『活躍中の社員アスリート』
(アスナビ経由の入社者のみ記載)
【会社概要】
全日本空輸株式会社
本社:東京都港区
資本金:250億円
従業員数:12,854人(単体)
業種:空運業
社員アスリートの発信機会が、活躍と定着につながる
【社員アスリートに期待することは何か?】
全日本空輸(以下、ANA)には、「ANA’s Way」という行動指針があり、その中の「努力と挑戦」というキーワードで、社員が進むべき方向感を示しています。この「努力と挑戦」をまさに体現しているのが、アスリートなのでは、と考えました。指針の制定が、ちょうどスポーツ界を応援する目的で社員アスリートの採用を検討していた時期でしたので、採用した社員アスリートには「ANA’s Way」を社内に浸透させる伝道者としての役割を期待したのです。
当社の社員アスリートは、比較的、競技活用を優先したワークスタイルだと思っています。そんな中でも、練習や遠征、試合の合間をぬって、「ANA’s Way」の伝道者として、社員向けの研修や従業員の家族向けイベント、また社外のセミナーに講師として積極的に参加するよう、機会を創っています。
こうした機会による効果がいくつかあります。
まず、「従業員=聞く側」にとって、社員アスリートの話は有意義であること。
試合に向けてモチベーションを高める術や、メンタルの鍛え方、健康・体調管理といったフィジカル面など、アスリートが持つ知識・経験は、ビジネスシーンでもそのまま役立ちます。当社が従業員向けに実施している各種研修の一コマを、社員アスリートには講師として担ってもらっています。
2つ目は社員アスリートにとって、自身を振り返るよいきっかけになること。自分にとっての当たり前を第三者に伝える際、自身の内面を深く掘り下げ考えます。誰かに話すことによって、新たな気づきもあるでしょう。講師という役割は、社員アスリートが自身の「そもそも」を考えるよい機会になっていると感じます。
3つ目に、従業員・社員アスリートとって、お互いの認知を高められること。
従業員の認知が高まれば、応援に足を運ぶきっかけになります。
また、社員アスリートにとっても、社内の業務や組織事情を知るきっかけとなり、これが、競技を離れた後の定着や活躍にもよい影響を与えていると考えます。幸い、当社の場合は、競技を引退した選手が退職することなく、ほぼ全員社業に専念してくれています。
【社員アスリートが競技を離れても定着・活躍する理由は何か?】
まず前提として、「引退後も社内に残ってくれる人かどうか?」を大きな採用基準にしていること。その上で、競技活動経費の負担や勤務日数の優遇など、アスリートとしての支援期間を5年と置いています。もちろん、5年を過ぎても活躍度合いや実績によって支援を継続する場合もありますが、原則5年です。
となると、社員アスリートは「5年後には社業に専念している自分」を現役時代から想定して準備しなくてはなりません。私たち人事も、日頃のマネジメントにあたる現場スタッフも、その前提で接します。だから、あまり遠慮はしません。
例えば、ビジネスパーソンとして当たり前の報・連・相。それから、提出物の期限や周囲への説明責任など、一社会人としての「当たり前」は一般社員と同様に要望します。できていなければ指導します。アスリートであるのと同時に社員ですから、これは当然のマネジメントだと思っています。
また日常のマネジメントとは少し離れた機会として、キャリア支援室による面談があります。キャリアカウンセラーとの面談を通して、5年後・10年後の自分を考えてもらうのと同時に、社内を探索し、将来の自分の仕事イメージをもってもらうことも目的としています。先程、「社内をよく知ることが定着・活躍につながる」とお伝えしました。将来携わることになるかもしれない仕事への理解が深まり、やれることや、やってみたい仕事のイメージがつけば、自ずと競技を離れた後の選択肢が形成されていくのではないでしょうか。現役時代の不安の低減にもつながっていくと思います。
と言いましても、まだまだ出来ていないことばかりです。
現在、アスリートとして入社した後、引退し社業に専念している皆さんは、現役時代に培ったガッツや粘り強さで、新しい業務に食らいついてくれています。おそらく、現役を退いたタイミングではいろんな葛藤があるのだと思いますが、そこは本人が乗り越えていくしかありません。
ただ、引退のタイミングで当事者がうまく乗り越えられるよう、現役時代から人事や現場が社員としての期待を重ね、従業員との接点を創っていくことが大切です。
やりたいことはまだまだたくさんあります。これからもっと、社員アスリートにとっての様々な機会を創っていきたいと思います。
【全日本空輸株式会社の応援風景。スタンドの一角が青く染まる】
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