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2022.07.12 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
プレゼンを行った5選手。左から馬場晴菜選手、石川愼之助、谷地宙選手、オトパウリネ恵美里選手。(倉菜々子選手はビデオ登壇)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は6月7日、愛知県名古屋市でトップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。
 アスナビとは、オリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに211社343人(内定者含む、2022年6月7日現在)の採用が決まりました。

 説明会は愛知県、中部経済同友会との共催で行われ、23社31名が参加しました。

 最初に主催者を代表して中森康弘JOC強化部専任部長がアスナビ説明会に参加した企業に対する感謝の言葉を述べました。続けて、「愛知県では、2026年に中部圏で初の国際競技大会となる第20回アジア競技大会が開催され、次世代を担う子どもたちが世界で活躍するトップアスリートたちの活躍を、間近に見る機会がございます。これからの採用をご検討いただき、2026年のアジア競技大会が大成功に終わるよう、中部経済同友会の皆様もぜひ支えていただけますようお願い申し上げます」と、参加企業にアスリート採用を呼びかけました。

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
大村秀章愛知県知事
JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
敷島製パン株式会社の加納圭太人事部・人材開発グループ マネージャー(上)、高原宜希選手(下)

 続いて、共催者を代表して大村秀章愛知県知事は「本日ご出席いただいたアスリートの皆さんは愛知県を中心とする中部エリアでの就職を希望していると伺っております。この機会に是非とも積極的にPRを行っていただければと思います。また、企業の皆様にはトップアスリートのお話に耳を傾けていただいて、積極的な採用をご検討いただければと思っております」と、期待の言葉を贈りました。

 次に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要ならびに、過去にアスナビを通じて採用されたアスリートと採用企業の担当者のコメントを動画で紹介。さらに資料をもとに、雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、採用後のカスタマーサポート、これからの進め方などを説明しました。

 続いて行われた採用企業の選手活用例では、敷島製パン株式会社の加納圭太人事部・人材開発グループマネージャーとアスナビを通じて採用された高原宜希選手(スキー/スノーボード)が登壇しました。まず加納さんが会社概要を説明。そのあと高原選手が北京2022冬季オリンピックの振り返りと、社会貢献活動、会社の活動支援について述べました。

 次に、加納さんは高原選手の実務について紹介し、高原選手の入社による影響と効果について、「社内コミュニケーションの活性化」、「会社全体及び、社員一人ひとりの刺激」、「社外との新たなつながりやアイデアの誕生」の3点を挙げました。とくに、高原選手と社員が交流することで、「自然と高原選手を応援したいという気持ちが湧いてきます。また高原選手自身が社内の応援や活動支援の理解を引き出す力を強く持っていると感じます。夢や目標を語り、限界に挑戦する姿に多くの社員が自身の仕事に向き合う姿勢、人生の目標について考えるような機会、きっかけをもらっています」と語りました。また、これらの効果から、「トップアスリートの採用活動支援ということで大変なことや試行錯誤することも多くありますが、それを上回る影響が得られていることを強く実感しております」と述べました。

 最後に高原選手から就職希望のアスリートに向けて、「ここにいるアスリートの皆さんも感謝の気持ちを絶対に持っていると思うのですが、これからもその気持ちは忘れないで活動してほしいと思っています。これからプレゼンすると思うのですが、自分も当時すごく緊張したことを今でも覚えています。自分がやってきたことに自信を持って、これからどうしたらいいのか、これからどうなりたいのかということを熱い気持ちでプレゼンすれば必ず伝わると思います。素晴らしい企業が来ていると思いますのでマッチングできることを心から願っています」と、エールを送りました。

 その後、就職希望アスリート5名がプレゼンテーションを実施。映像での競技紹介やスピーチで、自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
石川愼之助選手
JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
谷地宙選手

■石川愼之選手(水泳/競泳)
「私はこれまで各年代の全国大会で優勝し、ジュニア日本代表も経験してきました。2019年ユニバーシアード大会では優勝を果たし、当時の100mバタフライにおいて歴代2位の記録(世界選手権銅メダル相当の記録)を樹立できました。大学1年時は新型コロナウイルス感染症による影響で練習できずスランプに陥りましたが、自分が必死に頑張る姿が周囲の方々の勇気や支えになり、それが自分にとっても励みになっているのだと感じることができました。私は2026年に愛知県で開催されるアジア競技大会で今までお世話になってきた愛知県の皆様、所属企業の皆様に金メダル獲得という形で恩返しをしたいなと考えています。所属企業の一員としても人としても成長し、社員の方々に夢を届けられるアスリート社員になりたいと思っておりますので、採用のご検討のほど、よろしくお願いいたします」

