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2024.09.04 オリンピック

【メダリスト会見】総合馬術団体戸本選手、大岩選手、北島選手、田中選手「信じられない奇跡に近い気持ち」

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メダル獲得の心境を語る右から戸本選手、大岩選手、北島選手、田中選手(写真:フォートキシモト)

 パリ2024大会の総合馬術団体で銅メダルを獲得した戸本一真選手、大岩義明選手、北島隆三選手、田中利幸選手が7月30日、記者会見を行い、競技終了から一夜明けての心境を語りました。

 会見の冒頭、選手の前に置かれた輪島塗のタンブラーの紹介がありました。石川県輪島漆器商工業組合よりご協力いただき、今年1月1日の能登半島地震をパリで戦っているメダリストも忘れず、被災された方々も一緒に頑張ろうというメッセージが発信できたらという思いで用意されました。


■戸本選手「私たち以上に馬がアスリート」
――一夜明けた感想をお願いします。

戸本選手 この4人で非常に長い時間を同じチームで戦ってきて、とにかく団体でメダルをという気持ちで活動してきました。いざ獲得してみると昨日見た表彰台からの眺めが自分たちに起こっていることだとは信じられないぐらい、奇跡に近いのではないかなと感じています。

大岩選手 ヨーロッパに渡ってきてから長い年月をかけてようやくここへたどり着いたので、表彰台に立って初めてここまで来たなと実感が湧いてきました。そして一夜明けて、携帯に非常に多くの方から感謝や祝福のメッセージをいただき、このような記者会見にも出席させていただいて、本当にやったのだなという気持ちになっています。

北島選手 同じ気持ちなのですが、まだ昨日は実感が湧いていませんでした。一夜明けてこのような記者会見に出席させていただいていること自体が、自分たちはやったのだなという奇跡的な気持ちでいっぱいです。

田中選手 表彰台に上がったときは本当にすごい景色でした。この舞台に立っているのだなと、こみ上げてくるものがありました。メダルをもらってまだまだ信じられないという気持ちです。一夜明けて、SNSなどで自分たちのことがアップされているのを見て、徐々に実感してきました。


――昨夜は皆さんでどう過ごされましたか?

大岩選手 昨日は競技が終わったときには夕方にさしかかっていたのですが、私たちのパートナーの馬たちが夜の7時半にイギリスにあるそれぞれの厩舎に戻る予定が入っていました。退厩と言いますが、馬をトラックに乗せて荷物を全部積み込んで馬を送り出します。そちらの作業を皆でやっていました。ですから実際に宿に戻る頃にはもう夜中になっていましたが、その前に一度トレーナーたちと皆で食事会を開きまして、そこでお祝いをするような形をとりました。


――馬たちを送り出す際にどのような言葉をかけましたか?また、ご褒美のようなものはあるのでしょうか?

戸本選手 まずこの総合馬術という競技が馬術の中でも本当にタフな種目でして、3日間かけて行われる中でその3日間を完走すること自体がすごく難しい競技です。それを完走してくれた馬には本当にありがとうという気持ちですし、実際に言葉で「ありがとう」とたくさん伝えました。僕の馬は、大きな舞台や大きな試合で本気を発揮するという、自分の仕事をしっかりと理解している馬なので、今回大きな会場に来たことで「やっと俺の出番来たね」という風に頑張ってくれました。とても食べることが好きな馬なので、帰ってしばらくは休養に入るので好きなだけ食べていいよと伝えたいです。

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戸本一真選手(写真:AP/アフロ)

大岩選手 トラックに積み込んで帰っていくときに本当にありがとうということを伝えて、馬が本当に頑張ってくれたことが一番なので、そこの部分を思い出すだけで涙が込み上げてくるものがありました。本当によく頑張ってくれて、この後総合馬術は大体休みに入りますので、ここから放牧してあげたり、自然に返すような形でのんびり休憩を取ってもらい、また時期が来たら一緒にトレーニングをするというようなプランになっています。

北島選手 僕の場合は3日間完走できなかったので、クロスカントリーで怪我をしてしまったということで「ごめんな、すまんな」という気持ちです。もちろん帰ってからしっかりケアをしまして、足をしっかり治してからまた一から踏み出していきたいと思っています。

田中選手 先ほどの北島選手の馬の怪我ということで、選手交替で最終日に臨みました。ジャンプが非常に得意な馬で、本当に信頼して楽しく走行できました。本当にゴールしたときはありがとうという思いを伝えました。イギリスに帰ったときにはリンゴや人参をたくさんあげて、感謝を伝えたいです。


――パートナーの馬と接する上で心掛けていることはありますか?

