日本オリンピック委員会(JOC)は10月12日、文部科学省や日本体育協会などとの共催で、体育の日・中央記念行事「スポーツ祭り2015」を開催しました。今年で7回目の開催となった「スポーツ祭り」は、1964年に開催された東京オリンピックを記念し、国民がスポーツに親しみ健康な心身を培うという趣旨で祝日に制定された「体育の日」に行われています。
会場となった東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター、国立スポーツ科学センターなどには、およそ80人のオリンピアンやパラリンピアン、アスリートが集まり、のべ1万4000人の参加者とともに大運動会やジョギング、スポーツ教室などさまざまなプログラムを楽しみました。
味の素フィールド西が丘で行われた開会式では、はじめに鈴木大地スポーツ庁長官が登壇し「今日はたくさんのオリンピアン・パラリンピアンの方が、皆さんと一緒に体を動かします。1日楽しみましょう!」と開会宣言。続いて馳浩文部科学大臣があいさつに立ち「年に1度の体育の日は、スポーツをする人も、観る人も、支える人も、スポーツを通じてより豊かな社会にしていこう、明るい前向きな社会にしていこうと誓い合う1日です。今日1日、多くの方々に感謝し、ここにいる子どもたちが将来の日本をいろんな意味で支えていく若者に成長してくれればいいな、という期待を持ちながら、私たちも体力に応じたスポーツに取り組んで参りたいと思います」と述べました。
次に荻原健司さん(スキー・ノルディック複合)、宮下純一さん(水泳・競泳)、大山加奈さん(バレーボール)、太田渉子さん(パラリンピック・スキー)の4名が、北区と板橋区代表の子どもたち4名と一緒に「スポーツ祭りの旗」を持って登場。続いて参加アスリートたちが子どもたちとハイタッチをしながら大きな拍手に迎えられて入場しました。
そして、上田藍選手(トライアスロン)、山田拓朗選手(パラリンピック・競泳)が「スポーツ祭りの火」を点火。最後に、田中琴乃さん(体操・新体操)らがお手本役となって、「スポーツ祭り体操2015」と題した準備運動を行いました。
開会式に続いて行われたのは「アスリートふれあい大運動会」。アスリートと約500人の小学生、ゲスト参加したよしもとのお笑い芸人の皆さんが、赤、青、黄、緑、白の5組に分かれ、「大玉ころがし」「フラフープ競争」「しっぽ取り競争」を楽しみました。緊張からかスタート前はあまり声が出ていなかった子どもたちも、アスリートや仲間たちと作戦を練りながら優勝を目指し、芝生の上で一生懸命体を動かすうちに元気いっぱいになった様子。合計280点で1位に輝いた赤チームのキャプテン、宮澤崇史さん(自転車)は優勝トロフィーを高々と掲げ、「途中経過ではリードされていましたが、最後の最後まで諦めず、みんな一致団結して頑張りました。ありがとうございます!」と子どもたちをねぎらいました。
陸上トレーニング場では「オリンピアンふれあいジョギング」が行われ、荻原次晴さん(スキー・ノルディック複合)、田中光さん(体操競技)、中村礼子さん(水泳・競泳)らが8組に分かれて約2kmのコースをジョギングしました。スタート前に宙返りを披露し「今日は回転しながら走ります!」とあいさつをして笑いを誘った田中さんはゆっくりとしたペースで爽やかにゴール。「1人で運動するよりみんなで運動した方が楽しいですし、皆さんと一緒に楽しさを分かち合えて良かったです」と振り返りました。現在子育て中でジョギングはお休みしているという中村さんは「子どもたちがすごく良い走りで、私は汗だくでしたがみんなに引っ張ってもらいました。下の子がいま2歳なのですが、落ち着いたらまた走りたいなと思います」と語り、モチベーションが高まった様子でした。
