公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は1月24日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「第11回アスナビ採用企業情報交換会(カヌー)」を行いました。
アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに171社/団体261名(2019年1月24日時点)の採用が決まりました。
今回の情報交換会では、カヌー競技のアスリートを採用した企業から6社11名と、公益社団法人日本カヌー連盟から3名が参加。それぞれの企業での取り組みなどの共有が行われました。
はじめに主催者を代表して、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが登壇し、アスナビの就職実績、採用企業側から挙がった選手採用後の課題などを紹介。アスナビを通じて採用された人数が昨年度の63名から、今年度は昨年12月までに52名とその人数が増加傾向にある現状を報告しました。そして本情報交換会に関して、「カヌーではスラローム競技とスプリント競技で差はありますが、競技会場で会うこともあると思いますので、その際に情報交換ができるような関係を築いていただける場にしていただきたいです」と話し、「アスリートと企業様のwin-winの関係を築くだけではなく、連盟との連携も強め、ぜひトリプルwinの状況を作ることができれば」と趣旨を説明しました。
次に、日本カヌー連盟の山口徹正副会長が登壇。はじめに、リオデジャネイロオリンピックでの羽根田卓也選手の銅メダル、昨年のジャカルタ・パレンバンアジア大会での羽根田選手、矢澤亜季選手の金メダルの獲得など、直近のカヌー競技の主な成績を紹介しました。また、東京2020大会の開催に伴い常設となるスラローム競技用の「海の森水上競技場」(東京都江東区)、スプリント競技用の「都立葛西臨海公園カヌー・スラロームセンター」(東京都江戸川区)の建設状況を説明。両施設を使った大会の開催やレジャースポーツとしての競技の普及など、現時点で検討されていることを共有しました。さらに、これらの現状を踏まえ、2020年以降のワールドマスターズゲームズ2021関西、2024年パリオリンピック、2026年の愛知アジア大会と今後行われる国際大会への意気込みを語ると、採用企業へのアスリートのサポートを呼びかけました。
続いて、同じく日本カヌー連盟の木村裕行広報部長が、ワールドカップや世界選手権をはじめとする2019年の開催大会や、海外や日本各地で行われている合宿など、選手の年間スケジュールを説明。企業へ選手の海外遠征や合宿などへの理解を求めました。また、採用選手に関して、「多くの選手が学生からそのまま社会人として企業の皆さまにお世話になっています。他の社員の方は一通り教育があって、会社のルールなどを勉強していくと思いますが、選手は練習などから同じような出社日数を確保できません。限られた時間になりますが、社会人として何をしなければならないかなどご指導いただけますようお願いします」と企業へ社会人としての教育を依頼しました。
次に、各社の出席者による自己紹介が行われた後、日本カヌー連盟やJOCキャリアアカデミーのスタッフを交えて情報交換会が行われました。選手とのコミュニケーションの頻度や、連絡を取る際に使用しているツールなど、多岐にわたる話題が話し合われ、活発な情報交換が行われました。特に参加企業からの質問が集中したのがアスリート社員の応援ツアーとカヌー体験教室について。カヌー競技の大会は会社から近い場所で行われないため、どのようにすれば社員が応援に行く機会を設けられるか、その際の交通費の補助など各社での取り組みが紹介されました。また、カヌー体験教室についても、「せっかくアスリートが会社にいるので、社員にカヌーを体験して欲しい」という声が多く、参加者はすでに実施した企業の事例について耳を傾けていました。
最後に中村JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが「これを機に競技団体、採用企業、アスナビスタッフがお付き合いを深め、これからも情報交換を行っていければ」と参加者に語り、本会を締めくくりました。
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