日本オリンピック委員会(JOC)は5月20日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「平成28年度JOC国際人養成アカデミー開講式」を開催しました。このアカデミーは、JOCゴールドプランの長期的国際競技力向上戦略の一環として位置づけられており、競技力向上につながる組織、人、財政などにおける国際力の強化を見据え、将来国際スポーツ組織等の政策決定過程に関与できる、あるいは国際的な折衝において活躍できる人材の育成を目的としています。
6年目となる今回のアカデミーは、JOC加盟競技団体等から推薦された、新規42名を含む計51名が受講。開講式には受講生とアカデミーのスクールマスターや講師、競技団体関係者らが参加しました。
冒頭、主催者を代表して齋藤泰雄JOC常務理事が挨拶に立ち、「私も長く外交の世界に生きていましたが、自分たちの考えや立場を実現するためにはいろんなことをしていかないといけません。まずは主張する考えをはっきりさせること。そしてそれをどうやって効果的に伝えるか。言葉の問題もありますし、信頼関係を築く必要もあります。相手の考えや立場にも思いを馳せることも重要です。そこから、より自分たちの考えに近いものに落としていくというプロセスがあります。国際的な分野で日本の考えや立場を発揮し、世界において日本のスポーツがますます輝くものになる。そういう担い手に皆さんがなっていくことを期待しています」と激励しました。
続いて来賓としてスポーツ庁の今泉柔剛国際課長が紹介され、次にスクールマスターの4名が登壇して一言ずつ挨拶を行いました。国際卓球連盟の木村興治会長アドバイザーは「このアカデミーの創設に関わった人間として皆さん方とのコミュニケーションを楽しみにしています」と述べ、国際トライアスロン連合の大塚眞一郎理事は「私もIF(国際競技連盟)の役員という立場でいます。私も皆さんと一緒に勉強するつもりで8週間を乗り越えたいと思います」とコメントしました。村津敬介JOC理事は「いかに学ぶか、学んだ後、いかに自分を深めていくかということが大事です」と心構えを述べ、上治丈太郎JOC国際専門部会員は「昨年からマスターをさせていただいています。今年はますます充実したアカデミーになっています」とカリキュラムに言及しました。
その後は、JOC国際専門部会の細淵雅邦部会員と村里敏彰部会員の紹介と、受講者全員の紹介が行われました。
次に行われた基調講演では、スポーツ庁の鈴木大地長官が登壇。1988年ソウルオリンピックの100m背泳ぎで金メダルを取った鈴木長官の得意としていたのが、もぐったままで水中を進むバサロ泳法。しかし、「バサロがオリンピックの翌年に禁止になり、次のオリンピックには私は出られもしませんでした。私がスポーツの仕事をするきっかけになったのがこのルール改正です。自分の得意技が禁止になってしまった。若い選手にはこのような不利なルール改正がされないようにということでこういう仕事もやるようになりました」と、自身が競技団体の仕事をするようになったきっかけを紹介しました。
そして、ハーバード大学水泳部のコーチ時代やWADA(世界アンチ・ドーピング機関)アスリート委員時代、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会のメンバー時代、そして日本水泳連盟の会長に就任し、その後にスポーツ庁の長官となった自身のキャリアについて、それぞれの時代の思いを語りながら振り返りました。
最後にはスポーツ庁が進める政策として「IF役員のポスト獲得支援」「若手人材の育成支援」を取り上げ、「皆さんが8週間のアカデミーでいろんなことを学び、日本にフィードバックしてもらえることを楽しみにしています」とエールを送りました。
※この活動はスポーツ振興くじの助成金を受けて実施されています。
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