日本オリンピック委員会(JOC)は7月26日、27日の2日間、新潟県妙高市の「国立妙高青少年自然の家」で「オリンピック親子チャレンジ」を開催しました。このイベントは家庭(親と子)を対象とし、オリンピアンと共に自然の中で様々なプログラムに"チャレンジ"することで、頑張ることの大切さや達成感も味わえる、親子参加によるプログラムです。今年はオリエンテーリングをメインに実施。オリンピックふれあいアンバサダーの宮下純一さん(水泳・競泳)、オリンピアンの湯元健一さん、進一さん兄弟(ともにレスリング)、三科真澄さん(ソフトボール)と抽選で選ばれた親子18組50名が参加しました。
■ゲームを通じてふれあうオリンピアンと参加者たち
1日目の朝、やや緊張の面持ちで18組の親子が会場に集まり、開会式が行われました。ここではオリンピアンが自分の出場した大会のエピソードを交えながら自己紹介。さらに2日間にわたって呼び合うニックネームを決めました。
アイスブレイクと呼ばれる簡単なゲーム、昼食をはさんで体育館でチーム決めが行われました。宮下さんが緑、湯元健一さんは黄、湯元進一さんは青、三科さんは赤に決まると大きな拍手が室内に響き渡ります。続いて行われたチームごとに競うゲームではオリンピアンも親子と一緒に笑顔で、時に真剣な表情を見せながら取り組みました。
続いて、山を歩くオリエンテーリングには欠かせないコンパスの使い方を学びました。ここでは地図を使って現在地を把握する実習と、巻き尺、地図を使って1964年と2020年の東京オリンピック会場を1/7000の縮尺で配置するチャレンジが行われました。途中で巻き尺が回収されてしまうルールが設けられたことで、オリンピアンと親子たちは様々な方法で長さを測る方法を考え、積極的に言葉を交わしていました。
各チームが独自の会場図を作り終えたところで、JOCスポーツ環境アンバサダーも務める宮下さんから環境に関する講話が行われました。宮下さんは日本が長い間、環境保全に努めてきたことで2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定につながったことを紹介。加えて出身競技である水泳を例に用いて、「飲むための水がないのに、泳ぐための水が用意できますか?」と子どもたちに問いかけ、スポーツを続けるためにも環境保全が欠かせないことを訴えるとともに、自然とふれあう今回のチャレンジ期間中もそれを意識するよう呼びかけました。
■オリンピアンの力と技に驚きの声
夕食後にはオリンピアンによるトークショーが行われました。4人が出場したオリンピックや、今年で開催50年を迎える1964年東京オリンピックの写真を交えながら、大会の裏側やオリンピック出場権をつかむまでの秘話を紹介。唯一開会式の参加経験がある三科さんは「拘束時間が7、8時間と長かったですが、他競技の日本代表選手たちとたくさん交流ができて楽しかったです」と思い出を語り、他の3人が興味深そうに聞き入る場面もありました。
◯×クイズに続いて行われたのはオリンピアンへの質問コーナー。「打撃フォームを教えて下さい」という子どもからの質問に、ソフトボール女子の日本リーグで本塁打王を獲得したこともある三科さんが直接指導、さらに打撃フォームを実演し会場からは大歓声が沸き起こりました。
続いてレスリングでともに銅メダルを獲得した湯元兄弟には、大人と子どもが1人ずつ挑戦しますが、渾身のタックルにも2人の体はビクともせず。それどころか挑戦者、さらには宮下さんをいとも簡単に担ぎ上げ、驚きの声があがり大盛り上がりのまま1日目を終えました。
■みんなが一体になったオリエンテーリング
2日目はあいにくの雨模様の朝を迎えました。参加者はスタッフからの指導を受けオリエンテーリングの準備を開始。今回はチーム対抗戦で、自然が豊かな施設周辺に設置されたチェックポイントをオリンピアンと巡り、いくつかのチェックポイントでは決められた課題に挑戦する形式で行われるため、各チームで熱心な作戦会議を実施しました。これに加えてオリンピアンと参加者は「弱音を吐かない」「元気にゴールする」といった内容の目標を決め、オリエンテーリングに臨みます。
各チームとも円陣を組んで一致団結し、いよいよオリエンテーリングがスタート。やや足元は悪い状況でしたが元気に山道を進んでいきます。途中からは雨も止み、さらに雲の間から太陽が顔を出すなど天候が回復。オリンピアン、参加者も身にまとっていたレインコートを脱いで、汗を拭いながら各チェックポイントを回ります。道中ですれ違うと、「大丈夫?」「元気?」といったかけ声が自然と生まれ、オリンピアン、参加者同士のコミュニケーションが活発に行われました。
終盤、ゴール目標時間を過ぎて戻ってこないチームが出てくると、先にゴールした参加者がコースに出て「がんばれ!」「あとちょっと!」といったかけ声が飛び交い、最後はみんなで伴走。参加者全員が拍手で出迎える光景が見られました。
■オリンピアンから参加者へのメッセージ
昼食を終え、施設に戻ったオリンピアンと参加者たちは、2日のチャレンジを振り返るまとめの時間に取り組みました。スタート前に決めた目標が達成できたかどうかを確認するとともに、未来へ向けた家族の目標を作成。それぞれの家族が決めた目標を書き込んだ色紙には、オリンピアン4人のサインが入れられました。
最後のプログラムとなった閉会式では、オリンピアンから参加者へ参加者に目標に向かって努力することの大切さなどがメッセージとして伝えられ、今年のオリンピック親子チャレンジは幕を下ろしました。
<オリンピアンからのメッセージ>
・三科真澄さん
当たり前の中にありがたいことがたくさんあります。輪を作って良い日本、自慢できる日本を作っていきましょう。
・湯元進一さん
リオデジャネイロオリンピックの金メダル目指してがんばるので、応援よろしくお願いします。皆さんの顔も覚えました。また機会があったら声をかけてください。
・湯元健一さん
今回はオリンピアンになって皆さんに“チャレンジ”することの大切さを教えることができました。オリンピックや自分の目標にチャレンジして、一生懸命がんばりましょう。
・宮下純一さん
ここにいる4人のオリンピアンも普通の子どもたちでしたが、「オリンピックに行きたい」という目標が強かったので、出場しメダルもとれました。皆さんしっかりと目標を持ってがんばって下さい
<オリンピック親子チャレンジ開催概要>
■実施日:2014年7月26日(土)、27日(日)
■会場:国立妙高青少年自然の家
(新潟県妙高市大字関山6323-2)
■実施プログラム オリエンテーションなど
■参加者 親子18組50名
■参加“オリンピックふれあいアンバサダー”
・宮下純一(水泳・競泳)
■参加オリンピアン
・湯元健一(レスリング)
・湯元進一(レスリング)
・三科真澄(ソフトボール)
■ハイライト動画
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