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2019.04.04 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
プレゼンを行った7選手。左から辻川選手、安選手、五十嵐選手、梅津選手、高橋選手、花村選手、右代選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
荒木田裕子JOC理事(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月20日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに176社/団体273名(2019年3月20日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会には24社30名が参加しました。

 最初に主催者を代表して荒木田裕子JOC理事が挨拶に立ち、これまでのアスナビの経緯について、「2010年の秋に経済同友会のお力を借りて始まったアスナビ。当時はアスリートの現状を知ってもらいたいという思いでプレゼンテーションを行いました。ここまで毎回のように経済同友会にご協力いただき、現在までに273名のアスリートが採用されるまで大きくなりました」と説明。そして登壇するアスリートへ、「高みを目指すためには、技術、競技力も重要ですが、最も大切なことは準備だと思っています。日頃からどんな状況になった時でも対応できるように準備を行っていると思います。今日のために行ってきた準備に加え、持ち前の集中力を生かしてスピーチしてください」と、メッセージを送りました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
経済同友会の大西賢東京オリンピック・パラリンピック2020委員会委員長(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
経済同友会の横尾敬介副代表幹事・専務理事(写真:アフロスポーツ)

 次に、経済同友会の大西賢東京オリンピック・パラリンピック2020委員会委員長が登壇。「アスナビでは毎年60名から70名の方が登録があります。去年の2月から今年の2月までに54名の方が採用されています」と、採用状況を説明。そして参加企業に向け、「世界大会へ羽ばたくアスリートに対して企業ができることは、彼らが心配事がなく競技に集中できる環境を提供し、将来の生活を支えるということではないでしょうか。企業による雇用という貢献は大きな意味があると思います。東京2020大会は開幕まで500日を切りました。経済同友会としては選手をサポートしていくレガシーを東京2020大会までに根付かせたいと思っています。皆さまのご協力よろしくお願いします」と、アスリート採用を呼びかけました。

 続いて、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、動画を用い、アスナビの概要と、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを紹介。さらに資料をもとに夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技などを説明しました。また、アスリート採用後に企業が抱える応援体制作りなどの問題に対するJOCアスナビチームのサポート事例が語られました。

 次に、経済同友会の横尾敬介副代表幹事・専務理事が登壇。これまでアスリートを採用いただいた企業からのコメントについて、「選手が目標に向かって挑戦する姿が社員に感動をもたらし、職場の一体感の向上に繋がっていると聞いております」と紹介。そして、これまでのアスナビの活動に関して、「8年間でその意義を広く浸透させることができたと思っています」と、感想を述べました。また、「経済同友会としましては多様な人材が活躍する場の開拓や働き方改革を促進しています。その観点でのアスリートの採用は大変有意義だと思います」と、アスリート採用の有用性を語りました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
元バレーボール全日本男子監督の植田辰哉さんが応援メッセージ(写真:アフロスポーツ)

 続いて、1992年バルセロナオリンピックにバレーボール日本男子代表の主将として出場し、2005年から13年まで全日本男子の監督を務めた植田辰哉さんが応援メッセージを送りました。世界を目標とするきっかけについて、「アスリートの多くが最初は国内で競技を始めます。その目標は各高校、各大学、各企業に向いています。自分の学校が、企業が勝つために努力をします。私も就職した当時の目標は日本一になることでした。しかし、日本代表に選ばれ、日の丸をつけてオリンピックを目指すようになった時に、私の目標は世界に向くことになりました」と説明。また、世界を目標にすることに関して、「これは誰でもチャレンジできることではありません。日の丸をつけた時に何が変わるというと、責任、誇り、そして最も重要なのは国民の期待を受けているという大きなプレッシャーがかかるということです。日の丸をつける重みは、実際に味わわないと分からなかったです」と語りました。最後に参加企業に向け、「登壇するアスリートは東京2020大会に向けて、大きなプレッシャーの中で練習していると思います。世界を目標に持てる選手は多くはいません。今日のスピーチでは、彼らの情熱、熱意、考え方、そして人間性を評価してあげてください」と、メッセージを送りました。

 最後に、就職希望アスリート7名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
安雅人選手(左)、梅津春香選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
花村拓人選手(左)、辻川美乃利選手(写真:アフロスポーツ)

■安雅人選手(フェンシング)
「私はどんな時も文武両道を忘れずに頑張ってきました。フェンシングをするために、自宅から1時間以上離れた高校に進学する際、学業面でも妥協したくなかった私は、半年間フェンシングから離れ、受験勉強に集中し、志望していた高校に進学することができました。何事であっても両立する、目標を設定し、それを達成するためには、どんな努力も惜しまない。その姿勢は私の長所です。そんな私の姿勢を社員の方には見てもらいたいです。私のフェンシングの集大成と考えているのが東京2020大会出場、2024年パリオリンピックでのメダル獲得です。競技をする姿を通じて、皆さまに勇気や元気、感動を与えられればと思っています。ぜひ皆さまのお力添えをお願いします」

