リオデジャネイロオリンピックの陸上競技男子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得した山縣亮太選手、飯塚翔太選手、桐生祥秀選手、ケンブリッジ飛鳥選手、同男子50キロ競歩で銅メダルを獲得した荒井広宙選手、レスリング男子フリースタイル57キロ級で銀メダルを獲得した樋口黎選手、バドミントン女子シングルスで銅メダルを獲得した奥原希望選手が20日(現地時間)、TOKYO 2020 JAPAN HOUSEで記者会見を行い、メダル獲得から一夜明けたいまの心境を語りました。
――奥原さん、銅メダルを獲得したあと、皆さんから祝福のメールとか、あるいはこちらにいらしている家族・友人の方々との触れ合いがあったと思います。そういう励まし、祝福の言葉をもらってあらためて感じるものがあったと思いますが、今の思いはどういったものでしょうか?
奥原選手 銅メダルの決まり方が不戦勝で、すごく残念な決まり方で悔しい思いもありました。でも表彰台でメダルをかけてもらって、こっちに応援に来てくれた家族にメダルをかけてあげたときにすごく喜んだ顔を見られたので、この銅メダルでも良かったなとすごく、その瞬間に思いました。
――樋口選手、同じ質問ですけどいかがですか?
樋口選手 決勝で勝ち切れずに非常に悔しい思いをして、昨日の夜も試合のことが頭をよぎって眠れませんでした。恩師であったり両親であったり友人からすごい励ましというか、おめでとうというメールが来て、この悔しい思いを忘れずに次につなげて頑張っていけたらいいなというふうに感じました。
――荒井さん。決まり方が非常に異例な形になりましたけど、喜び、失望、そして喜びといろいろあったと思いますがいかがでしょうか?
荒井選手 まずは3位でゴールして「やった!」という気持ちで最初いたんですけども、その後にカナダの陸連から抗議があったようで、一度は失格になり3位が取り消しになってしまいました。そのとき、正直悔しいというよりは「何で?」という気持ちだったんですけど、その後に日本陸連の方々が必死に頑張ってくださいまして、何とか再び3位、銅メダルを獲得することができました。本当にメダルを取ったと思ったら一度落ちてしまって、そこからまたメダルを獲得することができて、普通に取った時よりもさらにうれしいというか何とも言えない気持ちになりました。これもたくさんの方々が応援してくださったからだと思います。本当にありがとうございました。
――山縣さん。予選の時から非常にいいタイムが出まして、これはやれるんじゃないかなという気持ちだったと思います。37秒60くらいが目標で、そこにいけばメダルというそういう計算だったのでしょうか? そして今一夜明けた気持ちはいかがでしょうか?
山縣選手 今回のオリンピックのリレーでは、37秒台を出すだけではメダルには届かないだろうという中で、日本チームがメダルを取るためには37秒60か70あたりのタイムというのが一つのボーダーになってくるだろうというふうに思っていました。それを実現できて、(アメリカは)失格しましたけど、強豪国に勝って銀メダルを獲得できたということはすごく嬉しいです。
――飯塚さん、100メートルのランナーにすごく記録を伸ばしてくる選手がいて「俺が入れば何とかなるだろう」という気持ちはありましたか?
飯塚選手 僕はこのメンバーで最年長になるんですけど、この3人をうまくのびのび走らせてあげるというのと、2走は結構重要な役割で、1走の山縣の勢いを壊さずに位置をキープしようということが僕の仕事でした。ちょうど予選が終わってアジア記録で、全体の2位で通過した時に、世界の強豪チームから注目を浴びるようになって、一目置かれているという雰囲気がありました。日本の関係者以外にも現地のブラジルの観光客だったりそういった方々も心から祝福してくれるのを見て、すごく嬉しかった部分もあります。
――桐生選手いかがでしょう? 今の気持ちは?
桐生選手 僕も山縣さん、飯塚さん、ケンブリッジさんという頼れる先輩方についていくという感じで気持ちもすごい楽でした。いろいろなことを先輩たちが教えてくれましたし、その中でいい流れで僕の3走に来たので絶対に流れを壊すわけにはいかないという気持ちでケンブリッジさんにつなげたという感じです。やっぱり終わってからいろいろな方々からメッセージとかいろいろな連絡が来たので、メダル取って実感しているなという気分です。
――ケンブリッジさんいかがですか?
