日本オリンピック委員会(JOC)は12月23日、「令和4年度JOCコーチ会議」をオンラインで開催しました。ナショナルコーチ・専任コーチ等をはじめ、国内競技団体(NF)の選手強化に関わるスタッフ等の関係者、JOCの役員、選手強化本部をはじめ各専門部会の部門員等、約350名が参加。北京2022冬季大会の総括とパリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会に向けた情報共有のほか、JOC選手強化中長期戦略プロジェクトに関する説明などが行われました。
プログラムの実施に先立ち、JOCの星野一朗専務理事が挨拶に立ち、はじめに東京2020大会以降で浮き彫りになった問題について触れ、「スポーツ界が一致団結し『人間力なくして競技力向上なし』この言葉通り、インテグリティとガバナンスをより高め、スポーツの持つポジティブな活動を展開していかなければなりません」と述べました。続けて、「皆様と共に引き続きコミュニケーションをとりつつ、準備態勢をとっていきたいと考えています。引き続き連携をお願いします」と参加者に呼びかけました。
続いて、JOCの尾縣貢選手強化本部長から「東京2020大会が終了してから一年以上の時間が過ぎました。スポーツ基本法の冒頭にありますように今こそ、スポーツを世界共通の人類の文化に昇華させるいい機会だと思っております。アスリートの活躍でスポーツを盛り上げていただき、それを2023年のアジア競技大会、そして2024年のパリオリンピックに向けてのスタートダッシュとしたいと思っております。ぜひ皆様のご協力をお願いいたします」と挨拶しました。
また、来賓としてスポーツ庁の西川由佳競技スポーツ課長が挨拶し、東京2020大会と北京2022冬季大会開催に対する感謝を述べた後、来年度の競技力向上事業の予算案、今後も持続可能な国際競技力向上プランの策定について説明。そして、東京2020大会で問題となった事案について「アスリートが最大限のパフォーマンスを発揮し、好成績を残していくためには、国民からの応援が不可欠です。パリ2024大会やその先の大会に向けて、アスリートを応援しようという機運を醸成していけるかどうかは、わたくしたちの行動にかかっています。皆様におかれましても、スポーツに対する国民の信頼が損なわれ、国民がスポーツに関心を持たないというような事態に陥ることがないように競技団体の中でインテグリティの確保に取り組んでいただきたいと思います」と述べました。
1.パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会に向けて
次に、パリ2024大会、ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会に向けてJOC事務局の小林強化部長代理が現時点の準備体制、今後の方向性について報告。パリ2024大会・ミラノ・コルティナダンペッツオ2026冬季大会について、アスリートやNFのニーズに合うような大会準備とサポート体制を議論していることが紹介されました。
続いて、井上康生パリ2024対策プロジェクトリーダーが「皆様方からご意見もいただきながら、できるだけ現場のニーズに応えていけるように努力してまいりたいと思いますので引き続きよろしくお願いします」と述べました。
そして伊東秀仁ミラノ・コルティナダンペッツオ2026対策プロジェクトリーダーから「やっと現地視察ができるような状況になりました。3年前ではありますが見学させていただいて、すぐに冬季競技の皆様にフィードバックしたいと思います。その状況を踏まえて来年はNFの皆さんと共に現地調査に行きたいと思っておりますのでご協力お願いいたします」と締めくくりました。
2.JOC選手強化中長期戦略プロジェクトについて
次に「JOC選手強化中長期戦略プロジェクト」について、「憧れられるアスリート」を継続的に育成するために、JOC選手強化本部としての目標の方向性や目指す姿、戦略の柱について、水鳥寿思選手強化中長期戦略プロジェクトリーダーが解説。また、現在実施している3つのWG(指導者、アスリート、データ&テクノロジー)における施策やサポートプログラム案について説明しました。加えて、オリンピック強化指定選手になる前に早期から競技力、人間力、キャリア等に関する意識付けを行うため、オリンピックネクスト強化指定選手を検討していることを明かしました。そして、「今後、皆様、あるいはアスリートにとって有益な情報を発信し、サポート体制を築いてまいりたいと考えております。ぜひこのような機会を活用して共に学んでいきましょう」とまとめました。
3.「令和4年度JOC情報・医・科学合同ミーティング」
続いて「令和4年度JOC情報・医・科学合同ミーティング」が行われ、JOC情報医科学専門部会長の土肥美智子先生が大会におけるメディカルチェックとワクチン接種の方針について従来との変更点、メリットについて共有されました。続いて、土屋裕睦先生から新型コロナウイルス感染症拡大のなかで、メンタルヘルスが重要視されている理由、課題を感じている人へどのように対処すべきかなどが東京2020大会や北京2022冬季大会の事例をもとに紹介されました。そして、JOC情報医科学専門会から東京2020大会、北京2022冬季大会におけるメンタルヘルスの研究・調査の結果を説明し、参加者からの質疑応答が行われました。
4.令和3年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式
続いて「令和3年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」が行われ、令和3年度の修了者25名を代表して日本ダンススポーツ連盟の渡邊将広さんに、前原正浩JOCナショナルコーチアカデミーディレクターから修了証が贈られました。渡邊さんは、「志の高いメンバー達と8週間、160時間を切磋琢磨することでオリンピックバリューであるスポーツの価値を学び、さらに行動指針も得ることができました。私たちはこれからスポーツの現場で活動するときには行動指針に則り、スポーツの持つ価値を守り、向上させていくことを決意します」と、抱負を語りました。
また、渡邊さんの言葉を受けて、同アカデミーの一期生でもある尾縣選手強化本部長は「苦労されただけ多くの学びを得られたと思います。知識や経験、そして志を同じにする同志、この有形無形の宝物をこれからぜひ活用してそれぞれのスポーツ、日本のスポーツをリードしていただきたいと思います。皆様の活躍を心から祈念しております。おめでとうございます」と修了者に向けてエールを送りました。
5.クロージングセッション
最後に、クロージングセッションとして尾縣選手強化本部長が閉会の挨拶に立ち、「スポーツ界を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがございますが、今こそ私たちが連携を強化していろんな課題を解決しなければなりません。今後も情報交換共有しながら、共に協力していきましょう」と述べ、今年度のコーチ会議を締めくくりました。
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