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2024.12.27 その他活動

「令和6年度JOCパートナー都市連携会議」を開催

令和6年度JOCパートナー都市連携会議を開催(写真:フォート・キシモト)
令和6年度JOCパートナー都市連携会議を開催(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は11月22日、味の素ナショナルトレーニングセンター・ウエストにおいて「令和6年度JOCパートナー都市連携会議」を開催しました。本会議はオリンピック・ムーブメントを推進するにあたり、JOCパートナー都市との更なる連携強化が必要となることから、JOCの活動やオリンピック・ムーブメントの推進におけるJOCパートナー都市との取り組み事例を紹介し、オリンピック・ムーブメントの今後の展開について情報共有や意見交換を行うことを目的に実施。JOCパートナー都市や検討中の自治体等合わせて16の自治体が参加しました。

小谷実可子JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)
小谷実可子JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)

 主催者を代表して挨拶に立った小谷実可子JOC常務理事は冒頭、「1月の能登半島地震、9月の能登半島豪雨で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになられた方々に対して心より哀悼の意を表します。引き続きスポーツの力やアスリートの力で復興支援のお手伝いをさせていただきたいと思います」と述べ、続けて『JOC Vision 2064』において掲げている「スポーツの価値を守り、創り、伝える」ための3つの活動指針である「オリンピズムが浸透している社会の実現」「憧れられるアスリートの育成」「スポーツで社会課題の解決に貢献」を紹介した上で、「JOCでは、スポーツを通じた社会課題解決へ貢献できるよう取組んでおります。アスリートと共に、子ども達に届くような社会課題解決のためのメッセージを発信していきたいと思っておりますので、ぜひパートナーの皆様にもそのようにご理解いただき、一緒に活動を進めていきたいと思います」と連携強化を呼びかけました。

 その後、引き続き小谷常務理事がJOCパートナー都市協定について、趣旨、目的、オリンピック・ムーブメント推進事業の事例、JOCパートナー都市とJOCのそれぞれの役割、JOCパートナー都市が実施できること等を説明しました。

■オリンピック・ムーブメント(OM)事業について(オリンピック教室)

オリンピック教室の説明をする小口貴久さん(写真:フォート・キシモト)
オリンピック教室の説明をする小口貴久さん(写真:フォート・キシモト)
オリンピック教室の説明をする小塚崇彦さん(写真:フォート・キシモト)
オリンピック教室の説明をする小塚崇彦さん(写真:フォート・キシモト)

 次に、JOCオリンピック・ムーブメント事業専門部会員及びJOCアスリート委員であるオリンピアンの小口貴久氏と小塚崇彦氏が、JOCオリンピック・ムーブメント推進事業について、「オリンピズム(オリンピック精神)」や「オリンピックバリュー(価値)」をより身近に感じてもらうためにオリンピアンが先生となり、中学校2年生を対象に授業形式で行う「オリンピック教室」を、実際に行っている授業を再現しながら説明しました。

 オリンピック教室では座学のみではなく、運動を通して「エクセレンス(卓越)」、「フレンドシップ(友情)」、「リスペクト(敬意/尊重)」の3つのオリンピックバリューを身近に感じることができるプログラムです。参加者たちは小口氏と小塚氏が、オリンピック教室で行っている運動に挑戦し、「一生懸命頑張る=エクセレンス」、「仲間と協力する=フレンドシップ」、「ルールを守る=リスペクト」というオリンピックバリューに繋がることを実感しました。

 最後に小口氏が「実際のオリンピック教室では運動の後にグループワークを行い、オリンピックバリューを学校生活や日常生活にどう活かすかというディスカッションをしてもらっています。現在国内には4,000名を超えるオリンピアンがいますが、それぞれが経験してきた内容の授業を行うので、様々な人が様々な場所に行って授業をすることに意味があります。ぜひ皆様の自治体でもオリンピック教室を開催させていただけるよう、ご協力の程よろしくお願いいたします」と、小塚氏が「私が中学生に伝えることは、自分にとってのオリンピックは皆にとってのテストみたいなものだということです。努力する、教えを請う、カンニングをしない等のルールを守るというような部分はオリンピックもテストも同じです。オリンピックは超人が挑んでいるものではなく、皆がやっていることの延長線にあるということを、強く伝えています」とコメントしました。

■環境保全活動について

東海大学准教授の大津克哉氏(写真:フォート・キシモト)
東海大学准教授の大津克哉氏(写真:フォート・キシモト)

