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2016.07.21 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(前列左から)渡部選手、鈴木選手、(後列左から)中辻選手、長島選手、神野選手、杉本選手、小松選手、清水選手、山田選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(左から)星野JOC理事、高橋NBC国際部門国際人材教育委員会委員長、藤間理事長(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は7月11日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに78社/団体109名(2016年7月11日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は、6回目となる東京ニュービジネス協議会(NBC)との共催で行われ、44社52名が参加しました。

 最初に、主催者を代表して開会のあいさつに立った星野一朗JOC理事は「トップアスリートが世界の舞台で活躍するためには、練習場や宿泊・食事施設などのハード面のみならず、経済的な観点、そして精神的な観点からも安心して競技に打ち込める環境が必要不可欠です。皆さまの日々のサポートがトップアスリートの明日を作ります。その意味で、本日お集まりいただいた皆さまにもぜひチームニッポンの一員に加わっていただきたいと思っております」と、引き続きの支援を訴えました。

 次に共催者代表としてあいさつしたNBCの高橋ゆき国際部門国際人材教育委員会委員長が「どうか選手の皆さん、採用されるのは人間力ですから、人間力をぜひ輝かせて、試合スタートの数秒前と思って臨んでいただきたいと思います」と、この日プレゼンテーションを行う選手にエールを送ると、続いてNBC会員企業を代表してTOMAコンサルタント藤間秋男理事長が参加企業に向けて「アスリートの支援活動は、最後は自分の会社の成長に必ずつながると私は信じております。ぜひ積極的に参画をしていただきたいと思います」と呼びかけました。

 次に八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、配属部署、国際大会での社名の使用などの概要を、資料をもとに説明しました。

 採用企業の事例紹介では、2013年6月に住吉都選手(スケート・スピードスケート)、平野由佳選手(アイスホッケー)を採用した株式会社ローソンの越田英喜人事本部人事管理マネージャーが登壇。採用に至った背景、アスリートの応援体制などを説明しました。また、選手のキャリアに関して「アスリートはビジネスマンとしての資質をたくさん持っている。特に一流を極めたアスリートはビジネスマンとしての人間力にあふれています」という考えに加え、ローソンの行動指針と一流アスリートが日々実践していることの多くが共通することから、引退後のアスリートは同社にとって貴重な人材であると強調しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(左から)山田選手、小松選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(左から)杉本選手、神野選手(写真:アフロスポーツ)

■就職希望アスリートがプレゼンテーション

 続いて、就職を希望しているアスリート13名がプレゼンテーションを実施。自身の強みやオリンピックへの思いを語るスピーチをはじめ、映像で競技を紹介したり、デモンストレーションを行ったりと、それぞれ趣向をこらしたプレゼンテーションで自身をアピールしました。なお、13名のうち、この日会場に来ることができなかった4名はビデオメッセージによるプレゼンテーションとなりました。

■山田亮選手(テコンドー)
「私はもともと空手をやっておりましたが、テコンドーへの転向を決意した際に掲げた目標はオリンピックの金メダル獲得です。リオオリンピックアジア大陸予選では残念ながら敗れてしまい、リオオリンピック出場の夢は叶いませんでしたが、この経験で競技力も人間的にも成長できたと実感しております。東京オリンピックには必ず出場し、金メダルを獲得します。企業に採用いただきましたら前向きな姿勢で何事にもチャレンジし、ムードメーカー的な存在となり、社内のモチベーションアップにも努めてまいりたいと思います。ぜひ採用をよろしくお願いいたします」

■小松巧選手(水泳・競泳)
「私はオリンピック出場を目標に掲げて、4歳から17年間水泳に取り組んできました。リオオリンピック選考会を兼ねた今年の日本選手権は6位という結果に終わってしまい、あと少しのところでリオオリンピック出場の夢を逃しました。しかし、この悔しさが私の反骨心に火をともし、大学卒業後も現役を続行することを決意しました。私はどんなにつらいことでも決して諦めない根性は誰にも負けません。会社にどのような貢献ができるかを考えたとき、結果を出すことで企業のイメージアップはもちろん、競技にひたむきに向かう私の姿を見て、社員の皆さまに刺激を感じていただける存在になりたいと思います」

