日本オリンピック委員会(JOC)は12月5日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「第16回アスナビ採用企業情報交換会(令和元年度新規採用企業編)」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに195社/団体305名(2019年12月5日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、令和元年度に初めてアスリートを採用した企業から11社22名が参加。すでにアスリート採用をしている2社の取り組みと、採用企業への留意点が紹介されました。
はじめに、中森康弘JOC強化第二部部長が登壇。「この度は東京2020大会、そして2022年北京オリンピック、2024年パリオリンピックを目指すアスリートを採用いただきありがとうございます。我々も採用企業の皆様を全力でサポートしていきますので引き続きよろしくお願いします」とあいさつしました。
次に、鈴木統也JOCキャリアカデミー事業アシスタントディレクターから、アスナビを通じてアスリート社員を採用した企業同士のネットワークの構築、選手活用後の課題の共有など本交換会の目的が語られました。
続いて、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが動画と資料を用いてアスナビの概要を説明。そして、採用選手に関して「JOCでは『人間力なくして競技力向上なし』と教育しています。ぜひ企業の皆様には、採用したアスリートのビジネスパーソンとしての育成もお願いします」と企業へ社会人としての教育を依頼しました。また、「選手の応援体制の構築など課題があると思います。この場を活用した有益な情報交換ができればと思います」と呼びかけました。
次に、各社の出席者による自己紹介が行われた後、採用企業の選手活用事例として2社の代表者が登壇。はじめに、競泳の安江貴哉選手と難波暉選手を採用した新東工業株式会社の澤井実人事部副部長がプレゼンテーションを行い、入社前の安江選手との話し合いについて「いつまでもアスリートでいられるわけではない。最終的にはビジネスマンにならなければならない。仕事を通じて社会人として成長して欲しいと伝えました」と振り返ると、「『競技』と『仕事』どちらも一流を目指そう。『二刀流』で頑張ろう」と引退後も考えて、選手たちと競技、仕事に取り組んでいる現状が説明されました。また、大会での応援に関して「会場に行くと競技を終えた選手がスタンドまで上がってきて他の社員とレースの感想について話すなど社員同士のコミュニケーションの場になっています」と、社内の一体感の醸成にアスリートが貢献している事例が語られました。
続いて、城北信用金庫人事部の小野裕美アスリートマネージャーが6名いるアスリート社員の雇用・勤務形態、選手へのサポート体制、業務内容などを説明。また、採用選手が小学校で行っている講演会活動や、選手の写真を使って作成されたオリジナルの卓上カレンダーやリーフレットを紹介すると「所属選手は地元地域との接点作りのきっかけになってくれ、他の金融機関との差別化に貢献してくれています」とアスリート採用の有用性が述べられました。
この日最後のプログラムは、「情報提供とQ&A」と題して、JOCキャリアアカデミー事業の久野孝男プランニングディレクターが、アスナビ選手採用後の労務関係と応援体制について説明しました。さらに採用選手の活動経費の範囲、スポンサーについて、競技団体への確認事項、社内の受け入れ体制づくり、広報対応などに関する過去の事例を紹介。参加者からは社員研修や選手が取材を受ける際の注意点など幅広い質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
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