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2019.07.31 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
プレゼンを行った6選手。左から伊藤隆太選手、安雅人選手、安松青葉選手、宮崎集選手、田中美紗樹選手、高橋佳汰選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
左から大塚眞一郎JOC理事、花川與惣太北区長、坂本健板橋区長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月29日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに178社/団体227名(2019年5月29日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明は板橋区、北区、東京商工会議所の文京・北・荒川・豊島・板橋・足立・練馬支部との共催で行われ、41社50名が参加しました。

 最初に主催者を代表して大塚眞一郎JOC理事が挨拶に立ち、アスナビに登録しているアスリートについて「真に強いアスリートは自分のために競技をするのではなく、誰かに応援され、愛されることで自身の限界を越える力を発揮できるのだと思います。彼らは企業に雇用され、社員の皆さんに応援されることで、これまで勝てなかった対戦相手に勝ったり、破ることのできなかった記録を更新できると信じています」と述べると、「企業の皆さまによるサポートがアスリートの明日を、未来を作っていきます。本日ご参加いただいた皆さまは我々と一緒にオリンピック、パラリンピックを目指すチームジャパンのメンバーだと思っています。ぜひ登壇するアスリートの背中を押していただけますようお願いします」と採用を呼びかけました。

 続いて、共催者を代表して北区の花川與惣太区長が登壇し「アスリートと産業界を結びつけるアスナビの取り組みは、『トップアスリートの町』北区の構築、そして地域産業の活性化につながると信じています」と挨拶。また、味の素トレセン前の道路を「ルート2020トレセン通り」に名称変更するなど、北区として東京2020大会を盛り上げるために検討されている施策が語られました。同じく共催者を代表して挨拶に立った板橋区の坂本健区長は「世界を相手に戦う競技生活で培われた強い精神力と豊富な国際交流の経験を持つアスリートは企業にとっても大きな力になるはずです。企業の皆さまには雇用と活動面の支援をお願いします」と参加企業へメッセージを送りました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、選手活用企業のポイントなどを紹介しました。また、JOCアスナビチームによる選手への企業人としての育成プログラムに関する事例が語られました。

JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
オリエンタル酵母工業株式会社管理本部経営企画部の中村茂博主任(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
徳南堅太選手が応援メッセージ(写真:アフロスポーツ)

 続く「アスナビ」採用企業の事例紹介では、2017年にフェンシングの宮山亮選手を採用したオリエンタル酵母工業株式会社の管理本部経営企画部で主任を務める中村茂博氏が登壇。採用に至った経緯や、アスリートと社員の競技体験会を通じた交流などが述べられました。また、残念ながら宮山選手は怪我で欠場したものの、協賛した2018年の全日本フェンシング選手権でのプロモーション活動について紹介。「選手のサポートに加え、多くのメディアに取り上げられる大会への協賛を行うことで相乗効果が期待できると思いました。今後もこのような取り組みを行うことで会社の社会的認知度を高めていきたいです」と、アスリート採用、大会スポンサーを行うことの有用性を語りました。

 次に、フェンシングで2016年リオデジャネイロオリンピックに出場した徳南堅太選手が応援メッセージを送りました。オリンピック前に右すねを疲労骨折し、大会には骨が折れている状態で出場していたという徳南選手。帰国してから行った手術の後には6ヶ月におよぶリハビリ期間を過ごしました。その間の午前中にリハビリを行ってから午後に所属先の企業に出社という生活を振り返り、「普段はトレーニングを行う中で、なかなか会社に行けない状況だったので、この期間に企業に貢献できているのかを考えさせられました。アスリートとして競技で結果を残すだけでなく、自分なりに何かやらなければならないという気持ちになりました」と心境の変化があったことを語りました。そして参加企業へ「アスリートは感謝される、感謝することができる資質を持っており、企業とwin-winの関係が作れる存在だと思います。ぜひプレゼンテーションでは選手の熱い思いを聞いてあげてください」とメッセージを送りました。

 最後に、就職希望アスリート7名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
安雅人選手(左)、田中美紗樹選手(写真:アフロスポーツ)

■安雅人選手(フェンシング)
「私はどんな時も文武両道を忘れずに頑張ってきました。フェンシングをするために、自宅から1時間以上離れた高校に進学する際、学業面でも妥協したくなかった私は、半年間フェンシングから離れ、受験勉強に集中し、志望していた高校に進学することができました。何事であっても両立する、目標を設定し、それを達成するためには、どんな努力も惜しまない。その姿勢は私の長所です。そんな私の姿勢を社員の方には見てもらいたいです。私のフェンシングの集大成と考えているのが東京2020大会出場、2024年パリオリンピックでのメダル獲得です。決して楽な挑戦でないことは分かっています。目標達成には企業の皆さまのお力添えが不可欠です。採用のご検討をお願いします」

■田中美紗樹選手(セーリング)
「セーリング競技が行われる海の上では命に関わるリスクがあり、自分の身は自分で守らなければなりません。またレース中はコーチにアドバイスを求めることができないため、一緒にヨットに乗っている選手と2人で様々なことを判断していかなければなりません。不確定要素の多い自然を相手にすることから、時には自分ではどうしようもできないトラブルに会うこともあります。その際にはすぐに助けを求める、またレース中であっても他の競技者を助けるということが必要になります。私はそのような競技での経験を通じ、助け合うことの大事さ、どんな状況においても幅広い視野で考え、責任を持って行動し、何事にも柔軟に対応できるという強みを身につけました。大学卒業後は仕事と競技を両立できるよう頑張りますので採用のご検討よろしくお願いします」