ケンブリッジ選手 3人がすごくいい位置で持って来てくれて、最初は(ウサイン・)ボルト選手と並んだ時はちょっといけるかなと思ったんですけど、最後やっぱり離されてしまって悔しかったです。けれどこのメンバーでしっかり銀メダルを取れてうれしいですね。本当こうしてみんなで競い合ってこれて本当に良かったと思います。
――リレーの4選手に2つお伺いしたいと思います。一つは今回銀メダルということで世界が衝撃を受けています。ご本人たちは予想通りの結果だったのか、あるいは予想外の結果だったのか。もう一つは1位のジャマイカとの差をどう捉えているか。今後ジャマイカを越えることができるのか。自信をお聞かせ下さい。
山縣選手 まずはタイムについてですけども、37秒60という記録に関して言うとなかなか従来の日本記録から0.4秒速いタイムというのは難しいだろうと思うと同時に、今年のメンバーというのは100メートル、200メートルでかなりいいタイムを持ってこのリオに入って来れていました。練習でも日本記録を超えるようなタイムで走れていましたし、そういった中で37秒中盤までは仕掛けられるだろうという自信は持って取り組みました。
ジャマイカについては、まだ現段階では勝てるというふうには思っていなくて、今後東京(オリンピック)までに一人一人のレベルというのが100メートルであれば9秒台、200メートルであれば19秒台に入っていける選手をそろえられれば、しっかり金メダルを狙える位置にいけるんではないかなと思います。
飯塚選手 オリンピックの事前合宿でさっきも話に出たんですけど、タイムトライアルで38秒0を出して、例年だと事前合宿のタイムトライアルより(本番は)0.5秒くらい速くなる計算だったので、今回のタイムに関しては予想範囲内だったんですけど、実際出してみるとすごい記録だなと実感しています。終わってみると出せる、可能だった記録であると思っていますね。
ジャマイカチームは今のところ勝てるイメージがまだつかないんですけど、まず個人の記録を伸ばすということ、ジャマイカチームは個人で全員が決勝に残っているくらいのレベルです。僕たちはまだ準決勝止まりが現実なので、まず決勝に残れる力を付けるというのは大前提であって、あとはバトンをさらに個々のスピードが上がればバトンの距離とタイムも上がると思うので、まずは個人のスピードを付けるというのが一番です。
桐生選手 予選終わってから本当にいいタイムが出て、決勝には4人そろってメダルを取るという気持ちでトラックに立ったので、メダルを狙った結果が、本当に(メダルを)取れたというのはすごくうれしいです。ジャマイカとの差は先輩たちが言っているようにまだまだ個々のレベルが違うので、自分も速くなって、全員が速くなってしっかり勝負できるようにしたいなと思います。あと4年しかないですけど、そこでしっかり自分を強くしていきたなと思います。
ケンブリッジ選手 練習でもすごくいいタイムが出ていたので37秒中盤で走るという自信は持っていました。ジャマイカに勝てるかどうかはやっぱり個人のレベルアップ次第だと思うんですけど、このメンバー、いつ誰が9秒台出してもおかしくないと思いますし、4人が(100メートルで)9秒台、(200メートルで)19秒台の選手になれば勝てるチャンスもあるのかなと思ってます。
――ケンブリッジ選手に伺います。最後バトン受け取った時にボルト選手と並んで走ったと思います。ボルト選手の近くで走った印象と気迫とかそういった面と、あと地元の江東区からパブリックビューイングなどでいろいろな声援があったと思いますので、そういった地元の方に対して一言お願いします。
ケンブリッジ選手 まず一緒に走った印象は、最初バトンをもらって一緒に並んだ時はオッっと思ったんですけど、でもやっぱり最後は速かったですね。地元の応援していただいているパブリックビューイングの様子なども中学時代の同級生が送ってきてくれたりして、すごく元気をもらえていたので本当に感謝しています。
――陸上の4選手にお伺いします。今本当に100メートルで言うと、どの選手が9秒台出してもおかしくないという中でライバル争いをしてると思います。それぞれの選手が昨日のレースでもいいですし、リオ入りして普段過ごしているような様子も含めて、各選手のことをどういった点でそれぞれ素晴らしいと思っているのか。それぞれの特徴を教えてください。
山縣選手 僕から見た桐生選手、ケンブリッジ選手ですが、2人に共通していて、自分にないものを持っているなと思うのが、大舞台になって、オリンピックという大舞台に来てもすごくワクワクしてレースを楽しんでできる。こういう気持ちになるというのはなかなかできることではなくて、そういう気持ちを持って走れることを僕はすごくうらやましく思います。
飯塚選手 みんなそれぞれ個性があるんですけど、山縣は心配性です。でも心配性なときは僕は安心していて、彼は心配しているときはパフォーマンスを発揮するようなタイプです。いろいろと心配そうな顔をして話しかけてきても大丈夫だからと適当に返しているんですけど(笑)。本当に彼は大舞台での実力の発揮はすごいですし、技術に関してはスタートの技術はまねできないぐらい速いので、海外のトップ選手に肩を並べるくらいのものを持っているのですごいです。
桐生君に関しては、彼は動物のようなタイプなので気持ちが入ると手がつけられないくらいのスピードを持っている選手で、昨日の決勝もものすごいスピードで僕からバトンを受け取って逃げているのを見て、気持ちが入っているなと思っていました。ケンブリッジも桐生みたいに動物的な面があるんですけど、気持ちを自分で高めていくのがすごく上手で、アップのときから自分を奮い立たせて本番に向かっていく姿を見て、大舞台に適している選手だなと思いました。
桐生選手 全員が全員、本番に強いというのがあります。みんな個性が全然違いますし、でもすごいやさしい先輩方なので普段話していてもめっちゃおもろいですし、普段の会話でわいわいしながら、そのチームワークがあったからこそバトンをミスらないというのがありました。どんだけ思い切り出ても先輩が追いついてくれる信頼感はあったので、本当に最高のメンバーだなと思います。
ケンブリッジ選手 今回、一番すごいなと思ったのは、100メートルで予選、準決勝を一緒に戦ってきた山縣さんの集中力は本当にすごいなと思っています。試合前も話しかけづらいようなオーラで、緊張しているのかもしれないですけど、すごい集中力で準決勝も自己ベストで走って、見習う部分、参考になる部分がたくさんあったと思います。
――オリンピックのプレッシャーから開放されて、今食べたいものは何でしょうか? 一番人気はラーメンと焼肉ですが、具体名を少し盛り上げるように言って下さい。それから、自分へのご褒美は何でしょうか?
