日本オリンピック委員会(JOC)は11月23日(水・祝)、福島県郡山市の開成山野球場、ならびに郡山総合体育館で「オリンピックデー・フェスタ in 郡山」を開催しました。
オリンピックデー・フェスタは、東日本大震災復興支援JOC「がんばれ!ニッポン!」プロジェクトの一環として、「スポーツから生まれる、笑顔がある。」をスローガンに、オリンピアンやアスリートがスポーツを通じて被災地の皆様とのふれあい活動を行うイベントです。
今回の参加オリンピアンは、バレーボールの大山加奈さん(2004年アテネオリンピック5位入賞)、体操・新体操の田中琴乃さん(2008年北京オリンピック出場、2012年ロンドンオリンピック7位入賞)、スピードスケートの黒岩敏幸さん(1992年アルベールビルオリンピック銀メダル、1994年リレハンメルオリンピック出場、1998年長野オリンピック出場)、ソフトボールの佐藤理恵さん(2004年アテネオリンピック銅メダル、2008年北京オリンピック金メダル)と馬渕智子さん(2008年北京オリンピック金メダル)、柔道の杉本美香さん(2012年ロンドンオリンピック銀メダル)、野球の大島公一さん(1992年バルセロナオリンピック銅メダル)、梶山義彦さん(2000年シドニーオリンピック4位入賞)、木村重太郎さん(1996年アトランタオリンピック銀メダル)、杉浦正則さん(1992年バルセロナオリンピック銅メダル、1996年アトランタオリンピック銀メダル)の計10名。
午前は郡山市内在住の5歳〜小学生と保護者の50組100名が参加して親子Tボール教室を、午後は郡山市内在住の小学生100名が参加し、運動会形式のスポーツプログラムで交流を深めました。
午前中の親子Tボール教室は、一般社団法人全日本野球協会との共催で実施。開会式では、同協会の鈴木義信副会長があいさつを行い「2020年東京オリンピックにて野球・ソフトボールの実施競技としての復活を目的に二つの競技を統合した世界野球ソフトボール連盟を設立しました。この連盟には現在140の国と地域が加盟しています。2020年は一緒にオリンピック・パラリンピックを盛り上げていきましょう」と述べました。開催地を代表して、郡山市の品川萬里市長が「今日はたくさんのオリンピアンのみなさんに郡山市までお越しいただきました。屋外での開催で、とても寒いですが、風邪を引かぬよう気をつけながら全力で楽しんでください」とエールを送りました。そして、デーフェスタに先立って福島市内で「東京2020オリンピック・パラリンピックフラッグツアー」が行われたのに合わせて、ゲストオリンピアンと参加者が一緒にフラッグを振って東京2020大会の成功を願いました。
開会式の後は、野球・ソフトボールのオリンピアン6人が指導の中心となり、親子Tボール教室を実施しました。オリンピアンは、6つのグループに分かれ100名の参加者と交流。今回がTボール初体験の大山さんは「普段とは違った楽しみ方ができて貴重な時間でした」と新たな経験を楽しんでいたようでした。
Tボール教室後は、オリンピアンとのQ&Aを実施しました。野球・ソフトボール以外のオリンピアンは参加者と同じく質問する側として、オリンピアンからオリンピアンへ質問する場面もあり、参加者は熱心に耳を傾けていました。
閉会セレモニーのオリンピアン全員からのあいさつでは、木村さんが「私は熊本出身で、熊本も震災しました。福島も復興の途中かと思いますが、子供たちの元気な姿を見るだけで、大人たちが元気になれると思います。これからも元気で頑張っていただきたいと思います」と激励。また田中さんは「できないことができるようになるためには毎日継続して練習することが大事です。夢や目標に向かってがんばってください」とあいさつし、Tボール教室を締めくくりました。
午後には、郡山総合体育館にてふれあい運動会を実施しました。開会式ではオリンピアンを代表して大島さんが「頭と体を使ってチームみんなで協力して楽しもう」と呼びかけました。開催地を代表してあいさつをした郡山市の吉崎賢介副市長は、「震災から5年8カ月が経ちました。今日は10人のオリンピアンのみなさんと一緒に体を動かすことを楽しみましょう。2020年東京オリンピックも郡山市民とともに盛り上げていきたいと思っています」と述べました。
福島弁バージョンの音楽にあわせてラジオ体操を行った後、10人のオリンピアンが5色のチームに2名ずつ分かれて、「手つなぎ鬼」「小玉まわし」「5色玉入れ」の3種目を実施。各種目の途中に行う作戦会議では、参加者と密にコミュニケーションを取り、「どうしたら、次の回はうまくいくか」などを真剣に話し合っていました。
オリンピアンとのQ&Aでは、10人全員のオリンピアンに多岐に渡る質問があり、それぞれの人となりがにじみ出る回答に、参加者も大いに盛り上がりました。
閉会セレモニーでは佐藤さんからオリンピックデー・フェスタの聖火として各会場を巡る「つながる火」を紹介。オリンピアン全員からのあいさつでは、馬渕さんが「練習でできた喜びを大事に毎日継続して努力してほしい」とメッセージを送りました。また、梶山さんは「スポーツは勝つ楽しみと負ける悔しさがある。この楽しみを忘れずにどんどん上達して、この中からオリンピアンが誕生してほしい」と期待を寄せました。
退場時の見送りハイタッチでは、黒岩さんがアルベールビルオリンピックの銀メダル、佐藤さんがアテネオリンピックの銀メダルと北京オリンピックの金メダル、馬渕さんが北京オリンピックの金メダル、木村さんがアトランタオリンピックの銀メダル、杉浦さんがバルセロナオリンピックの銅メダルとアトランタオリンピックの銀メダルを持参していることが紹介され、参加者は大喜びでメダルに触れていました。また、ハイタッチ後はサイン会も行い、記念撮影などをして最後の交流を楽しんでいました。
フェスタ終了後、オリンピアンたちは被災地視察の一環として、郡山市役所を訪問し、福島の除染状況などをパネル展示しているコーナー「除染情報ステーション」にて、市役所職員より震災当時から今に至る原発被害についての説明を受けました。オリンピアンたちは、なかなか目に見えない原発被害の詳細を学び、神妙な面持ちで話に耳を傾けていました。
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