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宮崎集選手(左)、安松青葉選手(写真:アフロスポーツ)
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高橋佳汰選手(左)、伊藤隆太選手(写真:アフロスポーツ)

■宮崎集選手(トライアスロン)
「私は小学校、中学校で競泳、高校では陸上競技に打ち込んできましたが、競泳や陸上競技では、あと一歩というところで全国大会への出場を逃し、悔しい思いをしてきました。この悔しさをどうしても晴らしたいという思いと、それまでの競技経験が強みになると考え、大学入学と同時にトライアスロンを始めました。私は高い目標や難しいことにも恐れずに挑戦することを大切にしています。競技を始めると決めた時、大学在学中に国際大会へ出場し、将来はオリンピックに出るという目標を決めました。しかし実際レースに出場すると、上位は幼い頃からトライアスロンをやってきた選手ばかりという厳しい現実に直面しました。それでも挑戦せずに諦めるのはもったいないと自分自身を奮い立たせて、厳しい練習に励んだ結果、大学3年時には国際大会への出場を果たせました。競技生活を通じて身につけた、目標を達成するために必要なことを考える力や、目標から逆算して計画を立て実行する力は企業でも生かせると思います。どうぞよろしくお願いいたします」

■安松青葉選手(トライアスロン)
「私の好きな言葉は創意工夫です。所属している大学のトライアスロン部には監督やコーチがいないため、主将である私がチームを運営し、学生主体で練習メニューを作成しています。しかし、そんな環境にも関わらず、昨年の日本選手権では強豪の実業団選手を抑え、大学のチームメイトが優勝を果たしました。これらの経験から、創意工夫することで物事を冷静に見極められる判断力を身につけることができました。会社に入社後も1つ1つの行動、業務を意味ある物と考えて、何事も最後まで諦めずに続けることができる継続力という自分の強み生かし、業務に取り組んでいきます。また、目標に向かって一直線に努力する姿を社員の方に見ていただき、アスリートの使命と思っている勇気や希望、そしてスポーツをすることの楽しさを伝えられればと思っています。よろしくお願いします」

■高橋佳汰選手(スキー・フリースタイル)
「私は小学校5年生で競技を始め、今年で11年目になります。目標は2022年の北京オリンピックでメダルを獲得することです。ハーフパイプの大会は、強風の中で行われることも多く、標高の高い地域では、暴風で体が飛ばされてしまう時があります。常に風向きと雪質に合った動きが求められることから、自然に判断力と集中力が鍛えられました。この競技を通じて培ったあらゆる場面にも適応できる判断力と集中力、どんなことがあっても最後まで諦めない継続力を生かし、周囲から信頼される、誠実な社会人を目指します。地域、職場、日本全体を盛り上げられるような存在になり、支えてくださる皆さまに恩返しができるよう精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」

■伊藤隆太選手(ボブスレー)
「私にとってオリンピック出場は昔からの夢でした。学生時代は陸上競技をやっており、高校では強豪校に進学しました。しかし、思うような結果を残せませんでした。その後、進学した大学で教員免許を取得し、卒業後は小学校で4年間勤務していました。学校では子供たちに、私の体験談を通して、夢を持つこと、目標に向かって努力することの大切さを伝えてきました。そこで長年の夢であるオリンピック出場を叶えることができれば、子供たちに希望を与えられるのではと思い、再び競技にチャレンジする決意をしました。私は学校現場が中心となる社会経験を通じて、全体を把握する力、コミュニケーションスキル、リスク管理などを身につけてきました。加えて、学校現場からは定期的に講演会の依頼もあり、それらの場で企業宣伝をすることで貢献できるのではと思っています。2022年北京オリンピックは3年後に迫っています。私の夢を一緒に追いかけていただけますようよろしくお願いします」

JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
バティヴァカロロ・ライチェル・海遥選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:板橋区、北区、東京商工会議所文京、北、荒川、豊島、板橋、足立、練馬支部と説明会を共同開催
説明会終了後には選手と企業関係者が名刺交換などで交流を深めました(写真:アフロスポーツ)

■バティヴァカロロ・ライチェル・海遥(ラグビーフットボール)※ビデオメッセージ
「私は5歳の時に父の影響でラグビーを始めました。父から『やるからには1番を目指しなさい』と言われ、どんな練習でも1番を目指して努力し続けた結果、高校3年生の時には日本代表に選ばれることができました。しかし初めて出場した国際大会はスピード、フィジカルともに海外の選手と大きな差を痛感するものでした。そこで大学進学後はウェイトトレーニング、スピードトレーニングなどを重点的に行ってきました。そのおかげで2018年に行われた世界5カ国を転戦しながら世界一を決めるワールドシリーズで、大会出場全選手の中からベスト7に選ばれることができました。これは日本人選手として初の快挙でした。私はラグビーを通して技術や強さだけではなく、仲間を思いやり、相手を尊重することの大切さや、何事にも諦めずに強い気持ちを持って高みを目指すことの大切さを学びました。私を採用いただけましたら、社員の皆さまと一緒にどんな仕事も最後まで諦めずにやり遂げ、強い信念を持ち続けることの大切さを体現したいと思っています」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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