奥原選手 私は牛タンが大好きなので、帰ったら思う存分牛タンを食べたいと思います。ご褒美は今のところ何も考えていないです。
樋口選手 帰ったらマカロンが食べたいです(笑)。ご褒美は大相撲の優勝商品で出てくる、でっかいマカロンがあるので、あれを食べようと思っていたのですが、昨日ちょっと衝撃の事実が発覚して、あれは食べられないとネットの記事に出ていたので、今すごいショックを受けています。
荒井選手 私が食べたいのはラーメンですね。特にとんこつラーメンが好きですので、帰ったらとんこつラーメンと餃子を食べに行きたいなと思っています。自分へのご褒美は今のところ特に考えていないのですが、しっかりと休養をしたいというのが今の思いです。
山縣選手 僕はとりあえずマクドナルドを食べたいです。ずっと我慢していたので。どこの国でも安定した味があって(笑)。自分のご褒美としては考えていないですけど、父親と釣りに行きたいです。
飯塚選手 僕は肉が食べたいです。東京で超高い肉をナイフで切らずにフォークでかぶりつきたいです。今、店を探しているんですけど。自分へのご褒美は、何か高いものを買いに行きたいんですけど。買いに行く服装は、買う雰囲気を漂わせない服装で高いものを買いに行くというのにハマッているので、ジャージみたいなので高いものを買いに行きたいです。
桐生選手 帰って食べたいものは馬刺しを食べてからの、抹茶が好きなので抹茶のミルクレープを知り合いの人に頼んでいて、ケーキをワンホール。それをがっつきたいなと思います。自分へのご褒美は、先輩たちとご飯に行くと約束したので、先輩たちにゴチになりたいなという思いがあります(笑)。
ケンブリッジ選手 帰って食べたいものは、4継メンバーで馬刺しを食べに行こうという話をしていたので、馬刺しを食べたいと思います。自分へのご褒美はあまり考えていなかったんですけれど、サングラスが好きなので、サングラスでも買おうかなと思います。
――次は東京オリンピックが控えています。今後の目標やこれからについてそれぞれ一言ずつお願いします。
奥原選手 今回、タカマツ(橋礼華選手、松友美佐紀選手)先輩たちが金メダルを取って、その姿を間近で見てすごくかっこよく見えましたし、次は私が必ずあそこへという強い気持ちを持ちました。次の東京では、一番高いところに自分が立てるように、また一日一日を頑張っていきたいと思います。
樋口選手 4年後はすぐ来ると思うので、しっかり一日一日を無駄にせず、自分の準備をしっかりして全日本選手権や世界選手権をひとつずつしっかりとクリアして、最終的に東京オリンピックで金メダルを取れるように頑張りたいと思います。
荒井選手 4年後の東京オリンピックに向けて、まずは1年1年を大切にして、しっかりと成長して自己記録を更新していけたらいいなと思います。東京オリンピックで今回の銅メダル以上の色を目指して、精いっぱい頑張っていきたいと思います。
山縣選手 まず、僕は個人種目で9秒台に入って、決勝の8人に残るというのを個人の目標にします。リレーでは、その力を原動力に金メダルを狙っていきたいと思います。
飯塚選手 僕も個人の200メートルで19秒台に入って、100メートルでもこの3人に食らいつけるような記録を出したいです。リレーに関していうと金メダルですね。北京(オリンピック)で銅で、今回銀なので、あとは金メダルしか残っていないので、しっかりと取れるように頑張ります。
桐生選手 東京のときは24歳で、最高の年齢だと思うので、100メートル、200メートルでベストを出して、リレーでももう金しか残っていないので、金メダルを取れるよう、毎日楽しく生きていこうと思います。
ケンブリッジ選手 4年後は(100メートルで)9秒台、(200メートルで)19秒台を出して、個人種目でもしっかりファイナルに残って戦うということと、リレーでは今回以上のメダルを取れるように頑張りたいと思います。
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