■杉本幸祐選手(スキー・モーグル)
「小学生のころから父に『イチロー選手のような努力する天才になれ』と耳にタコができるくらい言われ、私の人生にとって努力することは習慣となりました。私はこれからも努力することをいとわず、企業に入社し自分自身も成長しながら、社員の方々ともその前向きな姿勢を共有させていただけるような選手になりたいと考えております。2年後の平昌オリンピックの出場規定はまだ発表されていませんが、今シーズンから代表選考が始まります。1戦、1戦自分のベストを出し、オリンピック出場、メダル獲得を目標に戦っていきます。そのためにも企業のサポートが必要です。努力の天才・杉本幸祐に力を貸してください」

■神野愼之助選手(スキー・スノーボード)
「私はスノーボード競技を通じて、普通の生活や普段の競技生活では培うことができないような、環境を一から作り上げる能力、失敗を恐れない度胸、国際文化への適応、取り組みへの集中力、そして、得たい結果を得るまでの忍耐力を手に入れることができました。その能力は、私が競技を引退した後も必ず生かすことができると信じています。私の目標は2018年平昌オリンピック、2022年北京オリンピックで活躍し、メダルを獲得することです。この目標に向かって前向きに努力する姿を会社の皆さまとともに共有し、応援していただければ、私自身の最大の力となります。そして、その期待に応え、社員の皆さまのモチベーションや会社全体の結束力の向上に役立てるよう努め、生涯ともにチャレンジしていきたいと思っています」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(左から)鈴木選手、清水選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
(左から)渡部選手、中辻選手(写真:アフロスポーツ)

■鈴木朋樹選手(パラ・陸上競技)
「私は生後8カ月のころに交通事故にあい、それからずっと車椅子生活になります。小学校に入る前に、親の勧めから障がいのある子たちの陸上クラブに通うようになったのが、陸上を始めたきっかけです。小学4年生のころに現役のパラリンピック選手だった花岡伸和選手との出会いから、自分もパラリンピック選手になりたいという思いが強くなりました。リオへの切符はあと少しのところで逃してしまいましたが、この悔しさをバネに東京パラリンピックに向けて日々練習に励んでいます。私は今まで人の助けを借りて生きてきました。しかし、これからは私が競技に打ち込むことによって、人々に勇気と希望を与え、企業のシンボルとして社員の皆さまの励みになれればと思っております。全力で頑張りますのでよろしくお願いいたします」

■清水啓輔選手(ビーチバレーボール)
「私は大学を卒業後、常勤、非常勤講師として地元の特別支援学校で働きながら競技を続けました。そのとき国内ツアーで優勝し、それをきっかけに、さらに良い環境で競技を続けるため、今は神奈川県に拠点を移し、アルバイトをしながら競技を続けています。私の目標は2つあります。1つはオリンピックに出場しメダルを獲得することです。もう1つは社会に貢献することです。競技を通して人々に夢や希望を共有いただける、そんな選手、人間になることで社会、企業に貢献していきたいと考えております。特別支援学校で身につけたコミュニケーション能力、ビーチバレーを通して身につけた自ら考え実行する能力は、今後仕事をする上でも必ず役に立つものだと思っております。どうか私にチャンスをください」

■渡部由梨恵選手(スキー・ハーフパイプ)
「私は2018年平昌オリンピックでのメダル獲得を目標に活動しております。もし目の前に平坦な道と険しい山道があったとしたら、私は険しい山道を選びます。私はこれまでの様々な道の果てに身につけた困難に打ち勝つ力、自己管理能力、相手の立場となって考えるといった能力を生かし、どのような職務にも取り組むことを約束します。平昌オリンピックでのメダル獲得はもちろん平坦な道ではありませんが、もし、私の競技人生において最大の挑戦をともに挑んでくださるパートナーがいてくだされば、メダル獲得にまた一歩近づくことは間違いありません。どうぞよろしくお願いいたします」

■鈴木世奈選手(アイスホッケー)※ビデオメッセージ
「オリンピックでメダルを取ること、それが競技者としての私の目標です。アイスホッケーは団体競技であり、一人一人が持つ力を集結させることで大きな力となり、目標達成につながることを私は競技を通じて実感していました。そのため私にとって企業に所属し、社員を代表してプレーすることにはとても大きな意味があります。企業の中でもアイスホッケーで培ってきた私の強みを生かし、常に成長し続ける姿勢を大切にし、社内に新しい活力を生み出せるよう貢献していきたいです。来年2月にはオリンピック最終予選が日本であります。このタイミングで採用をいただき、企業の皆さまに応援していただいて、ぜひ社員の代表として最終予選を戦い平昌に行きたいと強く望んでいます」

