東京2020大会で銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表選手団が9日、記者会見に出席し、メダル獲得から一夜明けた心境、喜びを語りました。
■町田選手「表彰式でメダルをかけたときに実感が湧いてきた」
――メダル獲得から一夜明けての感想をお願いします。
トーマス・ホーバス監督 みなさん、おはようございます。この大会はすごくいい勝負をしたと思います。金メダルという目標があったので、きのうはちょっと悔しかったんですけど、チームみんなの顔を見て、銀メダルを見て、本当に嬉しいです。日本のレベルも上がったと思いますし、本当にこれからも楽しみです。本当にありがとうございました。
髙田真希選手 みなさん、たくさんの応援ありがとうございました。金メダルを目標にずっとやってきたので、最後負けてしまって悔しい気持ちもありますけど、バスケットボール界初のメダルを獲得することができて、大変誇りに思いたいです。そして、バスケットボール界が掲げている「バスケで日本を元気に」ということで、このオリンピックを通してたくさんの方々に元気や勇気が届いていたら嬉しいなと思います。そして、もっともっと女子のバスケットボールを盛り上げて行けたらいいなと思いますので、これからも応援していただけたら嬉しいなと思います。ありがとうございました。
町田瑠唯選手 たくさんの応援ありがとうございました。試合が終わってからはメダルをとったという実感はなかったんですけど、表彰式でメダルをかけたときに実感が湧いてきて、とても嬉しく思いました。ありがとうございました。
林咲希選手 とても楽しかったですし、もっともっと成長したいと思える大会になりました。応援ありがとうございました。
宮澤夕貴選手 このメンバーでバスケットをできたことが本当に私の宝でもありますし、メダルをかけたときに本当に実感が湧いてきて、すごく嬉しい気持ちになりました。銀メダルをとることができて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
赤穂ひまわり選手 最初は全然実感が湧いていなかったんですけど、今はじわじわと実感が湧いてきて、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
長岡萌映子選手 まだメダルをもらった実感が湧かないんですけど、とても嬉しい気持ちです。これを機にバスケットボール界が盛り上がってくれたら嬉しいなと思います。ありがとうございました。
三好南穂選手 たくさんの応援、ありがとうございました。銀メダルをとることができて素直に嬉しいです。これを機にバスケットボール界が盛り上がっていければと思います。
本橋菜子選手 本当にたくさんの方々に応援していただいて、支えていただいて、このオリンピックを迎えることができて本当に嬉しく思います。ありがとうございます。銀メダルをとれたことも本当に嬉しかったです。
東藤なな子選手 たくさんの応援、ありがとうございました。今回最年少として先輩の背中からたくさん学ぶことがあったので、また次のパリに向けて頑張りたいと思います。ありがとうございました。
馬瓜エブリン選手 たくさんの応援、ありがとうございました。試合が終わってから、本当に厳しい練習をみんなで乗り越えてきたなと改めて思いましたし、最後にトムさんの愛情を感じられて涙がたくさん出ました。本当にありがとうございました。銀メダル、本当に嬉しいです。
宮崎早織選手 銀メダルをとることができて本当に嬉しいです。メダルが重くてびっくりしています。応援、ありがとうございました。
オコエ桃仁花選手 たくさんの応援、ありがとうございました。チーム一丸となって戦えて、トムさんのバスケットを世界に見せることができて本当に良かったです。ありがとうございました。
■林選手「ディフェンスであったり、粘っこいプレーは日本の強さ」
――前列の5選手にお伺いしたいのですが、パリオリンピックへの意気込みをお願いします。また、アメリカに勝つためには何を磨いていけばいいと考えていますか?