■谷地宙選手(スキー/ノルディック複合)
「小学5年生の時、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業に合格し、アルベールビル1992冬季大会の金メダリスト三ケ田礼一さんの『人は自分の思い描いた人生を歩むことができる。夢は叶えられると思います』と熱く語る姿に魅了されて、いつか私も世界トップレベルの選手になって『夢は叶えられるよ』と多くの人へ伝えられる大人になりたいと思いました。
それから中学1年生で競技を本格的に始め、高校3年生で全日本強化指定入りをし、世界ジュニア選手権の団体戦6位入賞を達成。その後、大学2年生でW杯デビュー、3年生ではシーズン通してフル参戦し、そして北京2022冬季大会のノーマルヒル個人に出場しました。結果は30位でしたが、私は競技を通じて粘り強くやり遂げ、目標達成する力を身に着けてきました。競技開始から8年、毎日欠かさず練習日誌を書いて内省し、地理的なハンデを言い訳にせず、少ない時間で効率的に練習を進めて励んだ結果、目標の一つであったオリンピック出場を果たしました。2026年のオリンピックでは、金メダルを含む複数個のメダル獲得を目指します。これから多くの壁や困難が待ち受けていると思いますが、その度に乗り越え、挑戦していく姿で企業の一体感の醸成、イメージアップに貢献したいと思います。ぜひ私と共に企業・日本を盛り上げていきましょう。本日はご清聴ありがとうございました」

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
馬場晴菜選手
JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
倉菜々子選手

■馬場晴菜選手(フェンシング)
「私は、大学進学後にエペを専門種目とし、現在は日本代表7年目になります。初めて会う人からは大人しそうと言われますが、実際は思ったら即行動、とことん挑戦する性格です。学生時代に無性にフェンシングが強くなりたい思い、単身でイタリアとコスタリカへ武者修行し、サテライト大会で優勝できました。東京オリンピックでは、世界ランキングのポイントがわずか1点及ばず出場できませんでした。しかし、原因と向き合い、挑戦して乗り越えた先にはとてつもない達成感があり、わずか1点は『とても尊い1点』と考えるようになりました。結果は自分の行動によって変わり、動き出さなければ何も変わらないことを学びました。
どんなことも熱意を持って取り組む、『やればできる』という挑戦する気持ちを武器に、支援していただける皆様と一体となって挑戦します。東京オリンピック出場を逃した経験は、私の競技人生において大きな財産になりました。 2年後のパリオリンピックでメダルを獲得した時の達成感にとてもワクワクしていますし、簡単に達成できる目標ではありませんが、皆様と一体となって挑むことで達成できると信じています。限界を乗り越え、一人でも多くの方を笑顔にできるよう、精一杯取り組みます。どうぞよろしくお願いいたします」

■倉菜々子選手(スポーツクライミング)※ビデオ登壇
「高校3年生の時に初めてシニアの代表権を取り、W杯に出場することができましたが、ルートの強度や距離感、その国の環境に慣れることが大変で結果を残せませんでした。大学入学後、世界選手権出場が決まり、東京オリンピックの一次選考の大会でもあったので、結果を残したいという思いが強く、大学を辞める決断をしました。このような経験を経て、覚悟をもって臨んだ今年2月に行われたボルダリングジャパンカップで優勝することができました。今後は、パリオリンピック出場、メダル獲得を目指して頑張りたいと思います。私は10年間の競技経験を通して集中力や判断力を培うことができました。また、自分が得意ではないことであってもそれをやらなければ成功に繋がらないのであれば自分なりに工夫し、周りと協力しながら頑張ることができます。採用していただけましたら、このようなスポーツクライミングで身に着けた集中力や判断力を生かし、全力で仕事に取り組みます。周りの方々が応援したくなるような選手になれるよう、競技も全力で頑張ります」

JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
オトパウリネ恵美里選手
JOCの就職支援「アスナビ」:愛知県、中部経済同友会と説明会を共同開催
中部経済同友会の尾堂真一代表幹事

■オトパウリネ恵美里選手(ビーチバレーボール)
「私は、愛知県豊田市出身で父はラグビー選手、母は元バレーボール選手でした。そんな両親の影響もあり、私は幼い頃から日本代表として日の丸を背負って世界と戦い、勝てる選手になりたいと思っていました。そして大学では自分が主役になって日本一を取りたいと思い、自分の努力次第で結果がついてくるビーチバレーへ転向し、大学選手権二連覇をすることができました。今シーズンはけがプレーできなくなってしまったことは非常に苦しいことですが、どんな状況、どんな状態でも未来につながる貴重な時間なので前を向いてけがと向き合い、一日でも早く復帰したいと思い、家族の力を借りてリハビリに専念し、半年後の選手復帰を目指しています。企業に入りましたら一社員として、一人の選手として、一人の人間として応援される選手を目指し、企業様やその地域の皆様に貢献できるように精一杯頑張ります。私の目標は2028年開催のロサンゼルスオリンピックでメダルをとることです。そして、地元である愛知県を更に盛り上げるきっかけとなりたいです。やると決めたら、最後まで諦めずにやり抜くことができるオト恵美里をどうぞよろしくお願いいたします」

 プレゼンテーション終了後には、就職希望アスリート5名による座談会を実施。「これだけは誰にも負けないことは何か」などの質問に答える形で、それぞれが自らの考えを述べました。

 続いて、中部経済同友会の尾堂真一代表幹事が終了の挨拶。まずアスナビ説明会に参加した企業に対する感謝の言葉を述べました。続けて、「オリンピックを目指すアスリートのますますのご活躍、そして本日の説明会をきっかけにアスリートへの支援の輪がさらに広がっていくことを祈念いたします」と締めくくりました。

 また、説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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