■梅津春香選手(フェンシング)
「私はオリンピックでメダルを取るために、12年間過ごした故郷の山形を離れ、家族との時間や、10代ならではの青春時代を捨てて、JOCエリートアカデミー生として東京に出てきました。私の強みは、何を今すべきかを考え、行動し、進み続けられることです。私はどんな物事にも自分を挑戦させるチャンスはあると考えており、何事にも心を開いて取り組むことで、昨日より今日、今日より明日、明日より明後日と、突き進む力があります。私の挑戦はこれからも続きます。持ち前の前進力を加速させ、東京2020大会へ出場、2024年パリオリンピックで金メダルを獲得します。そして、自分の経験を自分の言葉で表現することで、企業の皆さまと喜びを分かち合い、ともに進んで行きたいと思っています。また社会人としても成長していきたいと思っていますので、ご指導よろしくお願いします」

■花村拓人選手(陸上競技)
「私は中学生から陸上競技を続けており、専門種目の800mにおいて、日本学生ランキング1位や室内日本歴代2位の記録を残してきました。さらに今年からは国際大会に出場できるようになり、世界と戦えるスタートラインまで来ました。競技を始めた当初から今ほどの競技力があったわけではありません。中学時代は、大阪府大会にも出場できないレベルでした。日本トップクラスまで成長できた理由は、技術習得のために、何度も先輩や先生のプレーを観察し、意識するポイントを自ら聞いたり、専門競技以外のコーチ、トレーナーの話も積極的に聞くようにするなど、常に貪欲に学び続ける姿勢で競技に取り組んできたからです。私は目標である男子800mの日本記録更新、世界陸上競技選手権、オリンピックへの出場を必ず実現させます。また企業に入社した際には、他の社員との差を埋める努力をし、いち早く企業に貢献できるようになりたいと思っています。採用のご検討よろしくお願いします」

■辻川美乃利選手(陸上競技)
「陸上競技の円盤投をやっています。私には、競技者として将来性のあること、これまで競技を通じて学んできたことを生かし、職務でも会社に貢献できるという2点の強みがあります。私は中学、高校時代には全国大会での優勝経験がありませんでした。それでも大学進学後は、環境を生かし、4年時にはインターカレッジ、日本選手権で2冠を達成することができました。今の目標は東京2020大会、2024年パリオリンピックへの出場です。また、業務面では陸上競技で学んできた、物事に対する貪欲さ、250名が在籍する陸上競技部での会計担当として培った改善力、競技と大学の研究の中で身につけたスケジュール管理力の3つのことを生かしたいと思っています。これらの力を発揮することで業務と競技の両立をしていきたいと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
五十嵐未帆選手(左)、右代啓欣選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:経済同友会への説明会を実施
高橋佳汰選手(写真:アフロスポーツ)

■五十嵐未帆選手(レスリング)
「私は小学校2年生の時に、兄の影響でレスリングを始めました。中学生の時に、もっと勝てるようになりたいと思い、親元を離れて愛知県にある至学館高校に進学しました。しかし、寮での集団生活は想像以上に厳しく、大学生の時には、初めてレスリングをやめてしまおうと思ったことがありました。それでも逃げずに、自分を見つめ直して頑張ったことで、大学4年生の時には主将という大役を務めることができました。主将としてチームメイトと積極的にコミュニケーションを取るようにしたり、チームの見本となるように心がけたことで、自分自身大きく成長できたと思っています。私の目標は東京2020大会、2024年パリオリンピックで金メダルを獲得し、家族や今までお世話になった人に恩返しをすることです。就職させていただきましたら、人と人とのつながりを大切にし、最後まで諦めない姿勢で、社員の方々に勇気や元気を与えられる存在になりたいと思います」

■右代啓欣選手(陸上競技)
「私は陸上競技の十種競技をやっています。十種競技は2日間で10種目を行うことから、その運動量はフルマラソン約7回分と言われ、約20,000キロカロリーが消費されます。普段から試合を想定して5〜6時間、日々限界を越えるトレーニングをしています。私の目標は日本選手権での優勝、世界選手権、オリンピックへの出場です。この目標を持ったのは日本記録保持者である兄(右代啓祐選手)の活躍する姿を見てきたのがきっかけです。大学3年では兄と同じ日本選手権に出場し、今では4種目で兄の記録を上回っています。今までは兄の背中を追ってきましたが、今度は自分が活躍する番だと思っています。これまでは大学の陸上部という守られた環境で競技を行ってきましたが、社会人になったら、競技だけでなく社業も両立できるように、そして社員の皆さんに応援いただける選手になれるように頑張りますので、採用のご検討をお願いします」

■高橋佳汰選手(スキー・フリースタイル)
「私は小学校5年生で競技を始め、今年で11年目になります。目標は2022年の北京オリンピックでメダルを獲得することです。ハーフパイプの大会は、強風の中で行われることも多く、標高の高い地域では、暴風で体が飛ばされてしまう時があります。常に風向きと雪質に合った動きが求められることから、自然に判断力と集中力が鍛えられました。この競技を通じて培ったあらゆる場面にも適応できる判断力と集中力、どんなことがあっても最後まで諦めない継続力を生かし、周囲から信頼される、誠実な社会人を目指します。地域、職場、支えてくださる皆さまに恩返しができるよう精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」

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