日本オリンピック委員会(JOC)は9月10日、日本オリンピックミュージアム+(プラス)企画展関連イベントシリーズ「囲碁体験」with 全日本囲碁連合を開催しました。このシリーズは日本オリンピックミュージアムで開催中の企画展『パリ2024大会1年前→杭州2022アジア競技大会』の関連イベントとして、パリ2024オリンピックの追加競技やアジア競技大会ならではの競技の体験イベントを、競技団体の協力のもと実施するものです。今回はその第二弾として、全日本囲碁連合の協力のもと、杭州2022アジア競技大会で実施される「囲碁」の体験イベントを開催しました。
当日は講師として、吉原由香里六段、藤原克也六段の2名と、ゲスト棋士として午前の部に関航太郎天元、午後の部に佐田篤史七段が登場しました。当日のプログラムは2部に分かれて、「囲碁体験」と日本オリンピックミュージアム見学会が行われました。
■囲碁体験
午後の部では吉原六段と藤原六段が、囲碁の基本的なルールについて説明をしました。囲碁の普及に努めているお二人の、子どもたちにも分かりやすい説明によって、和やかに講義が進んでいきます。講義の中で「この場合は碁石をどこに置いたらいいでしょうか?」などと会場に問いかけると、参加した子どもたちも積極的に意見を出してくれました。
一通りのルールを説明したところで、参加者同士で石取りゲームが行われました。子どもたちの中に囲碁の経験者が多かったこともあり、ここまでの時間で教えたこと以上の手を見せるなど、見回っている吉原六段や藤原六段が驚く場面も見られました。
参加者同士の石取りゲームが終わったところで、杭州2022アジア競技大会TEAM JAPAN代表選手の佐田七段が登場。今度は佐田七段と吉原六段のお二人の石取りゲームを会場で披露しました。石を2つ獲った方が勝利というルールの中、先に石を獲ったのは吉原六段。「佐田七段から獲ったこの石は宝物にしようかな」と喜んだのもつかの間、佐田七段が反撃を見せます。吉原六段の逃げる石を追いかけ続け、最終的に盤の端でまとめて大量の石を獲りました。この一連の手順について「今の形は囲碁の必殺技の一つです」と会場に説明すると、参加した子どもたちから「『シチョウ』って言うんだよね」と声が上がり、その知識の豊富さに佐田七段も驚いた表情を見せていました。
その後、吉原六段と藤原六段が模範対局を行い、石を獲るだけでなく陣地を確保する動きや、最後の整地についても説明し、続いて参加者同士での対局が行われました。最初の石取りゲームでも見事な腕前を披露した子どもたちでしたが、講師やゲスト棋士の対局を見たおかげかさらにレベルが上がり、会場の至る所で大人顔負けの対局を披露していました。
この対局をもって、囲碁体験は終了。続いてのオリンピックミュージアム見学会の前に5分ほどの休憩時間が設けられたのですが、この間にも子どもたちが佐田七段に対局を申し込み、白熱した様子を見せていました。
■日本オリンピックミュージアムを見学
次のプログラムでは、吉原六段と藤原六段、佐田七段、子どもたちが一緒にオリンピックの歴史や価値について学ぶミュージアム見学会が開かれました。見学会ではアジア競技大会の歴史を学ぶとともに「オリンピックって何だろう?」という問いかけのもと、オリンピックシンボルや各大会の聖火トーチなどの展示品を見学し、自分なりのオリンピックについて考えを深めてもらいました。そして「オリンピックゲームス」エリアでは、子どもたちがジャンプコーナーやシンクロコーナーなど、オリンピアンの身体能力に挑戦し、盛り上がりました。
見学終了後には、参加した子どもたちと吉原六段と藤原六段、佐田七段で記念撮影が行われ、最後に佐田七段が「今の日本には囲碁のチャンピオン(=タイトル保持者)が4人います。杭州2022アジア競技大会は5人で1チームなのですが、実はその中で私だけがチャンピオンではありません。トランプで例えるとKが四枚ある中に7が一枚混ざっているような状態です。不安もありますが、金メダルを目指して一生懸命頑張るので応援してください」 と子どもたちに伝わりやすい形でユーモアも交えつつ杭州2022アジア競技大会への抱負を述べ、イベントが締めくくられました。
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