を一緒に追いかけ、サポートしていただける企業がありましたら、それに応えらるように頑張りますのでよろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
保田星願選手(写真:フォート・キシモト)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京都と説明会を共同開催
説明会終了後には選手と企業関係者が名刺交換などで交流を深めた(写真:フォート・キシモト)

■保田星願(パラ水泳)
「私は4歳の時にリハビリの一環で、母が働いていたスイミングスクールで水泳を始めました。パラリンピックを目指すようになったのは、高校生の時に顧問の先生に声をかけてもらったのがきっかけです。体の小さな私は他の選手との差を縮めるため、フォームの改善や体幹トレーニングなどを重点的に行っています。それらの練習を通じて、最後まで諦めない気持ちを身につけました。また、あいさつと礼儀正しさを競技をする上で最も大切にし、さらに自分に限界を作らないということを心掛けています。就職後も一生懸命に業務に取り組んでいくのはもちろん、またパラ水泳を多くの人に知ってもらえるように頑張っていきたいです。よろしくお願いします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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