日本オリンピック委員会(JOC)が東日本大震災復興支援JOC「がんばれ!ニッポン!」プロジェクトの一環としてソチオリンピックに派遣した中学生アスリートによる視察団が2月16日〜21日、現地にて競技観戦や交流事業への参加などの活動を行いました。
本プロジェクトは、被災県に在籍する将来を担う若手選手に、国際総合競技大会を身近に体験する機会を提供し、今後のスポーツ活動などに役立ててもらうことを目的としたものです。2012年のインスブルック冬季ユースオリンピック、ロンドンオリンピックに続き、3度目の派遣となる今回は、1992年アルベールビルオリンピック銀メダリストの黒岩敏幸さん(スピードスケート)を団長に、青森、岩手、宮城、福島、茨城5県で冬季スポーツに取り組む中学生14名が参加しました。
■2月17日 最初の競技観戦で銅メダル!
16日深夜にソチ入りした一行。この日は、夜に行われるスキー・ジャンプ男子ラージヒル団体の観戦のため、午後から電車で山岳エリアの玄関口、クラスナヤ・ポリャーナ駅に移動。駅を降りると、団員たちは早速、オリンピック名物のピンバッジ交換を楽しみ、近くのホテルでロシア料理の夕食を堪能。黒岩団長から「応援の日の丸は選手からもよく見えるよ」との経験談を聞いた子供たちは「しっかり応援しなきゃ!」とやる気をみなぎらせていました。
そして、ジャンプ団体戦の観戦へ。団員たちは日の丸や双眼鏡を片手に声援を送ります。その甲斐あって、日本は見事銅メダルを獲得! 帰途についた団員たちは、初めて目の当たりにしたオリンピックの舞台に「興奮した!」と感動をかみしめていました。
■2月18日 サプライズゲスト登場に大騒ぎ
この日は各国の選手団が生活する選手村の視察からスタートしました。日本選手団の居住棟や様々な施設を見学したほか、食堂ではフィギュアスケートの村上佳菜子選手やキム・ヨナ選手らと遭遇。間近に見るオリンピアンの姿に驚いていました。
午後はオリンピックパークに移動し、アイスホッケー女子「スマイルジャパン」とドイツによる順位決定戦を観戦。残念ながら日本は敗れてしまいましたが、団員は声を張り上げて声援を送っていました。
その後、JOCの選手村外の活動拠点であるジャパンハウスを訪問。報道陣の取材を受けるべく待機していると突然、サプライズゲストとしてフィギュアスケートの高橋大輔選手が登場しました。握手や記念撮影をした団員たちは大喜び。特に女子メンバーは「かっこいい!」「オーラがすごい!」と興奮を隠しきれない様子でした。
夜は、スピードスケート男子1万mの観戦へ。スピードスケートに取り組んでいる団員は真剣な眼差しで競技をチェック。「自分とはすべてが違う」と感嘆する一方で、「オリンピックに出たい意欲が高まりました」と夢をふくらませていました。
■2月19日 オリンピックデーフェスタinソチ
この日は、ソチ市内にある第8ソチ市営学校で開催された「オリンピックデーフェスタinソチ」に参加し、同校に通う中学生とふれあいました。午前中のスポーツプログラムでは、しっぽ取り、二人三脚、バスケットボールでコミュニケーションを図ります。最初はぎこちなかった子供たちですが、ゲームが白熱するにつれて打ち解けた様子。午後の文化交流プログラムでは、けん玉や折り紙、書道をレクチャー。言葉が通じないながらも、手を取りながら仲よく教え合う姿があちこちで見られ、最後にはお互いに写真を撮り合って別れを惜しんでいました。
夕方からはオリンピックパークに移動し、フィギュアスケート女子シングルのショートプログラムを観戦。日本の浅田真央選手、鈴木明子選手、そして前日に選手村で遭遇した村上選手に日の丸を振りながら大きな声援を送り、トップ選手たちの華麗な演技に目を奪われていました。
■2月20日 最後の夜に誓った「未来」
この日は再び山に移動し、最後の競技視察となるノルディック複合団体を観戦。メダルには届きませんでしたが、日本チームに対して最後まで「がんばれ!」と応援しました。
その後はアドレル市内へ戻り、日本選手の支援施設として設置されているマルチサポートハウスを見学。トレーニング室や用具整備室など、選手を多方面から支える環境が存在することに驚いていました。
夜は滞在先近くのレストランでフェアウェルパーティーを開催。5日間の視察で団員間の友情も芽生えただけあって、別れを惜しみながら語り合う姿も見られました。
パーティーの最後には、黒岩団長がかけがえのない経験を積んだ団員たちへ「今回の経験を生かして、それぞれの夢をぜひ実現してください」とメッセージを伝えました。すると団員たちからも、宮城県の中学3年生・中山大輝さん(スキー・アルペン)が「4年後は、僕がアルペンスキー界を引っ張っていくつもりです」と誓えば、同中学1年生の秋山光希さん(スピードスケート)は「将来は東北を元気づけられるような選手になりたいです」と決意を語るなど、頼もしい言葉がいくつも聞かれました。
いつかは僕・私もあの舞台へ――未来のオリンピアンたちは、ソチで得た一つ一つの思い出を胸に、再び日本での競技生活に励みます。
関連リンク
CATEGORIES & TAGS