【メダリスト会見】フェンシング競技女子サーブル団体「夢の舞台でチームの皆で銅メダルを獲得することができた」
パリ2024大会のフェンシング競技女子団体サーブルで銅メダルを獲得した福島史帆実選手、江村美咲選手、髙嶋理紗選手、尾﨑世梨選手が8月4日、記者会見を行い、競技終了から一夜明けての心境を語りました。
会見の冒頭、選手の前に置かれた輪島塗のタンブラーの紹介がありました。石川県輪島漆器商工業組合よりご協力いただき、今年1月1日の能登半島地震をパリで戦っているメダリストも忘れず、被災された方々も一緒に頑張ろうというメッセージが発信できたらという思いで用意されました。
■江村選手「気持ちを切らさずに戦い抜くことができた」
――一夜明けた感想をお願いします。
福島選手 オリンピックという夢の舞台でチームの皆で銅メダルを獲得することができ、素直に嬉しいです。
江村選手 いよいよオリンピックのメダリストという立場になれて嬉しいという気持ちです。そして昨日の3位決定戦を振り返ると相手は強敵でしたし、アウェイでした。その中で皆の力で勝ち切ったというのは、本当にすごいことを成し遂げたのだなと、一晩経って改めて感じています。
髙嶋選手 史上初のメダル獲得に貢献できて嬉しいですし、女子サーブルの新たな歴史が昨日生まれたことを嬉しく思います。
尾﨑選手 女子サーブルチームは今まで苦しいことの方が多かったように感じますが、こうしてオリンピックという大舞台でチーム一丸となってメダルを獲得することができ、嬉しいです。
――メダル獲得後に円陣を組んで喜ばれていましたが、何を話されていたのでしょうか？また、どのような感情でしたか？
福島選手 話はしていませんでした。私達はメダルを目指していたのですが、初戦のハンガリーから世界ランク2位という強敵で、もちろん勝ちを目指してはいましたが絶対に勝てるという自信はそこまでなく、不安もありながら戦っていました。3位決定戦はフランスという世界ランク1位の強豪国で、しかもあのアウェイの会場の中でしたので、勝ちたい気持ちはありましたが、実際に勝った際には「本当に私達できたんだ」という感じでした。
江村選手 あのときは1日中ずっと試合が続いてきて、それを「みんなで乗り切った」「やりきった」「これがチームだ」という本当にワンチームになれたなという気持ちでした。
髙嶋選手 オリンピックの舞台というのは今まで目指してきたものですし、なかなか勝てない時期が続いて苦しい状況でもありましたが、最後は全員で勝ち切ることができ、円陣を組んで初めて嬉し涙が出ました。
尾﨑選手 このオリンピックに向けてずっとチームで苦しい練習をしてきました。45本を取り切り銅メダルが確定したときには、一緒に戦ってくれたチームメイトにありがとうという気持ちでいっぱいでした。
――昨日の夜の過ごし方は？また、銅メダルを実感した瞬間は？
福島選手 私がホテルに戻ったのは12時を過ぎており、皆は寝る準備に入っていました。私は1人で遅めに帰ったので、あまりお祝いみたいなのはせずに1人で喜びをかみしめていました。オリンピックでメダルを獲得したという実感がまだ沸かない中でもオリンピックはすごいと思ったのが、たくさんの方から応援メッセージをいただきそのメッセージを見たことで、オリンピックでメダルを獲得できたのだという気持ちになりました。
江村選手 昨日はそれぞれ別々のタイミングで帰ることになってしまったので、お祝いはしていないです。帰って1時ぐらいには寝る準備を終えてベッドに入りました。興奮と、体が全身バキバキで、そのせいで全然眠れませんでした。そんな中で次から次へと様々な方からお祝いメッセージが届き、これがオリンピックでメダルを獲得するということかと感じました。そのような思いを噛み締めるとともに、感謝の気持ちがずっと溢れています。
髙嶋選手 昨日の夜は疲れすぎてすぐに寝てしまったので、改めて全員でお祝いしたいなと思っています。携帯も見ずに寝てしまったので、今朝になって確認したのですが、様々な方からお祝いのメッセージをいただいていて、それを見て改めてメダルの価値というものを実感することができました。
尾﨑選手 昨日試合会場で家族と会うことができなかったので、ホテルに帰って家族と過ごしていました。家族と解散した後も様々な方からたくさんのメッセージが届いていたので、昨日の夜はメッセージを返信していて寝不足になってしまいましたが、本当に幸せな寝不足だなと思いました。今朝も返信しきれなかったメッセージへ返信を行い、本当に幸せだなと思っていました。
――（江村選手への質問）フランス戦で若い尾﨑選手が粘る姿を見て、どのように思われたか？
