日本オリンピック委員会(JOC)は2月3日、平成30年度の「JOCエリートアカデミー社会体験活動」を実施しました。JOCエリートアカデミーは、将来オリンピックをはじめとする国際競技大会で活躍できる選手を育成するための事業で、現在7競技36名が所属。味の素ナショナルトレーニングセンターを生活拠点にトップアスリートとして必要な「競技力」「知的能力」「生活力」を向上させ、スポーツを通して社会の発展に貢献できる人材を育成することを目的としています。
本活動は、日常では経験できないことを通して社会性を身につけること、集団行動を通してアカデミーの一員であるという意識を高めることを目的に、2013年(平成25年)にスタート。年に一度、パートナー企業や関連団体の拠点を訪問し、各社の活動がどのように行われているかを学んでいます。
今回は東京国際空港(羽田)にあるANA羽田機体工場と、東京都大田区にあるANAトレーニング&エデュケーションセンターを訪問。遠征やトレーニングで不在の選手を除く6競技26名のエリートアカデミー生(以下、アカデミー生)たちが、飛行機が安全に飛べるようにどのように整備がされているのか、またANAグループ会社の社員約4万人の一人ひとりが安全意識を高め、安全を守ることをより確かなものにするために行われている様々な取り組みや、ANAグループの「努力と挑戦」の歴史などについて学びました。
アカデミー生たちはまず、ANA羽田機体工場で整備士の仕事や飛行機についての説明を受け、またライフジャケットの着用体験をした後、実際に飛行機が整備されている格納庫を見学。野球場2つ分ほどの広さの敷地内には、最新型のボーイング787を始め5機の飛行機が整備されていました。間近で見る機体やエンジンの大きさに驚く選手たちの中でも特に男子選手は、案内を務めていただいたANA社員に積極的に質問をするなど、貴重な体験に目を輝かせていました。またその一方で、次のフライトに向けて膨大な人員の手や時間がかけられていることを知り、アカデミー生たちは感心の声を上げていました。
続いて、ANAグループ安全教育センターと歴史展示施設「ANA Discovery Center」を見学しました。安全教育センターはANAグループの全社員が過去の事故の経験とヒューマンエラーについて学び、日々の行動に生かすための「安全の学び舎」として2007年1月に設立。「事故の悲惨さを体感する」「エラーの現実を体験する」「安全の維持を体得する」という3つのコンセプトに基づき、事故機体の展示や映像などを通じて安全への意識を高める教育施設となっています。選手たちはANAグループの社員の皆さんがどのような意識で「安全」に取り組んでいるか、また、ヒューマンエラーにつながる集中力に関するテストなどを体験。さらにANA Discovery Centerにて、1952年にわずか2機のヘリコプターから始まったANAの歴史を学び、常に「努力と挑戦」の連続だった同社の歩みにアカデミー生たちは大いに共感を覚えた様子でした。
また、ANAグループは同社の理念とも言える「努力と挑戦」を体現する存在として、多くのアスリートを社員として採用しています。現在は約30名の社員アスリートが活躍しており、JOCエリートアカデミー修了生の柳岡はるか選手(フェンシング)も2017年4月にANAグループに入社しました。それら社員アスリートの活動や応援体制、社員間交流などの説明も受けたアカデミー生たちは4班に分かれて、同センターで学んだ感想をANA社員の皆さんと共有。「失敗があっても絶対に諦めない気持ちは競技でも同じだと思いました」「夢を持ち続ける大切さを学びました」といった意見が次々に出るなど、選手たちにとって同センターでの見学は大きな刺激となったようでした。
最後にアカデミー生を代表して、今年度のキャプテンを務める高校3年生の月野敬子さん(フェンシング)が「ANAさんの歴史や仕事を学び、いい経験となりました。私たちが遠征や試合で安全に飛行機を利用できるのは、たくさんの人の支えがあるからこそです。感謝の気持ちを持ち、今後の競技に取り組んでいきたいと思います」と、案内を務めていただいたANA社員の皆さんにお礼の挨拶。また、今回の社会体験活動を振り返り、高校2年生の柏竹琉君(卓球)は「過去の失敗があって今の大きな会社であるANAさんがあるということを知り、自分も負けを生かして勝利につなげていければと思いました」、同じく高校2年生の松田京子さん(ボート)は「ボート競技ではまだオリンピックでメダルをとったことはなく、大きな目標ですが、ANAさんみたいに夢を持ち続ければ絶対にかなうと信じて、これからも頑張っていきたい」と、それぞれ気持ちを新たに今後の目標を語りました。
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