日本オリンピック委員会(JOC)は11月13日、2020年東京オリンピックの期間中トレーニングや事前キャンプに関する覚書をアメリカオリンピック委員会(USOC)、世田谷区と交わし、味の素ナショナルトレーニングセンターで締結式を行いました。
USOCは、東京オリンピックの事前キャンプならびに大会期間中のトレーニング拠点を東京都世田谷区に決定。アメリカチームの各競技の選手は主に世田谷区立大蔵運動場、および大蔵第二運動場にある陸上競技場、体育館、アリーナ、温水プール、トレーニングルームをはじめ様々な施設を活用する予定です。東京都の自治体で東京オリンピックの事前キャンプ地に決まったのは世田谷区が初めて。また、この覚書締結により、USOC、世田谷区、JOCがさらなる協力体制を築くと同時に、実際の施設利用のための具体的な内容を今後協議していきます。
締結式には竹田恆和JOC会長、アラン・アシュレイUSOC強化本部長、保坂展人世田谷区長、舛添要一東京都知事、また、来賓として在日米国大使館のキャロライン・ケネディ駐日大使らが出席しました。
最初にあいさつに立った竹田会長はまず、「JOCとUSOCのパートナーシップは2002年にさかのぼります」と、これまで培ってきた両委員会の協力関係を紹介。その上で「アメリカのアスリートの皆さまには、世田谷区の施設において十分なトレーニングを行い、最高のコンディションでオリンピックの舞台に臨み、素晴らしい成績を収められますことを期待しております」と、アメリカ選手団にエールを送りました。
また、竹田会長はアメリカ選手団と世田谷区民の交流にも大きな期待を寄せています。その中でも特に子どもたちをはじめとする若い世代が、世界的に有名なアメリカのトップアスリートと触れ合うことで夢や希望を持つことを願っています。そうした交流から「若者自らがスポーツへの参加を望むようになると確信しています」と語ると、東京オリンピックの成功に向けて「“トモダチ”として明るい未来を築いていきましょう」と締めくくりました。
次に登壇したUSOCのアシュレイ強化本部長は「今回のこの締結により、アメリカのアスリートは最高の施設を使わせてもらうことになります。日本とアメリカ双方の人的交流により、オリンピックとパラリンピックは必ず成功するでしょう」とコメント。また、保坂区長は「アメリカ選手団のキャンプやトレーニングが行われることは、世田谷区にとって輝かしい歴史のひとコマになります」と喜びを述べ、「オリンピック期間中の17日間だけではなく、これからの5年間、キャンプの成功に向けてしっかりサポートさせていただきたい」と約束しました。さらに、世田谷区は5歳以下の子どもの人口が毎年増え続けていることから、「アメリカ選手団の皆さまには、とりわけ子どもたちとの交流の場を持っていただき、世田谷区に大きなレガシーを残していただきたい」と、竹田会長同様に、子どもたちとアスリートとの交流に期待を寄せました。
舛添都知事も今回の締結に大きな歓迎の言葉を述べています。また、都知事自身が世田谷区民であり、自宅から大蔵運動場までは自動車で10分程度の距離であるとのこと。そうした背景から、「運動場の近くには緑あふれる砧公園があり、その隣には世田谷美術館もありますから、スポーツとともに文化もエンジョイできます。そういった最高の環境の下でトレーニングを重ねて、ベストのパフォーマンスを本番で発揮されることをお祈りいたしております」と、アメリカ選手団の活躍を期待していました。
最後に、来賓を代表してケネディ駐日大使が登壇。スポーツ好きで知られている大使は、青春時代のオリンピアンへの憧れを語ると、1964年の東京オリンピックにも次のように触れました。
「1964年の大会は、現代の奇跡としてこの国が国際舞台に立った、象徴的な日本の歴史の瞬間でした。2020年の大会はさらに素晴らしいものになるでしょう」
そして、「いつの日にか私も世田谷区の素晴らしい施設でワークアウトできることを願っております」と希望を語り、日米双方に向けて日本語で「ガンバレ!」とエールを送ると、会場からは大きな拍手が送られました。
あいさつに続いて覚書への署名が行われ、無事に締結式が終了。その後の質疑応答では、アシュレイ強化本部長に世田谷区を事前キャンプ地に選んだ具体的な理由が問われ、次のように回答しました。
「多種多様な施設が一箇所に集約されるていること。つまり陸上、水泳、ボクシング、ラグビーなど一箇所で色々なトレーニングができることで選手管理がしやすいことです。また、競技会場へのアクセス、交通整備がされているロケーションや、住民のみなさんが親切であることから、チームUSAにとって世田谷区は素晴らしいふるさとになるでしょう」
また、保坂区長は区民と選手との交流に関することも締結内容に含まれていることを明かした上で、世田谷区民とアメリカ選手、特に子どもたちとの交流を大事にしていきたい考えを重ねて述べました。
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