江村選手 本当に1日を通して大活躍でした。尾﨑選手が入るタイミングというのは、必ずチームが順調にいっているときではなく、苦しくなった場面で出なくてはいけないというプレッシャーの中で、いつでも戦える準備をしてくれたことにまず感謝しています。実際にピスト上では私が引っ張られて、背中を押してもらうぐらいの気持ちの強さ、そしてスコアの上でもしっかりと勝ち切っていい流れを作ってくれました。一番若手ですが、一番引っ張ってくれたのではないかと思います。
――（江村選手への質問）個人戦は悔しい結果でしたが、団体戦に向けてどのように気持ちを切り替えたか？
江村選手 気持ちをずっと切り替えようとしていましたが、すごく自分でも不安定で、「よしやろう」という気持ちになれるときもあれば、急に不安になるときもあり、自分でも自分の感情がわからないような状態が続いていて、そのまま団体戦を迎えてしまいました。最後まで自分の良さがなかなか発揮できなくて苦しい展開が続きましたし、それもあって自分の気持ちもずっと迷いや不安が消えないまま戦っていました。そんな中でチームの皆、応援してくださる皆が引っ張ってくれとことで、心が折れずに最後まで、ベストな試合ではなかったかもしれませんが、気持ちを切らさずに戦い抜くことができたかなと思います。
――改めてどんなチームだったかを教えてください。
福島選手 フェンシングチームとしてすごく信頼していて、どんなときでもチームの皆を信じて、一緒に感情を共有して頑張ってこられたかなと思います。
江村選手 いつもうまくいくわけではないのですが、昨日の試合はそれぞれの良いところが発揮できたのではないかなと思っています。福島さんは一番歳上でキャプテンとして雰囲気や気持ちの面で皆をまとめて引っ張ってくれるリーダーです。髙嶋選手は、大事な場面で抜群の集中力を発揮してしっかり5点を取ってきてくれる頼もしい存在。尾﨑選手は圧倒的なフレッシュな勢いでチームの流れを作ってくれた存在。自分は最後のポジションを務めており、昨日の自分のフェンシングがそのポジションにふさわしかったかどうかは分からないのですが、皆がそのポジションを信じて任せてくれて、最後取り切れたのはそれぞれの強さが発揮できたからだと思います。
髙嶋選手 これまで数多くこの4人で戦ってきたのですが、なかなか勝てなかった状況が続きました。昨日の団体戦では、キャプテンがチームをしっかりまとめてくださり、1人1人が試合中に感じたことや、気持ちの面で思ったことを共有し合い、一つにまとまったチームになったのではないかなと感じました。
尾﨑選手 江村さんもおっしゃっていたように1人1人の役割があり、それぞれの強さが違ってバランスがとれたいいチームなのかなと思っています。昨日の団体戦の苦しい場面でも、それぞれの役割をしっかり全うし、最後までチームを信じて全員が戦い抜けたので、本当にバランスのとれた良いチームだと思います。
――団体戦の楽しさや魅力、なぜ日本チームが強みを出せるのか？
福島選手 日本チームが強いのはチーム力があるからかなと思っています。団体戦は個人戦よりも緊張感とプレッシャーがあり、すごく苦しい戦いが続きます。そこで戦うのは1人で個人戦のような感じですが、皆で1点1点を繋いで45本取るというチームワークが日本チームは良かったのかなと思います。
江村選手 サーブルは最後に団体戦でメダルを獲得したのが2年前になるので、ずっとうまくいっていたわけでありませんでした。うまくいっていなかった時期と、今回のオリンピックの違いを考えると、うまくいっていなかったときはチームとして戦えておらず、1人1人が個人戦をしているような雰囲気がありました。チームに頼ったり助け合ったりするよりも、自分がしっかりやらなくてはと背負いすぎていたところもあり、今回は全体を見て最後の45点まで皆で何とか繋いでいくという気持ちで戦えたところがあったかなと思います。
髙嶋選手 フルーレとエペが団体戦でメダルを獲得されてから日本に良い流れを持ってきてくださり、次は絶対にサーブルがメダルを獲得するぞという強い気持ちになれたのもあります。試合中は皆が言っていたように、お互いがお互いを信じ合ってチーム一丸となって戦えたのが良かったかなと思います。
尾﨑選手 個人戦とは違った団体戦の難しさというのもあると思いますが、それ以上に誰かの調子が悪くても、他のチームメイトがカバーしてくれました。応援してくれる人も団体戦ということで、日本が一つになって盛り上がってくれて、そのようなこともあり個人戦よりも楽しいと思ってピストに上がって試合ができたことが、メダルに繋がった団体戦の秘訣だったかなと思います。
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