リオデジャネイロオリンピックの柔道男子73キロ級で今大会の柔道勢で最初の金メダルを獲得した大野将平選手と、女子57キロ級で2大会連続メダルとなる、銅メダルを獲得した松本薫選手が9日(現地時間)、TOKYO2020 JAPAN HOUSEで記者会見を行い、メダル獲得から一夜明けた心境を語りました。
――一夜明けて今の心境を聞かせてください。
松本選手 勝ちたかった気持ちとメダルが取れた安心感で、やっぱりいまも甘酸っぱい気持ちでいます。
大野選手 昨日は興奮してなかなか寝付けなかったんですけど、いまは心地よい疲労感です。昨日は金メダルを獲得して安心感の方が強かったんですけど、だんだんと達成感も感じられるようになりました。
――昨日の試合後に柔道の素晴らしさや美しさを伝えられたとおっしゃっていましたが、美しい柔道のためにこだわったことはありますか? 最近の世界の柔道が変わっていくなかでどのような思いがあったのでしょうか?
大野選手 やはり試合というのは勝負ですし、甘くはないので勝ち方にこだわる、色気を出すということは僕自身捨てました。結果、昨日は一本勝ちが多くて投げて勝つことが多かっただけのことであって、戦っているときは指導ひとつでもいいという気持ちで我慢強く、執念深く、泥臭く戦いたいという気持ちを持って臨んでいました。
いま、外国人選手が昔よりも進化、変化してきて他競技の技術を柔道に取り入れて、なかなか勝つことが難しくなってきていることは事実だと思っています。外国人選手は身体、フィジカルの部分が非常に強いのですが、その中で日本人でも心技体三つで上回ることができると証明したかったので、昨日はインパクトのある勝ち方もできて、そういったことを畳の上で表現できて皆様にも見ていただけたんじゃないかなと思っています。
――8日の海老沼(匡)選手と中村(美里)選手の会見で、2人とも自身の試合の経験を次に試合をするお2人にアドバイスをされたとおっしゃっていましたが、そのときにどのような印象を受けましたか? また、リオに来る前と来たあとの印象に変化があれば教えてください。
松本選手 アドバイスは聞いていないです(笑)。リオは最初は治安が悪いというイメージでしたが、選手村は警備がしっかりしているので安全だよね?(大野選手に向かって)
大野選手 安全です。
松本選手 安全です。というイメージになりました(笑)。
大野選手 海老沼先輩とは同部屋なんですが、おととい先輩が試合から帰ってきて、アドバイスというよりは雑談じゃないですけど少し話した程度です。リオは選手村から出ることがあまりないので、街に出ることがないのでなかなか治安がいいとか悪いとか感じることはできないんですが、選手村の中は報道で見ていた以上に快適に過ごせています。
――松本選手に。今後の目標、東京オリンピックをどうお考えか教えてください。大野選手に。天理大学柔道部のOBの方が大勢いらしていて、天理柔道の真髄を見せてくれたとおっしゃっていたのですが、その真髄というものをどうお考えになるのか。また、天理大学の事件を、金メダルを取ったいまどのように位置づけられているか教えてください。
松本選手 東京オリンピックは出たいですね。出たいね〜(笑)。出たいよね〜(笑)。けれど、現実的に考えるとどうなるか分からないので考えます。
大野選手 天理柔道の真髄ですが、技術的に言えば正しく組んで正しく投げるということがやはり天理柔道の魅力だと思いますけど、もともとは執念深く戦うということを天理柔道と言われていたのと、このオリンピックを迎える前に天理大学の穴井(隆将)監督にそう言われて、執念という言葉をこのオリンピックの一番のテーマにして戦ってきました。事件のことについては、オリンピックに対しては自分の夢なので純粋にこのオリンピックの舞台で勝ちたいという思いだけで戦えましたし、あのことで精神的に強くなったというのは間違いないと思います。
――いま一番食べたいもの、したいことを教えてください
松本選手 いま一番食べたいものはマシュマロチョコ(笑)。一番やりたいことは温泉につかりたいです。
大野選手 味の濃いものが食べたいので焼肉とかとんこつラーメンとかが食べたいです。やりたいことは、減量後でむくんでしまっていて、水抜きがしたいのでサウナに入りたいです。
――大野選手に。一晩経って、あらためて金メダルの重みはいかがでしょうか?
大野選手 特に考えていなかったですが、これからこのようにメディアに露出させていただく機会も増えると思いますし、金メダリストとしてふさわしい人間になれるように成長していきたいと思います。これからもっと精進して、柔道選手としてももっと強くなっていきたいと思います。
――柔道競技はまだ続きますが、これからどのようにバトンを渡していってほしいとお考えでしょうか?
松本選手 何も気負わずに自分の柔道をしてほしいなと思います。ここまで積み上げてきたことは1人ひとりみんな大きなものがあって、大きな思いがあって畳に上がると思うので、メダルとはそういうのは結局、最後についてくるものなので、いまはそういうものすべて邪念を払って自分の柔道をただ信じてまっすぐに試合をしてほしいと思います。
大野選手 井上ジャパンの一員として7人全員がやるべきことをやってこの地に来たので、まずは誇りを持って戦ってほしいと思います。オリンピック、オリンピックと言いますが、自分自身は戦ってみて過剰に、そんなに意識する必要もないかなと思いましたし、気の持ちようで。僕は普通の国際大会と同じような環境だったかなと思います。
――4年後は柔道発祥の地である日本でオリンピックが行われますが、4年後に向けての思いを改めて聞かせてください。
松本選手 出たいですよね〜(笑)。出たいですよね。現実的に考えます。
大野選手 出たいですね(笑)。まだあと4年あるのでまずはいまはしっかり休んで。今回、あらためて自分自身もっともっと強くなれると思えたので。何が起こるか分からないので、一日一日大切にすごしてまずは小さな目標から立ててやっていきたいと思います。
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