戸本選手 私たちのスポーツは乗っている私たち以上に馬がアスリートなので、馬の体調管理や怪我の心配というのは日頃からしていて、自分以外の意思を持っているパートナーと同じゴールを目指すというところにこのスポーツの魅力を感じています。同じゴールを共有できるように普段から直接言葉で話しかけたり、馬の首を触ってあげて今の動き良かったよということを伝えたりするようにしています。僕のパートナーはフランス人なのですが、僕はフランス語が喋れないので日本語で「よかったよ」や「ありがとう」ということを伝えています。

大岩選手 やはりパートナーが動物なので、常に馬がどういう状態かということを雰囲気で感じられるようにしています。例えば厩舎に立っているだけでも、今日は足をどこか寝たときにぶつけてしまったとか、どこどこが痛いなど、もちろん口で私たちに伝えてきてくれることはありませんので、私たちが感じ取ってあげなければわかりません。そういうことをずっとやってきているので、自然と触れ合ったり、ただ立っているだけなのですが、「あれ今日ちょっと何となく様子がおかしいな?」と目視してみて初めてわかるというか、何かを感じ取ってどこかに何かあるかもしれないみたいな関係がいつもできているので、そのような気持ちで馬を肌で感じ取れるような環境作りとコミュニケーションを常に取っています。

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大岩義明選手(写真:AP/アフロ)

北島選手 僕たちのトレーニングでは馬に乗っている時間というのは、1日の中で1頭につき1時間から1時間半を費やします。乗ってない時間の方が長いので、先ほど言ったように体を触ってあげたり、飼い食いは良いか、常歩(なみあし)の動きはどうだろうかなど、乗っていないときの方がもっと神経質に見てるいところが多いです。もちろん乗って感じるところもあり「今日はちょっと肩が痛いのかな?」「どこか痛いのかな?」と思って感じるフィーリングもありますが、乗っていないところでの管理を特に気をつけるようにしています。

田中選手  毎朝厩舎の掃除をするときに見たり、トレーニングを1時間ぐらいやるのですがその後のブラッシングだったり、一緒に時間を過ごす中で馬の様子を捉えている状態です。

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田中利幸選手(写真:AP/アフロ)

――日本で初老ジャパンという形で報道されていますがそのことについてご存じなのか、またどのように感じていますか?

大岩選手 大変光栄に思っております。初老ジャパンの中で私は長老になるのですが、私たちマイナースポーツは認知していただくことがすごく大切で、そのような形でネーミングしていただき、皆さんの話題になれたということは、私たちにとっては非常にいいことなので、引き続きぜひよろしくお願いいたします。


――今後の活動プランを教えてください。

戸本選手 私は会社に所属しておりますので、まずは会社に帰ってこの結果の報告をいたします。今後の活動については会社と相談していくことになるので、現時点でどうなるのかは正直わからないですが、東京2020オリンピックに向けた段階からイギリスで活動してきて8年になります。長くこちらで活動をさせてもらっているので、これで一度日本に帰るということになるかもしれないのですが、また日本で次の大会やそれ以外の大きい大会を目指し、日本で活動するということももちろん可能です。それ以外でも、私が海外で経験したことを次の世代、もっと若い選手に伝えたい。その若い選手たちがロサンゼルス2028オリンピックやその次を目指す手助けをするということも、私の使命だというふうに感じています。

大岩選手 私も日本の会社に所属していまして、大会が終わった後に今後について会社の方とお話をして、どういう形をとっていくかというのを決めていこうかと思っています。ただ、今回組んだパートナーはもう16歳という年齢ですので、4年後となりますと20歳ということになります。ですからこのパートナーシップでこのまま次のオリンピックに向けていくということはおそらくないと思います。どういった形で続けるのか、いろいろと相談した上で決めていきたいと思っています。

北島選手 私も同じく日本の会社に所属していますので、今後の活動というのは帰ってから相談する形になります。もちろん日本で次の世代を育てていく、自分自身で次にトライしたいと会社に掛け合うのはこれからのことなので、どんどん未来を変えていきたいと思います。

田中選手 私も日本の会社に所属していまして、まずは会社に報告してから今後のプランを会社と相談します。今の時点で4年後をどうするかというのはまだわからないです。


――92年ぶりにメダルを獲得できた要因はなんだと思いますか?

大岩選手 今回メダルが獲得できた一番の要因として、東京2020オリンピックがあったことにより、そのための強化があったというのが大きかったです。東京2020オリンピックの前から強化を行っており、このパリ2024オリンピックまでの期間としては長い年月がかかっています。その間同じこの4名でヨーロッパに滞在したままトレーニングをずっと続けられました。それぞれの所属している会社の事情もありますので、本来はもう少し人の交代がある場合もあります。今回は本当に同じメンバーが10年近くヨーロッパに滞在して、一番環境のいいところで続けることができた。これが一番の要因だと思っています。

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右から戸本選手、田中選手、大岩選手、北島選手(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

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