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2018.08.21 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
プレゼンを行った5選手。左から両角選手、岩佐選手、石橋選手、中山選手、中村選手

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月17日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに151社/団体224名(2018年7月17日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会には17社23名が参加しました。

 最初に主催者を代表して、星野一朗JOC理事が挨拶に立ち、トップアスリートが世界の舞台で活躍するには、練習場や宿泊、食事施設のハード面だけでなく、経済面でも安心して競技に打ち込める環境が必要不可欠であることを説明。そして、2月の平昌オリンピックでは日本代表選手団として派遣したアスリート124名のうち、19名がアスナビを通じて各企業に採用された選手であったことを報告すると、「アスリートは自分のためだけではなくて、誰かのために戦うということでさらに競技力を向上することができます。ぜひ彼らの背中を押していただけますよう、よろしくお願いいたします」と、さらなるアスリート支援を呼びかけました。

 次に中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、選手活用企業のポイントなどを紹介しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
わらべや日洋株式会社管理本部総務部の矢萩康裕厚生課長、同じく香坂さゆりさんが選手の応援グッズを紹介
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
応援メッセージを送った岡本依子さん

「アスナビ」採用企業の事例紹介では、2017年4月に陸上競技の山田はな選手を採用した わらべや日洋株式会社から、管理本部総務部の矢萩康裕厚生課長、同じく管理本部人事部採用・教育課の香坂さゆりさんが登壇。アスリート採用の経緯と背景、山田選手の雇用形態・勤務時間、主な仕事の内容などを説明しました。この中で矢萩厚生課長が「アスリート社員がもたらす効果」として強調したのが、社員の一体感の醸成。全国各地にある同社の事業所、工場から延べ300名の社員が大会の応援に駆けつけ、また、Tシャツ、キャップなどの応援グッズをアスリートと一緒になって作るなど、社内の一体感醸成に大きく寄与していると述べました。
 ほかにも、山田さんがきっかけとなりアスリート経験者の応募が増えるなど新卒採用にも好影響をもたらし、また、アスリートを媒介としたコミュニケーションが増えることで取引先との良好な関係構築の一助になるなど、アスリート社員がもたらす効果を挙げた矢萩厚生課長。今後の展望・課題として「会社貢献だけでなく、その先の取り組みとして、社会貢献へのシフトチェンジが必要なのではないかと思っています」と述べました。

 次に、2000年シドニーオリンピックのテコンドー女子67kg級で銅メダルを獲得した岡本依子さんが応援メッセージを送りました。
 大学3年生のときに留学先の米国でテコンドーに出会った岡本さんは帰国後、「就職したら、テコンドーの練習はできない」と、企業に就職せずに競技優先の生活を選択。アルバイトで海外遠征費用などを工面しながらオリンピック出場を目指しました。支援体制が整っている他国の選手たちと比べ、「自分はこの環境で頑張るしかなかった」と当時を振り返った岡本さん。しかし、2000年1月に企業に就職したことで経済面の不安がなくなり、よりテコンドーの練習に打ち込める環境が整ったことで、競技を始めてから8年目にシドニーオリンピックに出場することができました。
「日本代表に選ばれたことはうれしかったのですが、それ以上に周囲の方たちが喜んでくれるのがうれしかったですし、そのことが力になると知りました」と話す岡本さんはまた、企業からのバックアップについて「自分が役に立っている実感があり、会社のために頑張ろうと思いました。シドニーオリンピックの3位決定戦は1ポイントの僅差で勝つことができましたが、その1ポイントは、お金の不安もなくテコンドーに打ち込めたこと、たくさんの人が応援して手伝ってくれたおかげだと思います」と、競技人生で大きな力になったことを述べました。
 そして岡本さんは、就職希望の現役アスリートに向けて「自分一人ではなく、自分の夢を一緒に見てくれる人、一緒に歩んでくれる組織があるということはとても力になりますし、実際にメダルにつながると思います」とアドバイスを送りました。

 最後に、就職希望アスリート6名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
中村良太選手
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
中山昂平選手

■中村良太選手(空手)
「私は組手を専門としており、空手を通して様々なことを経験して学ぶことができました。諦めずに挑戦し続ければ、必ずチャンスが巡ってくると信じています。失敗しても諦めない私の強みは、入社してからも業務に生かせると思っています。私はまだ大きな大会での優勝経験はありません。しかし、日本一、オリンピック出場を目指しています。自分がどこまで行けるのか挑戦していきたいです。そのためには企業の皆さまのサポートが必要です。私に関わってくださった方々、応援してくださっている方々のためにも恩返しができるよう感謝の気持ちを忘れず、これからも挑戦していきます。どうぞよろしくお願いいたします」

