第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)の開会式が現地時間5日、リオデジャネイロにあるマラカナンスタジアムで行われました。8万人を収容するマラカナンスタジアムは、サッカー王国ブラジルが誇る世界最大級のサッカー専用スタジアム。1950年、2014年に開催されたサッカーのワールドカップ決勝戦が行われるなど、世界で最も有名なスタジアムの1つであり、サッカー専用競技場がメインスタジアムになるのはオリンピック史上初めてのことです。
そんなサッカーの聖地において刻まれたオリンピックの開会式という新たな歴史。午後8時の開始を待たずして観客席からは手拍子と「ブラジル」コールが起こり、さらにウェーブが3周もするほどの盛り上がりです。早くも大きな熱気と興奮に包まれる中、カウントダウンが進み、いよいよ開会式がスタートしました。
今回、開会式の演出を手がけたのは、アカデミー賞にもノミネートされた『シティ・オブ・ゴッド』で知られるブラジルの映画監督フェルナンド・メイレリス氏です。まずはピッチ上を彩るCG映像などと組み合わせて、生命の起源から大航海時代のポルトガル人をはじめとした様々な人種の移住、大都市の出現と、ブラジルがたどった歴史を表現。続けて軽快な音楽に合わせて出演者と観客が一緒になってダンスを踊ると、サッカーの聖地はまるで巨大なディスコクラブに一変したかのような一体感。
そうした陽気な国らしい演出が目を引く一方で、原爆が広島に投下された8時15分には日系移民をテーマにしたダンスで平和へのメッセージが表現され、地球温暖化・森林伐採・環境汚染など現在の地球が抱える課題も提示。そして、ブラジルが今回のオリンピックを通して遺すレガシーの1つが紹介されました。それが、将来の緑化のため、オリンピアンたちが選手入場の際に植物の種を植えていくという形で表現されました。
選手入場は開催国ブラジルの公用語であるポルトガル語のアルファベット順での入場となり、日本は104番目に登場しました。先ほどの日系移民をテーマにした演出に見られるように歴史的にも関係が深い日本とブラジル。旗手の右代啓祐選手(陸上競技)を先頭に日本代表選手団が入場すると、大きな拍手、歓声とともに会場のあちらこちらから多くの日の丸が振られました。また、サンバやボサノバのリズムに合わせた行進に、橋本聖子団長、福原愛選手と伊藤美誠選手(ともに卓球)、吉田亜沙美選手らバスケットボール女子、片山晋呉選手(ゴルフ)など、日本代表選手団からも笑顔があふれました。
その後、オリンピック史上初となる難民選手団にひときわ大きな拍手が送られると、最後にブラジルが入場し会場のボルテージはまさに最高潮。そして、各国の選手たちによって植物の種が植えられた銀色のタワーがピッチ中央に運ばれると、そこから樹木が飛び出しオリンピックシンボルが出現。続けて大量に打ち上げられた花火でもオリンピックシンボルが表現されました。
これまで様々な不安点も報じられましたが、観客の熱狂を見ても分かるように、開会式は大成功。光り輝く太陽のような聖火台に見守られ、史上最多の205の国と地域が参加し17日間に渡って熱戦が繰り広げられる南米初のオリンピックの幕がついに上がりました。
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