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2024.08.29 オリンピック

【メダリスト会見】フェンシング競技女子フルーレ団体「世界で一番重い300グラム」

メダル獲得の心境を語る右から宮脇選手、東選手、上野選手、菊池選手(写真:アフロスポーツ)
メダル獲得の心境を語る右から宮脇選手、東選手、上野選手、菊池選手(写真:アフロスポーツ)

 パリ2024大会のフェンシング競技女子団体フルーレで銅メダルを獲得した宮脇花綸選手、東晟良選手、上野優佳選手、菊池小巻選手が8月2日、記者会見を行い、競技終了から一夜明けての心境を語りました。

会見の冒頭、選手の前に置かれた輪島塗のタンブラーの紹介がありました。石川県輪島漆器商工業組合よりご協力いただき、今年1月1日の能登半島地震をパリで戦っているメダリストも忘れず、被災された方々も一緒に頑張ろうというメッセージが発信できたらという思いで用意されました。


■上野選手「歓声が逆に自分たちの力になった」
――一夜明けた感想をお願いします。

宮脇選手 オリンピックは本当に特別な舞台だということで、知っている人全員から連絡が来るぐらい、友達や応援してくださった方々皆が喜んでくださり、祝福してくれて心がいっぱいになりました。スポーツはうまくいかないときの方が多く、やめようかと思ったときも今までにありましたが、それでもチーム皆で一歩ずつ前に進んでいった結果が、この銅メダルに繋がったのではないかと思います。日本女子フェンシング史上初めてのメダルということで、まずは大きく一歩前進できたのではないかと思っております。

宮脇花綸選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)
宮脇花綸選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

東選手 今までで初めてというくらいSNSなどでたくさんの方から多くのDMが来て、とても嬉しくてまだチェックできてないほど来ています。寝不足のはずなのに、こんなにすっきり目覚められたのは初めてというぐらい良い朝を迎えました。

上野選手 オリンピックは2回目でしたが、東京2020オリンピックのときよりも期待されて臨んでいたため、非常に緊張もありました。試合前はメディアの方々にメダルを獲ると何度も言っており、そのプレッシャーも自分の中で感じながら試合をしていたので、終わったときはほっとしたという気持ちも強く、朝起きたときには安心したという気持ちが一番強かったです。

上野優佳選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)
上野優佳選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

菊池選手 私はリザーブ選手として今回試合に出場し、3位決定戦ではあったのですが、皆と嬉し涙を流すことができて本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの方からメッセージをいただいて、こんなにも私の競技人生において関わり、応援してくださっている人がいるのだなと思うと、非常に幸せだと感じました。自分の中で反省点というものはありますが、まずはチームの皆やコーチの皆と喜びを分かち合いたいと思います。


――メダルをかけられたときの思い、その瞬間の思いを教えてください。

宮脇選手 勝った瞬間に「これでメダリストになったね」という話がありました。その後も様々な取材を受けたのですが、まだメダルを手にしておらずあまり実感がないような状態でした。その中でメダルを手にして、本当にメダリストになったのだなと感じました。重いメダルで3~400グラムありそうだなという感じですが、これまでの3年間、あるいは自分の競技人生22年間の想いが詰まったメダルだったので、すごく変な言い方になりますが、世界で一番重い300グラムだなというような実感をしました。

東選手 小さい頃から夢見てきたオリンピックのメダルが自分の手元にあるということが最初は現実的でない感じがして、今はずっと持っているので自分のものになったと感じています。早く地元に帰り、今までサポートしてくださった方に持たせてあげたいと思っています。

東晟良選手(写真:ロイター/アフロ)
東晟良選手(写真:ロイター/アフロ)

上野選手 もらったときは本当に重量感があるなという想いが一番ありました。苦しい想いもしてきたし、嬉しい想いもしてきましたが、やはり苦しいという気持ちをしてきたことが一番多かったので、その結果が報われたという気持ちがものすごく強かったです。

菊池選手 首にかけた瞬間はやはり皆の想いが詰まったメダルだったので、今までもらってきたメダルの中で一番の重さを感じました。今は早く地元の熊本県の皆さんや、今までお世話になった方々にかけてあげたいという気持ちでいっぱいです。

菊池小巻選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)
菊池小巻選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

――グラン・パレの舞台に立って感じたことをお伺いしたいです。

宮脇選手 このような舞台、フェンシングにすごく親しみのあるフランスの国民の皆さんの前でフェンシングができたということは、本当にフェンシング選手としても非常に幸せな時間でした。やはりオリンピックに出たとしても開催地によっては出場できる状況ではないということも考えられるので、本当にパリ2024オリンピックをフェンシング選手として出場できたことは幸せに思っています。試合での感想は、天井がすごく高く、いつもの練習場とは全く違う風景だったので、そういった部分で少しプレッシャーを感じました。一方で観客の皆さんの声援は本当に力になり、日本人だけではなく、現地の方々の声援も本当に力になりました。

東選手 試合の3日前に初めて試合会場を見たときにすごいなと思いました。まだ試合会場が完全にできていない状態でしたが、会場の凄さにものすごく興奮していました。フェンシング人生、今までももちろんですが、この先においても、多分一生の思い出に残る一番の会場だと思っているので、この会場で競技できて非常に幸せでした。家族も見に来てくれたので、グラン・パレで試合をするところを見せられてとても嬉しかったです。