■中山昂平選手(陸上競技)
「三段跳を専門としています。私は東京オリンピックや世界選手権、アジア大会などに日本代表選手として出場し活躍したいという目標があり、大学院へ進学しました。私の三段跳の長所は常に安定感があるところです。また、記録の面ではあと靴2足分で世界選手権、オリンピックの入賞圏内に入ることができます。しかし、もう一歩をつかむために支えてくださる企業の皆さまの力が必要です。私をもし採用していただけましたら、まずは社員の方々に元気を与える存在となり、仕事にも競技にも全力を尽くし、何事にも全力で取り組んでいきたいと考えています。ぜひ私を採用してください。よろしくお願いします」

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石橋未樹選手
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
岩佐暖選手

■石橋未樹選手(スキー・アルペン)
「私は小学2年生からアスペンスキー競技を始め、今年で14年目になります。私の強みは、どんなことでも最後までしっかり成し遂げる力を持っていることです。これまでアルペンスキーを続けてきて、何度も壁にぶつかってきました。しかし、どんなに高い壁や大きなけがに見舞われても、私はそこで気付いた課題をしっかりと克服することができるので、結果的に強くなってきたのだと思います。私を採用していただけましたら、競技で結果を残して恩返しをするのはもちろんのこと、これまで培ってきたことを生かして、企業での仕事にも誠心誠意取り組ませていただきます。また、会社の皆さまの応援をいただくことで自分自身を人間的にも大きく成長させたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」

■岩佐暖選手(スケート・ショートトラック)
「私は5歳のときに相模原のスケートリンクでショートトラックに出会い、今年行われた平昌オリンピックを目指して競技を続けてきましたが、シーズン始めの練習中に足首を骨折する大けがをしてしまい、オリンピック出場の夢は途絶えてしまいました。しかし、私は決して諦めることはありませんでした。応援してくださった方々に戦う姿を見せることで、恩返しをしたかったからです。私は北京オリンピックで必ずメダルをとります。平昌オリンピックに出られなかった悔しさ、そしてこれまで培ってきた経験を生かして、この4年間再び戦い抜くことを決意しました。採用していただいた企業さまには最大限貢献させていただきます。応援してくださる方々への感謝の気持ちを常に忘れず、オリンピックでメダルをとる夢を追う姿を皆さまにお見せすることで、勇気を感じていただけるよう精一杯頑張ってまいります。ぜひご支援のほど、よろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
両角公佑選手
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
久保田愛夏選手

■両角公佑選手(カーリング)
「私はカーリング男子選手としては長野オリンピック以来20年ぶり、また自力での出場は初めてオリンピックに出場しました。平昌オリンピックでは残念ながら決勝トーナメント進出はならなかったのですが、最後まで決勝トーナメント進出を争えたことは世界で戦える証明にもなりましたし、今後のカーリング人生に生かしていきたいと思っています。実は今年入籍しまして、年内にはパパになるのですが、4年後は3歳になる息子と一緒に北京オリンピックの舞台で今回の悔しさを晴らし、家族3人で喜びを分かち合いたいと思っています。そんな私の長所はコミュニケーション能力が一番だと思っています。仕事では大学卒業後にサービス業のアルバイトや、土木の営業を経験してきました。このような経験、長所を生かせる仕事はもちろん、新たな分野に飛び込んで働くことも精一杯チャレンジしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」


■久保田愛夏選手(カヌー)※ビデオメッセージ
「私はカヌー・スプリント競技で2020年東京オリンピック出場を目指し、日々トレーニングに励んでおります。現在は日本代表としてワールドカップや世界選手権に出場させていただいており、確実に世界との距離を縮めることができています。しかし、日本においてカヌー競技はマイナー競技の1つであり、知名度は低く、活動できる範囲は限られていたりとやりにくい環境が多くあります。東京オリンピックに出場することだけが目標ではなく、カヌー競技を良い意味で広めることができる存在になりたいと考えております。私は後先のことを考えながら物事を進めたり、自分でやり遂げると決めたことを最後までやり抜くように心がけています。今まで得てきた力や経験を生かしながら、どんなお仕事にも全力で勤めさせていただきますので、私を採用してください。よろしくお願いいたします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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