午後に「憩いの広場」で行われた「アスリートパフォーマンスステージ」には、荻原次晴さんと田中琴乃さん、上田藍選手、狩野亮選手(パラリンピック・スキー)が登場しました。オリンピックの裏話や思い出を披露したトークショー、○×クイズに続き、田中さんが新体操のボールの技を登壇者にレクチャー。最後にボールとリボンを使った模範演技で柔軟性のあるポジションや投げ技を披露すると、集まったお客さんから歓声と大きな拍手が沸き起こりました。午前中に運動会に参加をした上田選手は、前日出場した日本選手権で4度目の優勝を飾ったばかり。翌日には遠征先のオーストラリアへ旅立つというハードスケジュールの中での参加でしたが、「今日集まった子どもたちの中からオリンピックを目指す選手が生まれるんじゃないかという期待もありつつ、私自身もリオデジャネイロオリンピック、東京オリンピックと現役で続けていきたいので、今日の思い出がこれからの未来につながったらいいなと思いながら参加させてもらいました。皆さんからエネルギーをもらってまた次の大会に行きたいと思います」と終始笑顔でした。
また、各競技のトレーニング施設では、アスリートが講師役になってスポーツ教室が開かれました。水泳教室には7月の世界水泳で金メダルを獲得した瀬戸大也選手と渡部香生子選手、ロンドンオリンピック銅メダリストの立石諒選手が参加。3チームに分かれたレッスンではそれぞれの得意種目を中心に熱心なアドバイスが行われました。
教室を終えた瀬戸選手は「僕自身、小さい頃に水泳教室に参加して先輩たちの姿を見て『速くなりたい』と思ったので、そういう気持ちになってくれたらうれしいです。少しでも小さい子にパワーをあげられたらいいですし、逆に自分もパワーをもらいたいと思っていたのですごく楽しかったです」とコメント。渡部選手は「練習はきつくて苦しいこともありますが、やはり楽しくやるというのが競技をやる上では一番大切だと思うので、少しでも楽しくできればという思いで参加しました。今日のような教室やオリンピックなどのレースを通して、よりたくさんの人に水泳の楽しさを知ってもらえるように、私ももっとしっかり頑張ろうと思います」と語り、リオデジャネイロオリンピックに向けて気持ちを新たにしていました。
大山さんと宝来麻紀子さんによるバレーボール教室では、大山さんが「二人とも大きいでしょう? 大きいけど、怖くないよ(笑)」と和やかにあいさつ。ボールを使った遊び感覚のウォーミングアップで十分に体を温めてから練習に入ったほか、バレーボールコートに設置された映像システムなど、最新の設備に関する説明も行われました。
バドミントン教室では9月に競技生活を終えたばかりの池田信太郎さんと、廣瀬栄理子さんがクリアー、ドライブ、ドロップといった基本の打ち方を実際にプレーしながら紹介。生のプレーを見るのが初めてという子どもたちはそのスピード感と迫力に圧倒された様子でした。またハンドボール場では、リオデジャネイロオリンピック予選を間近に控えた日本代表「おりひめジャパン」のメンバーが子どもたちを指導。ゴールキーパーが立ちはだかるコートにドリブルからシュートを放つメニューなど、活気にあふれた実践練習が行われました。
会場内では今回日本中から大きな注目を浴びたラグビー日本代表と、2019年に日本で開催されるワールドカップのPRコーナーが設けられたほか、宿泊施設・アスリートヴィレッジの食堂「サクラダイニング」のメニューを試食できる「勝ち飯試食体験会」、ボート競技の疑似体験コーナー、パラリンピックの実施競技である「ブラインドサッカー」「ウィルチェアーラグビー」の体験コーナーなど、さまざまな催しが行われました。
全イベント終了後、「福島キッズ スポーツ祭りツアー2015」の参加者を、アスリートらが見送りました。施設見学やスポーツ祭りへの参加など充実の2日間を過ごした子どもたちは、アスリートらとハイタッチを交わしてバスに乗りこみ、窓を開けて名残惜しそうに手を振りながら帰途につきました。
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