東京2020大会のレスリング男子グレコローマンスタイル60kg級で銀メダルを獲得した文田健一郎選手が3日、記者会見に出席し、メダル獲得から一夜明けた心境を語りました。
■「5年という重みが全部このメダルに詰まっている」
――一夜明けて、メダルを獲得した感想をお願いします。
文田選手 昨日決勝が終わりまして、一晩たって改めて銀メダルという結果を受け止めています。金メダルを目標に競技に取り組んできてすごく悔しい部分も大きかったんですが、この銀メダルという結果を得られたのは応援してくださった方のおかげだなと改めて実感しています。
――表彰式後のインタビューで、「非常にこの銀メダル重いです」とおっしゃっていましたが、金メダルを目指していたということで、悔しさも詰まっている銀メダルだと思いますが、そのほかにはどんなものが詰まった銀メダルでしょうか。
文田選手 本当に重みを感じました。リオから、(太田)忍先輩のパートナーとして帯同して現地で見て、その時に改めて2020年のオリンピックは自分が出て絶対に優勝するという思いで、そこから4年、予選の世界選手権までは3年でした。そこで代表権を得て、さらに1年延期となって2年、その5年という重みが全部このメダルに詰まっているんじゃないか、表彰台でかけた時にすごくそう感じました。その5年の重みだと思います。
――太田さんと、会場でも少し話をされましたが、どんな会話をされましたか?
文田選手 決勝の後すぐ、マットサイドにいて「よくやった」と声をかけてもらって、僕は試合直後で感情もすごく高ぶっていたので申し訳ないという気持ちでいっぱいだったんですけど、忍先輩はよくやったって褒めて、抱きしめてくれました。
■「世界中の誰よりもグレコローマンを好きな自信は5年間ずっとあった」
――悔しい思いがあると思いますが、一方でこの5年間ご自身が努力されてきたこと、誇れる部分があったら教えてください。
文田選手 一番誇れるなと思うのは、レスリングを好きで居続けたところです。リオが終わってから2017年世界選手権を優勝した後も、全日本で忍先輩に負けたりですとか、ずっと順風満帆な5年ではなく、色々なことがあった、色々なことが詰まった5年だったんですけど、レスリングをやりたくないということはなくて。少し距離を置こうとすると、やっぱりレスリング好きだな、レスリングやりたいなってすぐ思うようになって、世界中の誰よりもグレコローマンを好きな自信は5年間ずっとありましたし、それは今でも誇っている部分です
――試合直後すごく感情が高ぶっていたということでしたが、ホテルに戻って少し落ち着いた時に、改めてどのように振りかえられたのか、その時の感情、考えてことを教えていただければと思います。
文田選手 試合が終わってホテルの部屋に戻って、今朝まで一睡もできなくてすごく色々なことを思い返したんですけど、大会の試合内容だったりとか、オリンピックを通して色々なことを思い出したりもしました。それと同じくらいリオからの5年をすごく思い出して考えたというか、一つひとつ、リオの時に思った感情だとか1度目の世界選手権、2度目の世界選手権、全部今までの出来事を一つひとつ勝手に体が振り返って、ずっと脳内に流れていて、結果として、自分が求めていた色のメダルではないんですけど、でもこの5年間を僕が認めてあげなくちゃなと、この5年間を絶対に否定しちゃダメだとすごく考えた夜でした
――韮崎市はじめ山梨では本当に多くの方が応援し、心を動かされました。いつも故郷の事を思ってくれる文田選手ですが、大会から一夜明けて改めて山梨の方へメッセージをお願いします。
文田選手 山梨の方には本当にいつも応援していただいて、支えていただいて、大会前も試合が終わった後も本当にたくさんの方から「頑張ったな」というメッセージをいただいて、オリンピック出場を決めた時から、金メダルをとって恩返しするとずっと言ってきました。銀メダルにはなってしまったんですけど、皆さんの応援があったおかげで銀メダルが取得できたなって思います。本当にいつもありがとうございます。
――今後に向けた抱負、決意を伺ってもよろしいでしょうか。
文田選手 東京オリンピックが銀メダルという結果で終わって、試合が終わってすぐコーチにも「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない」とすぐ言われたので、その言葉を胸にパリでは一番いい色のメダルを持って、笑顔でマットから降りたいと思います。
■「まずは少し休養を取りたい」
――試合後、お父様とは電話とかで会話されましたか。
文田選手 試合が終わってホテルに一人で部屋にいたんですけど、午前1時半ぐらいに父から電話が来たんですが出られなくて、自分が何と言おうか、どう父と話したらいいのかちょっと分からなくなって出られなくて。なのでまだ何も話していないという状態です
――出られなかったというのは悔しさが大きかった?
文田選手 悔しさ、おそらく自分と同じくらいかそれ以上に東京では父も金を望んでいたと思いますし、父が教えてくれたレスリングなので、今の自分のレスリングは。投げにこだわって投げて勝つというスタイルは父から教わったので、やっぱり金で優勝して父のレスリングのすごさっていうのを証明したかったんですけど、3年後に延期になっちゃったので、持ち越すことになっちゃったので、もう少し気持ちを整理してから父に改めて言いたいです。
――大会が終わって、今一番何がしたいですか
文田選手 色々とやりたいことがあるんですけど、まずは少し休養を取りたいです。東京オリンピックの代表としてまる2年やってきたので、この2年ずっと高いモチベーションでやれていたわけではなくて、いろいろなことがあって、それでも自分の中で競技と向き合ってやってきたのでちょっと離れて、少し自分にご褒美をあげたいです。
――猫カフェに行く予定はないですか。
文田選手 こういう状況ですし大会前は全然行ってなかったので、ちょっと癒やされに猫欲を満たしに行きたいと思います。
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