上野選手 個人戦のときは歓声に圧倒され、審判の声とかも聞きづらく、審判機という音が鳴る機械の音も全く聞こえずに非常に焦ってしまったり、パニックになってしまった部分は大きかったです。一方で団体戦はすごく安心して試合ができましたし、歓声が逆に自分たちの力になっていたので、非常に楽しんで試合をすることができました。

菊池選手 1年前の世界選手権がミラノで行われたのですが、その前にボラレーヌで合宿があり、そのときはまだ工事中だったグラン・パレを見に行ったときに、1年後にここで戦いたいなという気持ちがすごく強まりました。それをまず実現させることができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。そしてまず個人戦のときに会場を見て、緊張する雰囲気なのかなと思いましたが、私はその試合でメインとなるポディウムのピストでやることによって、雰囲気を楽しみながら試合することができ非常に良かったです。これまでにない良い会場だと思いますし、フランスの皆がルールを分かっているという状況での試合も非常に興奮して楽しかったです。

大観衆の中での試合(写真:AP/アフロ)
大観衆の中での試合(写真:AP/アフロ)

――東選手と上野選手にお伺いします。今回が2度目のオリンピックでしたが、前回大会からの3年間で成長したこと、成長を実感していることを教えてください。

東選手 個人戦は東京2020オリンピックと同じく1回戦で負けてしまい、それはすごく残念で悔しかったです。団体戦は東京2020オリンピックと違い、メダルを獲得することができてチーム全体も成長しましたし、東京2020オリンピックと比べると個人から団体にかけてのプレイも良くなったなと感じます。

上野選手 東京2020オリンピックのときはやはり初めてのオリンピックということもあり、気持ちもふわふわしていましたし、メダルを獲りたいという気持ちはありましたが、正直厳しいなと感じていました。今回は本当に自信を持って挑むことができましたし、個人戦ではふがいない結果になってしまいましたが、団体戦では以前に比べて一体感もすごく増していましたし、チームの声かけも以前より多くなっていたと感じ、チーム力というところはものすごく上がっていたのかなというふうに感じます。


――宮脇選手と菊池選手は今回が初めてのオリンピックでしたが、初めてのオリンピックでメダル獲得、どのような舞台でしたか?

宮脇選手 出場して初めて、オリンピックの本当の価値や素晴らしさを知りました。オリンピックが特別な大会だという意味を、身をもって実感しました。個人戦を振り返ると、やはり優勝する人は世界ランキング1位になったことのある選手ばかりで、そういう意味ではまだまだ世界チャンピオンになる準備が足りなかったということを実感しましたし、4年後のロサンゼルス2028オリンピックに向けての大きな課題だということを痛感しました。ただ、チームに恵まれ団体戦という機会を得て、チームに助けられてメダリストになれたことは、本当にチームの皆、スタッフ、コーチの方々に感謝しています。

菊池選手 初めてのオリンピックということでもっと緊張するかと思いましたが、頼もしい皆がいてくれ、3位決定戦までの試合を見ていると自分も早く出たいという気持ちにどんどんなりました。これまでの準備期間もずっと一緒に苦しいことを乗り越えてきたメンバーなので、初めてのオリンピックでしたが自信を持って挑めることができて良かったです。


――これからのフェンシング界がどのようになって欲しいか、どのようにしていきたいか教えてください。

宮脇選手 日本のフェンシング女子が初めてメダルを獲得できたということで、これを見て私もできると思う選手がどんどん日本に増えてきてほしいと思います。4年後、追いつかれないように頑張りますが、皆で切磋琢磨してもっともっとすごいチームになり、次は金メダルを持って帰れるチームになりたいと思っています。

東選手 まだまだ日本のフェンシングの人口はフランスやイタリアに比べて少ないと思うので、もっと競技人口が増えて盛り上がったらいいなと思います。次のオリンピックでは決勝に行けるような実力を、これからつけていきたいと思っています。

上野選手 チーム全体としてもメダルを獲れる実力になってきたというところはありますが、まだまだ金メダルというところには遠いと思うので、この4人のメンバーだけではなく日本チーム全体の底上げを意識して、自信を持って金メダルを獲得しますと言えるように頑張っていきたいと思います。

菊池選手 私もそうだったのですが、小さいころから選手を見て、オリンピック選手になりたいと思ってくれるような子どもたちがどんどん増えてくれることを願い、私達ももっともっと頑張れるのかなと思います。

表彰台にあがる選手たち(写真:青木紘二/アフロスポーツ)
表彰台にあがる選手たち(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

――昨日帰った後にお祝いをしたのかを代表して宮脇選手に、お姉さんとのやりとりを東選手にお伺いしたいです。

宮脇選手 昨日は終わったのが夜遅く、私のドーピング検査もありましたし、代表のコーチも全員が選手村に泊まっているわけではなく、さらに同部屋の選手が本日トランポリンの大事な試合の日ということもあって、皆すごすご帰って静かに過ごしたので、また改めてどこかで揃って打ち上げできたらいいなと楽しみにしています。それまでちゃんと禁酒をしています。

東選手 夜中でしたけど全部観ていてくれました。両親は現地に応援しに来てくれていたので、メダルをかけてスリーショットで撮った写真を送ったら「メダルかけられてよかったな」と言ってくれて、非常に喜んでくれたのでこっちまで嬉しくなりました。

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