髙田選手 今やっていることの精度をもっともっと上げていくことと、やっぱりアメリカ戦もそうですが、フィニッシュのところでブロックされてしまう場面がたくさんあったので、フィニッシュの工夫はもっともっと必要になってくると思います。スピードであったり3ポイントであったり、そうしたところは通用していると思うのですが、ただ、これからはそうしたところを警戒されてくるので、今まで通用したところを対応されてもその上を行けるような精度を上げていくことと、フィニッシュをもっともっと工夫していく必要があるかなと思います。
町田選手 小さいチームでも世界に通用するということは分かったと思うので、それは自信にして、日本の武器であるスピード、3ポイント、運動量、チーム力というのはこれからも強みにして、プラス、アジャストされたときにどう対応するかというのをもっともっとチームとしてやっていけたらいいなと思います。
林選手 オフェンスの部分で今回通用したところと通用しなかったところが分かって、ディフェンスの部分では自分たちの足もそうですけど、プレッシャーのかけ方とか良かった部分が見えたので、髙田選手も町田選手も言った通り、精度をもうちょっと上げていきたいと思います。自分としては3ポイントが武器だったんですけど、ドライブであったり体の強さを使ったプレーがもうちょっとできると苦しい場面でも点が取れるような選手になれると思うので、これからもっともっと成長していきたいと思います。
宮澤選手 アジャストされたときの一人ひとりの判断をもう少し早くすることと、あとは自分や林選手とかシューターはシューターの役割を果たしつつ、もう少しドライブとかできていたらもうちょっと展開が違っていたのかなと思うので、シュートもそうなんですけど、違う部分でももっともっとレベルアップして、チームとしてもレベルアップしていけたら、もっといい戦いができるのではと思っています。
赤穂選手 今回、日本のバスケットができている時間はしっかり戦えていたと思うので、やっぱりそこでアジャストされたときに、皆さんが言っていたように、それを超えていけるようにしていければ戦えると思います。
――今、おっしゃった部分について、海外の選手と対戦しないと身につかない部分と日本でもトレーニングしていける部分、その境界はどういったところにあると感じますか?
髙田選手 やっぱりフィジカルの部分と高さというのは日本にないものだと思います。今回、オリンピック前に海外の選手と対戦する機会がすごく少なくて、直前には試合があったんですけど、そういう経験が少しでも積めたことがオリンピックでも良かったかなと思います。ただ、国内でそれを味わうことはやっぱりできないので、各チームに戻ったときに、そうしたことを意識しながらいかに練習していくかというところが大切になってくると思います。自分たち一人ひとりがどうなりたいのか、どこを目指すのかという気持ちの部分が一番大切なのかなと思います。
町田選手 今、髙田選手が言ったことが全てだと思うんですけど、特に高さだったりというのは国内では味わえないので、フィニッシュ力やスキルをもっともっとやっていかなければいけないなと思います。
林選手 今回のオリンピック前に海外のチームと試合をして経験を積めたんですけど、日本国内でバスケットをすることでスピード力を味わえると言いますか、日本の速さは本当に特徴的というか、アメリカの選手も嫌がっていましたし、ディフェンスであったり、粘っこいプレーは日本の強さだと思いますので、それをもっともっと追及して、相手が嫌がるようなプレーをやっていきたいと思っています。
宮澤選手 フィジカルの強さ、高さ、手の長さがやっぱり日本とは違うなと感じていて、普段日本では自分は背の高い方なんですけど、世界に出ると小さい方。それがすごく感じた試合でした。だから、本当にそれは世界と戦わないと分からないことなんですけど、普段の練習から、もし相手が自分より身長が高かったらとかそういうことを考えながら日々練習していったら、もっともっと成長できるんじゃないかなと思っています。
赤穂選手 フィジカルの部分と高さの部分で、やっぱり国内だとブロックショットされることも少ないんですけど、今回決勝ではすごくされてしまったので、練習からそういうところをしっかり意識して、自分より高い相手と戦うことを想定して練習することが大事かなと思います。
■ホーバス監督「彼女たちは最高です」
――選手の活躍はもちろんですが、ホーバス監督の存在も非常に大きいと感じました。代表して髙田選手と町田選手にお伺いしたいのですが、ホーバス監督ならではという部分がありましたら教えてください。また、ホーバス監督には日本の女子選手の可能性を引き出す秘訣がありましたら教えてください。
