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2024.02.28 その他活動

「令和5年度アスリート交流会」を実施

「令和5年度アスリート交流会」を実施
「令和5年度アスリート交流会」を実施(写真:フォート・キシモト)
「令和5年度アスリート交流会」を実施
水鳥寿思JOC選手強化中長期プロジェクトリーダー(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は1月25日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「令和5年度アスリート交流会」を開催し、43名のアスリートが参加しました。

 今回の交流会は、オリンピック強化指定選手・オリンピックネクスト強化指定選手を対象に、競技間連携を深め、アスリート間のネットワーク構築を図ることで、今後の活躍に役立てることを目的としています。

 司会進行を務める水鳥寿思JOC選手強化中長期プロジェクトリーダーが開催の趣旨を説明するとともに、今回参加するファシリテーターを紹介。井上康生JOCパリ2024対策プロジェクトリーダー、谷本歩実JOC理事、松田丈志JOCアスリート委員会委員長、高橋成美JOCアスリート委員会委員、髙平慎士JOCアスリート委員会委員の5名のオリンピアンが、リラックスした雰囲気で参加者に挨拶をしました。

 交流会は、第1部のパリ2024内定選手3名のパネルディスカッションで幕を開け、羽根田卓也選手(カヌー)、半井重幸選手(ダンススポーツ/ブレイキン)、橋本大輝選手(体操)が登壇。『能力開発』『挑戦』『試練』『仲間』『志』をテーマに、貴重な意見交換が行われました。

「令和5年度アスリート交流会」を実施
羽根田卓也選手(写真:フォート・キシモト)
「令和5年度アスリート交流会」を実施
半井重幸選手(写真:フォート・キシモト)

 『能力開発』について、羽根田選手は、トレーニングなどの情報量が少なかった時代に海外の強豪選手になかなか勝てなかった苦労を語ります。「自分だけの狭い範疇でやっても勝てるわけがないと思ったので、僕は世界のカヌー競技のトップランナーに、まず話を聞くことからはじめました。どのような生活をしていますか? どのように教えていますか? など、いろいろなことを聞いて、まずは試してみるということをすごく大切にしてきました」と、試行錯誤の経験を語りました。また、半井選手と橋本選手も、自身の競技レベルよりも高いと感じる環境に身を置くことの重要性に頷きます。

 『挑戦』のテーマでは、半井選手が「2020年3月に高校を卒業して東京に出てきたのですが、直後に緊急事態宣言。自宅待機が必要になって、大会もなくなり、もう何もできない状態。キャリアにとってという訳ではないですが、気持ち的にどん底というか、かなりしんどい環境でした。それでも、その行動を制限された中で、どれだけ早く気持ちを切り替えて、自分が毎日毎日少しでも成長しているなと感じるように努力するかがカギだと思って一人で練習をしていました。その結果、半年後に無観客で行われた世界大会でタイトルを獲ることができました。その後にブレイキンがオリンピック種目に採用されるなど、すぐに次の目標ができて今も走り続けています。全てがあの逆境の中で挑戦したことが良かったのかなと印象に残っています」とコロナ禍での奮闘を語りました。羽根田選手はスロバキアでの海外挑戦、橋本選手は強豪高校への入学が転機になったことについて語り、司会の水鳥氏も環境の大切さに賛同します。

「令和5年度アスリート交流会」を実施
橋本大輝選手(写真:フォート・キシモト)

 『試練』について、橋本選手は「僕は3つの試練がありました。1つ目は東京2020大会で金メダルを獲った後のモチベーション低下。2つ目はプレッシャー。次の大会も金メダル期待できますよね? と当時はよく聞かれていました。自分では気にしていなかったつもりでしたが、自分の体操が何なのかを見失っていました。3つ目は怪我。突発的な怪我ではなく、自分が抱えている慢性的な怪我です。ここで休んだら成長できないのでは、と気持ちが焦っていました。この3つの試練に対する私の回答は、何も気にしないこと。もしくはプラスなことを考えた方がいいと思います。今まで難しい技しか練習していなかったけれど、基礎的な練習も取り入れてみるとか。前に進めていなかった自分が進めるようになりました。何も気にせずに気持ちを楽にして、自分ができることを探したほうがいいと思っています」と、自身の困難に対する乗り越え方をアドバイスしました。水鳥氏も「最近、大輝は吹っ切れてきたよね」と橋本選手の成長に目を細めます。

 『仲間』については、「応援してくれる人たちがいて成り立ってきた私のカヌー競技です。ゴールライン手前まで皆さんに押してもらって、最後のひと漕ぎだけ自分がするという思いでやってきました。応援してくださる人たちから、アスリートとしてだけではなく人としてどう見られているかが大事だと思います」と羽根田選手。半井選手は「ブレイキンは個性を活かした自己表現。正解がありません。自分を育ててくれた親や家庭環境、学校の友達、ストリートでの競技仲間。もちろん自分の信念が軸にありますが、自分を形造る環境がダンスにも通じます。後輩からもたくさん刺激を受けますし、仲間というのはダンサーとして重要なピースだと思います」と話します。橋本選手は「いろいろな人からアドバイスを聞いた方がいいと思います。聞くことに関して、デメリットは全くありません。いろいろな意見を聞いて、自分の正解を出していくやり方もあります。仲間は本当に大事で、たったひとりで練習していても絶対に上手くいかないし、楽しくないと思います。やっぱり仲間がいれば一緒に頑張ることができますし、意見やアドバイスも求められます。やはり自分の成長にはいろいろな人の力が必要だと思います」と自身の経験を語りました。

 最後に『志』について、羽根田選手は「大切にしたいのは、なぜ自分がそれをやるかという理由、動機です。なぜ自分はこの競技でオリンピックを目指すのか、メダルを取らなくてはいけないのか。自分を応援してくれている方々に、上手くそのストーリーを伝えられると、可能性も広がっていくと思います。自分では、日本人選手はヨーロッパの選手に勝てないと言われていた中で、その壁を打ち破りたいというのが大義でした」とコメント。半井選手は「自分は小さい頃、絵を描くことが好きで、0から1を生み出す作業が好きでした。そのアート性や唯一無二のスタイル、感覚と価値観で作り上げていくことが、ダンスとつながっていると思いますし、何か創造していく作業が得意です。例えば、何十年か後にブレイキンの第一線を退いたとしても、何かを生み出すことへのモチベーションは、多分下がらないだろうなと思います。また自分はブレイキンと出会って稲妻が走るような感覚を味わいましたが、それを世界のひとりでも多くの人に感じてもらいたいです」と意気込みます。

「令和5年度アスリート交流会」を実施
グループディスカッションの様子(写真:フォート・キシモト)
「令和5年度アスリート交流会」を実施
記念撮影(写真:フォート・キシモト)

橋本選手は「自分は内村航平さんに憧れて、オリンピックで金メダルを獲りたいという夢がありました。今年はオリンピックイヤーで結果も本当に大事なのですが、やはり多くの人に自分の演技を見てもらい、体操を始めたいと思ってもらいたいですし、夢や目標を与えられる選手になりたいと思います。また自分の演技で、何か一つでも人々の心を動かすものがあればいいなと思います」と決意を語りました。

 第2部では、第1部のテーマを踏まえグループディスカッションが行われ、オリンピック強化指定選手やオリンピックネクスト強化指定選手たちが、パリ2024内定選手の3名、ファシリテーターとして参加した5名のオリンピアンに多くの質問をぶつけるなど、活発な意見交換が行われました。その後、レクリエーションとしてオリンピックにちなんだクイズ大会が行われるなど、終始笑い声の絶えない和やかな交流会が幕を閉じました。

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