【メダリスト会見】レスリング競技櫻井つぐみ選手「絶対に優勝するという気持ちを持っていた」

メダル獲得の心境を語る右から櫻井つぐみ選手、樋口黎選手（写真：森田直樹／アフロスポーツ）

　パリ2024オリンピックのレスリング・女子フリースタイル57kg級で金メダルを獲得した櫻井つぐみ選手、レスリング・男子フリースタイル57kg級で金メダルを獲得した樋口黎選手が8月10日、記者会見を行い、競技終了から一夜明けての心境を語りました。

　会見の冒頭、選手の前に置かれた輪島塗のタンブラーの紹介がありました。石川県輪島漆器商工業協同組合よりご協力いただき、今年1月1日の能登半島地震をパリで戦っているメダリストも忘れず、被災された方々も一緒に頑張ろうというメッセージが発信できたらという思いで用意されました。

■樋口選手「一歩踏み出す勇気を持って夢に向かって一つずつ積み上げていくことが大事」
――一夜明けた感想をお願いします。

櫻井選手　小さい頃から目指していたオリンピックの舞台で優勝することができ、今までやってきて良かったという気持ちと、夢じゃなかったのだなという気持ちです。

樋口選手　たくさんのプレッシャーと応援と期待のなか、優勝できたことにほっとしています。

――（櫻井選手への質問）金メダルはどこに置いて寝ましたか？

櫻井選手　布団の上に置いて寝ました。

――朝実際に金メダルを見てどんな気持ちになりましたか？

櫻井選手　本当にあるなと思いました。重たいしずっと欲しかったメダルなので、見ると幸せな気持ちになります。

――ご家族、選手たちとお祝いする時間はありましたか？

櫻井選手　ゆっくりする時間はありませんでしたが、会って写真を撮る時間が少し取れたので、お父さんや先生にメダルをかけたりしました。自分も嬉しかったのですが一緒に頑張ってきた皆さんが喜んでくれて良かったなという気持ちです。

櫻井選手（写真：AP／アフロ）

――高知県出身者で92年ぶりの金メダル獲得となりましたがその点についてどう思うか？

櫻井選手　出場する前から盛大に（応援）してくれて、92年ぶりということも言われていて、絶対に優勝するという気持ちを持っていたので、応援してくれた期待に応えることができたので早く高知に帰りたいです。

――趣味がパン作りと伺っていますが、フランスに来て召し上がりましたか？

櫻井選手　選手村で食べましたが、すごく美味しかったです。

――落ち着いたらやりたいことは？

櫻井選手　あいみょんさんが好きでライブのチケットを前から取っていたので、終わったら行く予定だったので楽しみです。

――（樋口選手への質問）昨夜はどのように過ごされましたか？

樋口選手　表彰式のあとは様々な対応がありバタバタしていました。

――奥様と会ってお話しする時間はありましたか？

樋口選手　表彰式の後に一瞬しか会えず妻は今日帰国してしまうのですが、妻のお父さんも応援に来てくれていましたし、僕の両親や妹も来てくれていたので、日本に帰ったら改めてちゃんとメダルをかけてあげたいなと思います。

樋口選手（写真：エンリコ／アフロスポーツ）

――リオ2016オリンピックのメダルから8年経ちましたが、8年を振り返っていかがですか？

樋口選手　計量が変わって適応するのに時間が掛かりましたし、61kgや65kgでたくさんの負けや計量失敗などの挫折や苦悩を味わってきましたが、スポーツを通して挫折や絶望から立ち直る姿を応援してくれている方々に届けられたのだとしたら嬉しいことだと思いますし、まだまだここで金メダルを獲得しておごるのではなく、もっと人として成長していけるように頑張っていきたいと思います。

――同級生の文田選手の活躍は刺激になりましたか？

樋口選手　ものすごく刺激になりました。ただ初日で彼は（試合が）終わっていて、先に一安心して美味しいものを食べていたので羨ましいなという気持ちがあったのですが、それでも彼にだけは負けたくないという気持ちもありましたし、彼も試合を終えて応援してくれていたのですごく力になりました。

――試合前・試合後に会話はありましたか？

樋口選手　「頑張れよ」くらいしか言われませんでしたが、普段から顔を合わせて一緒に練習してきているので、あまり言葉は必要ないということでうまくまとめさせていただければと思います。

――樋口選手といえばマカロンだと思うのですが、まだ召し上がられてないですか？

樋口選手　減量中でしたが、選手村の中にストアがあって5個入りのマカロンが売っていて妥協しそうになりましたが、金メダルを獲得するために我慢できたのでいっぱい食べたいと思います。

――改めて朝金メダルを目にしたときはどのような感情でしたか？

樋口選手　嬉しい気持ちはもちろんありましたが、僕の考え方としては、金メダル以上に人と人との繋がりや応援してくれる人の力、様々な人の支えがあってここまで来られたと思っており、それの方が価値のあるものだと思っています。金メダルは副賞に過ぎないと思っているので、応援してくれた方々にメダルを見せて回りたいと思っています。応援してくれた方々の力が金メダル以上の財産であるといつも思っています。

金メダルを決め喜ぶ樋口選手（写真：エンリコ／アフロスポーツ）

――男子の躍進の要因はなんでしょうか？

樋口選手　自分のことで手いっぱいで全体を評価していいのかが分かりませんが、ずっと男子で金メダルが獲得できない期間があり、北京2008オリンピックを小学生の時に見ていて湯本健一選手に憧れてここまでレスリングを続けてこられました。金メダルを獲得できなかった湯本先生の悔しさの分もあって僕が金メダルを獲得するという思いでやってこられていたので、全体の成績がなぜ良いかまでは分かりませんが、僕自身としては先人たちの思いや歴史・練習・考え方など様々なものが積み重なっての金メダルだと思っているので、自分一人ではなくて先輩たちが積み上げてきたものが今回の金メダルになったのではないかと考えています。

――これからレスリングを始めたいなと思っている子供たちにメッセージをお願いします。

櫻井選手　小さい時から吉田選手や伊調選手が活躍している姿を見てオリンピックに憧れてきたので、勝てなくて苦しい試合もありましたが続けることがすごく大切だと思いますし、新しい環境に出ることも大事だと思います。今結果が出なくても続けることができればその結果オリンピックで活躍したりすごい舞台で活躍したりすることができると思うので、自分が夢を持ったならば叶えるために続けることが大切だと思います。

金メダルを獲得し歓声に応える櫻井選手（写真：エンリコ／アフロスポーツ）

樋口選手　今回パリ2024オリンピックで金メダルを獲得するまでにたくさんの負け試合があって、たくさんの失敗があってたくさんの挫折を味わってきましたが、挫折から立ち上がる、一歩踏み出す勇気を持って夢に向かって一つずつ積み上げていくことが大事だと思っていて、オリンピックという大会を通して希望や感動や一歩踏み出す勇気をスポーツの力で届けられたのならば嬉しいことですし、スポーツを盛り上げてさらに社会全体を盛り上げ・貢献できるようなアスリートになっていきたいです。僕自身も成長していかなければならないと思っていますし、夢を持った子供たちがさらに成長していくことを願っています。