日本オリンピック委員会(JOC)は6月17日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「令和5年度JOC国際人養成アカデミー(JISLA)」の開講式を行いました。このアカデミーは、競技力向上につながる組織、人、財政などにおける国際力の強化を見据え、将来JOCやJOC加盟競技団体を代表し、国際スポーツ組織等の政策決定過程に関与できる、あるいは国際的な折衝において活躍できる人材の育成を目的としています。
過去12年間のなかで、329名の方がこのコースを修了し、うち97名の方がIF(国際競技連盟)、50名の方がAF(アジア競技連盟)でポジションを得ました。
また、一昨年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技においては、多くの修了生が競技運営ディレクターやテクニカルマネージャーとして活躍しました。
13年目となる今年度のアカデミーは、20の国内競技団体(NF)等から推薦された 計24名が受講。開講式には受講生とアカデミーのスクールマスターやNFを代表する方々らが参加しました。
最初に主催者を代表して、横井裕JOC国際委員会 委員長が挨拶に立ち、受講生に対し、熱いメッセージを送りました。
横井裕JOC国際委員会 委員長
「JOC国際委員会では、JOCの国際戦略の基本方針を策定しました。そこに示された方針には4つの柱として『JOC自身の国際力向上を推進すること』『NFの国際力向上を協力・支援していくこと』『国内外のスポーツ組織の連携を推進すること』『これら3つの共通基盤としての国際人材の育成』が示されております。受講される皆様にも、アカデミーを修了された後にどのような組織でどのように活躍したいのか方針を明確にしつつ、そしてそのために克服すべき課題は何なのかを意識しながら実行していただきたいと思います。
JOCの活動の中でも、この国際人養成アカデミーが最も力強く、明るい話題に富んだものだと思います。大人になった後に自分が関心を持つことを専門的に学ぶことができる。さらには同じ思いを持つ数多くの人たちと一緒に学ぶことができる機会は人生の中でも数多くはありません。
これからアカデミー修了まで、日本のスポーツ界のみならず、世界のスポーツ界の発展に向上するという目的を持って、多くの仲間達と励まし合いながら最後まで学びをやり遂げていただきたいと思います」
次に今年度のアカデミーの運営、企画、進行を中心として行うスクールマスターの3名が紹介され、それぞれ受講生に向けてメッセージを述べました。
大塚眞一郎 ワールドトライアスロン副会長
「今年度は24名の方々にご参加いただくこととなりました。この中にはオリンピアンの方もいれば、オリンピック競技種目ではないNFや、オリンピック競技・種目だったけれど今は違うというNFの方もいらっしゃいます。また、本会関係団体の方もいらっしゃいます。非常に多様性のある集まりになっており、この横の連携は皆様方にとって大変財産になると思いますので、ぜひとも持ち帰っていただけたらと思います。
皆様は各NF等から推薦を受けてご参加されたと思いますが、まずは推薦された各NFの国際戦略を理解していただくこと。そして、自分自身がどのようにしていきたいのか、何をやっていきたいのかということを、このアカデミーの中でぜひとも見つけていただきたいと思います。
アカデミーの講義のうち半分が英語です。アスリート達が頑張って世界で戦っているのと同じように、皆様もこのアカデミーで戦ってください」
川廷尚弘 国際テニス連盟理事
「私は20歳の頃からテニスの審判をしており、そこからアジアテニス連盟、国際テニス連盟と所属し、最終的に日本テニス協会に入りました。その際に、どのようにコミュニケーションを取ったらいいのかと思った経験がありますので、このアカデミーで学べる機会がある皆様のことを羨ましく思っております。
このアカデミーでは非常に貴重な時間を過ごせると思いますし、ここでしか作れない横の繋がりを作ることもできますので、一生懸命受講していただければ幸いです」
齋木尚子 ワールドラグビー理事
「皆様が興味関心のある分野や現在お仕事をされている分野について集中的に学ぶことができるこのアカデミーは、大変素晴らしい機会であると思います。加えて、同じ問題意識や興味関心を持った方々と一堂に会して半年に渡って濃密な時間を共有できる、そしてそのネットワークが今後も続いていくということも極めて貴重な機会であります。
ぜひ皆様におかれましては、現在の強みや弱みは何か、その強みをより強固にし、弱い部分に対してはどのように工夫していけるのかということを意識しながら講義に臨んでいただけたらと思います。
この半年、私も可能な限りアカデミーに参加し、皆様といろいろ議論をさせていただいて、皆様からもいろいろ教えていただきたいと思っております。もし私が皆様に何か刺激を与えることができるとすれば望外の喜びです。どうぞよろしくお願いいたします」
続けて修了生による事業紹介として、令和4年度修了生の宮部周作氏(日本サーフィン連盟)が登壇。昨年のアカデミーを振り返り「大人になってから自分が興味を持っていることを専門的に学ぶ機会をいただいて、大変でしたけれども非常に楽しかった」と感想を述べ、受講生へ向けて「国際舞台では他の国の人達の方が積極的に発言している。その練習だと思って、アカデミーの中ではぜひ積極的に質問や発言を行ってほしい」とアドバイスしました。
最後に今年度の受講生24名全員の自己紹介が行われ、和やかな雰囲気で開講式が執り行われました。
アカデミーは週末を中心に全8週間の過程で行われます。受講生たちは国際スポーツ界で活躍するために必要な知見に関する講義を受けるほか、プレゼンテーション、ネゴシエーションなどのコミュニケーション方法を英語で学び、最後にアセスメント(修了試験)を受験。各カリキュラムを通じて、国際力向上を目指します。
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