■中辻克仁選手(パラパワーリフティング)
「私は19歳のときに交通事故で右足を失くしました。選手歴は今年で16年目になります。今後はワールドランキング上位10位以内に入り、東京パラリンピックに出場して上位に入賞することを目標にしています。2012年まで自営で派遣業を営んでおりましたが、選手継続をすることに無理があり、目的をかなえるために廃業しました。今、自分の力をパラリンピックで出すことが私の使命だと信じ、トレーニングに集中する環境に変える必要があると強く感じています。今日お集まりいただいた企業の中で、私の夢に共感していただけたなら、どうかその温かい力を私に貸してはいただけないでしょうか。私の経験を社員の皆さまに精一杯伝え、挑戦する力に変えていただくべく全力で尽くしたいと思います。少し強面で見た目がちょっと近寄りがたいと思いますが、中身はエエ奴です。どうかよろしくお願いいたします」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
長島選手(写真:アフロスポーツ)

■長島圭一郎選手(スケート・スピードスケート)
「ソチオリンピック後1年4カ月、スケート選手を離れまして、スケート教室などで子供たちにスケートの楽しさを教えていました。そこで子供たちが真剣に練習に取り組む姿を見て、やはりまだ僕の中にスケーターとしての気持ちがあり、今回平昌オリンピックに向けて復帰したいと思いました。平昌オリンピックでは、前回、前々回と取れなかった金メダルを取りにいきます。皆さま、ご支援のほどよろしくお願いいたします。復帰を決めた一番のきっかけは、子供たちが楽しくスケートをして、真剣に取り組む姿勢を見て、もう一度僕もその気持ちになれたことです。今までは単に一番を目指してやっていたんですが、本来の“楽しく”という部分も思い出したので、また新たな自分の滑りを皆さんにお見せできるかなと思い、復帰したいと思っています」

■竹田渉瑚選手(水泳・競泳)※ビデオメッセージ
「私は日本の長距離の第一人者としてレースを引っ張っていくという立場にもあり、東京オリンピックの出場を目標に、大学卒業後も社会人として競技を続けながら企業にサポートしていただく道を選択しました。1500メートル自由形は自ら求め、考え、行動することが求められ、競技を通して培ったことを仕事にも生かすことができると考えております。そして、世界に挑むチャレンジ精神を社内の士気向上につなげられるよう、努力していきたいと思います」

■森本麻里子選手(陸上競技)※ビデオメッセージ
「私は陸上競技で逆境に負けない強みを培ってきました。目標を設定し達成するためにはたくさんの困難があります。つらい練習や記録が出ない時期も我慢強く耐えられる忍耐力こそ私の強みです。私は所属させていただく会社には精一杯貢献します。4年後には東京オリンピックが開催されます。ぜひ私の挑戦する姿を見ていただいて、一緒に上を目指し、社内に一体感を作りたいです。ご支援のほどよろしくお願いします」

■倉林巧和選手(自転車)※ビデオメッセージ
「東京オリンピックでは4kmのチームパシュートでの出場を目指しています。私はスポーツを通して身につけたものが3つあります。それは、体力だけではなく、思いやりの心、礼儀正しさ、そしてルールを守ることの大切さです。そのスポーツを通して培った人間力を、企業の中で発揮できる存在になりたいと思います。ぜひ私を採用してください」

JOCの就職支援「アスナビ」:東京ニュービジネス協議会への説明会を実施
選手たちに応援メッセージを送った荻原健司さん(写真:アフロスポーツ)

■荻原健司さんから応援メッセージ

 最後に「オリンピアンによる応援メッセージ」として、1992年アルベールビルオリンピック、1994年リレハンメルオリンピックのスキー・ノルディック複合団体金メダリスト、1998年長野オリンピック複合個人4位の荻原健司さんが登壇。「日本のスポーツを取り巻く環境はどんどん良くなっていると思います。ただ一方で、スポーツ選手が採用される環境は必ずしも良いとは言えない」と、スポーツ選手を取り巻く現状を語ると、「あとはスポーツ選手が所属する環境さえ整えば、必ず世界に通用する実力を発揮してくれると考えております。この後の懇親会ではぜひ、選手のやる気、気迫、意欲をしっかり見ていただきたい。その選手自身に心から湧き出てくるような本気の、本物の意欲や決意がなければ絶対に世界一にはなれません。ぜひ、その決意を皆さんの目で見ていただいて、どうか選手の採用をご検討いただきたいと、私からもお願い申し上げます」と、参加企業に協力を呼びかけました。

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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