髙田選手 正直、練習はきついです。体力的な部分もそうですけど、フォーメンションもすごくたくさんの量があるので、頭を使うこともすごく大変です。なので、厳しい面もありますし、すごく細かいところが他のコーチと違うところかなと思います。自分がよく言われるのは、ディフェンスのときのスクリーンの角度が少しでも違うと「もう1回」と、何回もリピートさせられるので、そういったところが本当に細かいです。でも、「細かいことをやらないと勝てないよ」と言われるので、やっぱり今回こうして戦ってみて、そういうところが大切だなと思いましたし、本当に細かいところまで見てくれているからこそ試合でこうして結果として表れると思います。練習中はすごくしんどいですけど、本当に練習がしんどくて試合の方が楽という感じに思わせてくれるのは初めての感覚かなと思います。
あとはヘッドコーチ就任当初から金メダル獲得ということをずっと言い続けてくれたので、それを自分たちは信じて、そしてその期待に応えたいなという思いが全選手にあったので、それがここまでの活躍ができたきっかけかなと思います。本当に全てにおいて、良いヘッドコーチだなと思います。
町田選手 トムさんは厳しいコーチだと思いますけど、誰よりも選手たちの力を信じてくれていると思いますし、チームの力を信じてくれていると思います。それがしっかりチームに伝わっていて、みんな一人ひとりが自信を持ってプレーできたんじゃないかなと思うので、すごく良いコーチだなと思います。
ホーバス監督 長い間一緒に教えて、みんな本当に真面目な選手たちです。ただ、僕がヘッドコーチになったときに、みんなが自分たちの力を信じていないんじゃないかと思いました。でも、みんなにはすごい力があると思っていて、そういう力をどうやって出そうかと思いチャレンジさせて、しつこく同じことを何回も言って、覚えてくれるかなと思ったんです。選手たちはあんまり大きい声で「私はやるんだ!」ということはしないんですけど、やる気持ちがすごいです。そういう気持ちを引っ張りたかったんですよ。だから、タイムアウトのときは熱い話を言ったり、僕はいつも「相手より気持ちで負けないで」「僕の気持ちよりも負けないで」と言います。僕はけっこう熱い人です。だから、僕に負けないんだったら相手に勝つと思っていました。
――ホーバス監督が今おっしゃった点に関して、アメリカの女子選手とは違う部分がありますか?
ホーバス監督 ちょっと違います。チームUSAのダイアナ・トラージと話しまして、ダイアナには1年くらい教えていたことがあるので、彼女の気持ちとかはよく分かっているんです。それで彼女が私に「本当に日本のバスケは面白いし、みんなしつこくプレーしてくる、足も止まらない、素晴らしい」と言って、彼女は本当に日本の選手たちを褒めていました。たぶん、アメリカでこのくらいの厳しさでやっていたら、もう大変かもしれない。できないかもしれないです。僕が厳しいことを言っても、彼女たちは聞いてくれ、しっかりやってくれる。最高です。
――ホーバス監督、日本代表監督として今後何か考えていること、決まっていることがあれば教えてください。
ホーバス監督 ほとんど考えていないです。まだJBA(日本バスケットボール協会)とも話をしていないですし、これから何をするか分からないです。でも、この大会でこの結果を出して、日本の女子バスケットのレベルがすごい上がったかなと思いますし、本当にこれから面白いと思います。楽しみです。
――髙田選手、今大会の結果を通して女子バスケットの人気につなげていくために、具体的にどのような取り組みをされていきますか?
髙田選手 常々、私は女子のバスケットをもっともっと盛り上げていきたいと思っていますし、これをきっかけにもっともっと盛り上がってくれたら嬉しいなと思っています。私たちができることは常に結果を出し続けることだと思います。どんな大会もそうですが、これから各所属チームに戻って、今まで仲間だったチームメートが今度は敵となって戦い合う国内のリーグ戦が10月から始まるので、そこでもお互いに切磋琢磨しながら、そんな試合をたくさんの方々に見ていただきたいです。また、小さい選手が大きい選手を相手に戦えるんだと証明できたことは、子供たちに勇気、元気を届けられたのかなと思いますので、自分たちにできることは常に結果を出し続けることかなと思います。
ただ、今はなかなか難しいことだと思いますけど、もっともっとファンの方々と触れ合える機会は必要だと思いますので、落ち着いたらたくさんのお客さんの前で試合したいですし、触れ合えるようなイベントもたくさんやっていきたいなと思っています。
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