MENU ─ ニュース
2018.09.25 その他活動

2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催

2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催(写真:アフロスポーツ)
2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
挨拶を行った日本スポーツ記者協会の宮田喜好会長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は9月10日、日本スポーツ記者協会とともに2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で開催しました。本セミナーはオリンピック・ムーブメント推進事業の一環として、メディアと国内競技団体(NF)の相互理解を図ることを目的に行われています。今回は「スポーツ報道におけるジェンダーバランス」をテーマに、国内スポーツジャーナリストやJOC加盟団体関係者などから約50人が参加しました。

 はじめに日本スポーツ記者協会の宮田喜好会長が登壇し、「今年は平昌オリンピック・パラリンピック、サッカーのワールドカップ、アジア大会と国際大会が多く、平昌がもう遠い昔のことのようです。2年後に迫った東京オリンピックに向けて、気持ちを新たに今後も頑張りましょう」と挨拶しました。

2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
竹内浩JOC広報専門部会副部会長が概況説明(写真:アフロスポーツ)
2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
アンソニー・エドガーIOCメディアオペレーション部門長が事例などを共有(写真:アフロスポーツ)

■ジェンダーバランス改善のためのIOCの取り組み

 本セミナーは2部構成で行われ、第1部では最初に、竹内浩JOC広報専門部会副部会長より、「IOCのジェンダーバランスの取り組み」と題した概況説明が行われました。その中で竹内副部会長は、2012年ロンドンオリンピックにおいて初めて、参加した全ての国内オリンピック委員会(NOC)から女性選手が参加し、全競技で女子種目が実施されたことを紹介。「夏季オリンピックではロンドン大会がジェンダーバランスの節目となった」と述べた上で、現在国際オリンピック委員会(IOC)が進める男女平等の取り組みを説明しました。

 続いて、アンソニー・エドガーIOCメディアオペレーション部門長が、IOCとして具体的な取り組みについての説明を行いました。エドガー部門長は、過去にIOCが女性をスポーツから遠ざけようとしていた時代があったことや、女子種目が同じ時間に重なっていてテレビ放送がされにくい競技スケジュールであったことなど、過去のオリンピック報道における男女差別の事例を共有。そうした背景から現在、IOCでは報道領域における男女平等の実現を目指しており、「この20年で改善されてきましたが、まだまだやらないといけない。メディアにおいても、ジェンダーの平等を進めていかないといけません」と訴えました。

2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
基調講演を行ったIOCプレス委員会委員のアシュリー・アボット氏(写真:アフロスポーツ)

 次に、ニュージーランドNOCの広報部長で、IOCプレス委員会委員でもあるアシュリー・アボット氏が、「オリンピック報道におけるジェンダーバランスについて」をテーマに基調講演を行いました。ニュージーランドにおけるジェンダーバランスに関する調査結果や、各国の報道例などを用いながら、オリンピック報道における女性の描かれ方や、女性記者を取り巻く現状、ジェンダーバランスを改善するための具体的なアドバイスなどを講演しました。その中で、アボット氏は「広報に関わる皆さんは、非常に大きな影響力を持っています」と話し、報道において取り上げる頻度、使う言葉、切り口などの面から男女を平等に扱うことの必要性を強調。そして、「全員が(取り上げ方や言葉遣いなどの)選択の仕方を変えていけば、より平等なスポーツ報道が実現するでしょう。ぜひ皆さん自身の報道を改めて見て、どれだけバランスを取れているか確認してみてください」と呼びかけました。

2018年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
パネルディスカッションでは活発な意見交換が行われた(写真:アフロスポーツ)

■日本におけるスポーツ報道の現状

 第2部では、「ジェンダーバランス 日本のスポーツ報道での現状」と題したパネルディスカッションが行われました。パネリストとしてアボット氏、山口香JOC理事、NHK解説委員室解説主幹の刈屋富士雄氏、スポーツニッポン新聞社スポーツ部部長の石川高伴氏が参加し、宮田会長がモデレーターを担当。話題は日本における女性アスリートの報道のされ方やその内容、女性記者の育成に関してなど多岐にわたりました。活発な話し合いを終えて、山口理事は「選手が自分をどう報道してほしいかは、『何とかしてくれ』と任せるのではなく、女子選手や女性の指導者がメディアに扱っていただけるようにアピールしていく、育成していくことが一つのキーワードかなと思いました。東京2020大会では、そういった女性アスリートが活躍できるように力を入れていきたい」と話し、報道における男女平等の実現へ、気持ちを新たにしていました。

 最後に、藤原庸介JOC理事・広報専門部会部会長が閉会の挨拶に立ち、「アシュリーさんがおっしゃったように、無意識の差別というのもあります。そこをいかに意識するかが大切なのだろうと思います」と、ジェンダーバランスの問題に取り組む重要性を訴えて、本セミナーを締めくくりました。

ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


その他活動 の最新ニュース

    最新ニュース一覧