 続いて、JOCオリンピック・ムーブメント事業専門部会員及び東海大学准教授である大津克哉氏と、札幌市スポーツ局スポーツ部スポーツ都市推進課の枝元俊晴課長が登壇し、環境保全活動について講演を行いました。

 まず地球温暖化の現状について紹介した後、地球温暖化がスポーツに与える影響として、冬季競技会場での雪不足や、熱中症対策としての夏季競技の開催時間・場所の変更等、近年発生している事例を紹介。続けてスポーツと環境の接点には「スポーツが環境に影響を与える」、「スポーツが環境から影響を受ける」という2つの側面があるとした上で「スポーツ等の人間活動は基本的に自然破壊や環境汚染を伴います。よって『スポーツの現場における環境保全』と『スポーツを通じた環境問題に啓発』が必要になります」と呼びかけました。続けて、環境に対するスポーツ界の取り組みの事例としてワールドトライアスロン横浜大会やパリ2024大会における取り組みを紹介。最後に大津氏は「気候変動が人類に都合よく変化してくれることはあり得ず、私達人間が適応していくしかありません。自然保護や環境保全義務についてスポーツが環境と調和していくためには、スポーツ界全体で取り組んでいく姿勢が求められます。スポーツの現場における環境保全についても紹介しましたが、取り組みとして重要なのはスポーツを通じた環境問題の啓発です。この場が、JOCとJOCパートナー都市が連携して環境問題へ取り組む契機になれば幸いです」とまとめました。

札幌市スポーツ局スポーツ部スポーツ都市推進課長の枝元俊晴氏(写真:フォート・キシモト)
札幌市スポーツ局スポーツ部スポーツ都市推進課長の枝元俊晴氏(写真:フォート・キシモト)

 次に枝元課長が「札幌の未来を拓く脱炭素の取組」というテーマでプレゼンを行いました。札幌市は2008年に、世界に誇れる環境都市を目指して「環境首都・札幌」を宣言。そして2021年に策定した気候変動対策行動計画では2050年のゼロカーボン都市実現に向けて、2030年に温室効果ガス排出量を2016年比で55%削減するとしています。その実現に向けたものとして、ZEH・ZEBの推進、灯油式暖房・給油機器からのエネルギー源転換の推進、都心ビルの脱炭素化の推進、地域熱供給の整備拡充、清掃工場の余剰電力の市営地下鉄への供給等の取組を紹介しました。最後に「温暖化の影響で冬季競技大会を開催できる都市は減っていくとされており、2080年には札幌ぐらいしか残らないというデータもあります。そのような恵まれた環境を守るためにも、先程紹介したような取組を引き続き推進してまいります」と述べました。

 その後、参加者やオリンピアンが4グループに分かれ、環境保全に関する意見交換を行いました。

■日本オリンピックミュージアムの活用について

日本オリンピックミュージアムの紹介をする荒木絵里香さん(写真:フォート・キシモト)
日本オリンピックミュージアムの紹介をする荒木絵里香さん(写真:フォート・キシモト)

 続いて、JOCアスリート副委員長であるオリンピアンの荒木絵里香氏が登壇。JOC事務局と共に日本オリンピックミュージアム(JOM)について、施設概要や常設展示・企画展、イベントの様子等を紹介しました。荒木氏は「JOMに一度ご来館いただければ、1時間ほどの見学時間の中でなぜオリンピックがあるのか、どのように成り立ってきたのかを学べるだけでなく、競技を体験できるコーナーでオリンピックレコードに挑戦することで体感的にオリンピアンの卓越性も感じられます。あっという間に時間が過ぎていきますが、来館した子どもたちにとって知識を深めオリンピズムを体感することができます。」と自身が講師役を務めたことのあるオリンピック教室 in JOMの事業を引き合いに、JOMの活用の意義についてわかりやすく説明しました。

星香里JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)
星香里JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)

 すべてのプログラムが終了し、閉会の挨拶として星香里JOC常務理事が参加者や登壇者へ感謝を述べた後、「パートナー都市の皆様と共にスポーツの機運を盛り上げていき、健康で幸せな人を育てていきたいと思いますし、社会を豊かに、そして世界の平和を目指して頑張っていきたいと思います。ぜひ今後も一緒に取組を行っていけたら幸いです」と呼びかけ、JOCパートナー都市連携会議が締めくくられました。

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