世界のトップアスリートがオリンピックでより良いパフォーマンスをするために重要な役割を担っているのが、競技に使用する用具やウェアです。100分の1秒、0.1ポイントの勝負を制するために、スポーツメーカー各社は最先端の技術と素材を駆使した製品を提供し、選手をバックアップしています。
ソチオリンピックでは、選手にウェア等を提供しているJOCオフィシャルパートナーの2社がソチに拠点を設け、選手のサポートと関係者へのホスピタリティサービスを行っています。今回は、オリンピックパークに近いアドレル地区にある2社の拠点を訪問。各施設のコンセプトや活動を紹介します。
■カフェのようにくつろげる「クラブデサント」
日本のボブスレー、リュージュチームをはじめ、スイス、カナダなどのスキーチームをサポートしているデサントの拠点「クラブデサント」。オリンピックビレッジ駅からソチ市内へと続く大通りに面したカフェとコラボレーションし、選手の家族や関係者を迎えています。
入り口を一歩入ると、10名ほどが座れるカフェスペースの中にサポートチームのウェアが展示されているほか、同社のウェアサポートの歴史がちりばめられたタペストリー、応援グッズや選手の家族らから寄せられた応援メッセージなどが壁一面に飾られています。コーヒーとケーキを楽しみながらくつろげる場所として、アットホームな空間作りがコンセプト。ふらっと通りがかってケーキをテイクアウトすることも可能です。
また、お店の裏手にあるアパートの一室にミシンを持ち込み、競技用ウェアの調整拠点としても機能。選手のリクエストに即座に対応できる態勢を整えています。ただ、現時点で修正希望はほとんどないとのことで、スタッフの三輪飛寛さんは「それだけ私たちから渡したウェアが選手の希望に沿っているということなので、うれしいことですね」と胸を張っていました。
大会終盤には競技を終えた選手たちも来場予定。オリンピックパークから一歩離れた街中の空間で、リラックスする選手たちの姿も多く見られそうです。
■「ミズノハウス」は関係者の交流の場
スピードスケート、ジャンプ、カーリングなど、チームジャパンの競技ウェアを多く手掛けているミズノの拠点「ミズノハウス」は、黒海が目の前に広がる海沿いのショッピング施設、マンダリンモールの一角にあります。空間をたっぷりととったエントランスを抜けて中に入ると、同社が提供する冬季競技のウェアや選手たちのサインがお出迎え。連日のように選手や関係者が訪れて、情報交換やトレーニングウェアの調達をしています。
取材日のミズノハウスは大盛況。スピードスケートの小平奈緒選手やフィギュアスケートの村上佳菜子選手ら、主にスケート競技の選手や関係者が続々と来場し、賑やかなひとときとなりました。村上選手は同行した山田満知子コーチとおそろいのトレーナーを身につけ「先生、可愛い!」とにっこり。1992年アルベールビル大会に伊藤みどり選手のコーチとして参加した山田コーチは、同大会のスピードスケート男子500m銀メダリストの黒岩敏幸さんと懐かしそうに談笑するなど、普段はなかなか会う機会のない他競技、他種目の関係者の交流の場にもなっているようです。
スタッフの西田維作さんによると、今回ソチ入りしているスタッフは約30名。山岳部の会場付近にも拠点を構え、それぞれにミシン室を設けて選手の細かな要望に日々対応しています。
大会も後半に入り、さらなるメダル獲得が期待されるチームジャパン。選手たちがオリンピックという大舞台で輝くために、メーカー各社は連日、手厚いサポートで彼らを支えています。
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