日本オリンピック委員会(JOC)は12月2・3日、ロンドンオリンピック・パラリンピック日本代表選手団への東北のみなさまからの支援と応援に対し感謝を伝えるため「ロンドンオリンピック・パラリンピック 応援ありがとう in 東北」を福島・宮城・岩手の3県で開催しました。2日午後には宮城県仙台市でパレードとふれあいイベントを行い、多くのオリンピアン・パラリンピアンが東北の人々とふれあいました。
■冷え込んだ街が熱くなったパレード
午後2時30分から始まったパレードにはオリンピアン30人、パラリンピアン12人が参加し、仙台駅東口の榴岡2丁目交差点から榴岡4丁目交差点までの470mを約30分かけて行進。選手はおそろいの赤いグラウンドコートを身にまとい、沿道に集まったみなさんの顔がはっきりとわかるゆっくりとしたペースで進みました。
パレードでは、レスリング女子フリースタイル55kg級でオリンピック3連覇を果たした吉田沙保里選手と陸上競技男子ハンマー投げで銅メダルを獲得した室伏広治選手、パラリンピック競泳で金メダルを獲得した秋山里奈選手らがそれぞれ被災地の子どもと一緒に歩きました。室伏選手は以前に訪問した宮城県石巻市の中学生たちから送られた寄せ書きが入った旗を持ち、時折、沿道に向かって大きく掲げていました。
午後2時の仙台市は気温4.4度と冷え込んだにも関わらず、沿道には4万8000人の観衆が集まり、小旗を振ったり、選手たちに感謝の気持ちを伝えるプラカードを掲げたりしていました。沿道だけでなく、近くのビルや立体駐車場の上からパレードを見物する人が出るなど大盛況。選手が目の前を通ると、一層大きな歓声がわき、選手たちは笑顔で手を振って応えていました。
■感謝の気持ちを伝えたふれあいイベント
場所をゼビオアリーナ仙台に移して午後4時30分から行われたふれあいイベントには、オリンピアン29人、パラリンピアン12人が参加しました。オープニングでは被災地の郷土芸能などのアトラクションが披露されたあと、ロンドンの名場面をまとめた映像がビジョンに流れ、今年の夏の感動と興奮が場内によみがえりました。
司会者の紹介に合わせて、選手が観客席の間を縫うように登場すると、観客が握手やハイタッチを求めて座席から身を乗り出し、選手もそれに応えながらステージへと進みました。ステージでは全選手が自己紹介を兼ねて一言ずつあいさつし、そのたびに場内には大きな拍手が鳴り響きました。
イベントでは7月21日のオリンピック日本代表選手団壮行会で宮城県内の子どもたちから送られた「がれきで作ったメダル」に感謝し、選手がメダルを作った子どもたちの首にロンドンで獲得したメダルをかけたり、抽選で選ばれた観客と選手が記念撮影を行ったりするなど、さまざまなふれあいが行われました。
最後に室伏選手が音頭をとり、場内全員で「がんばれ!ニッポン!」と拳を突き上げ、ふれあいイベントは閉幕。選手と東北のみなさんの笑顔があふれた時間になりました。
■「応援してくれた人にありがとうと言えてよかった」
イベント終了後、レスリング女子フリースタイル48kg級金メダリストの小原日登美選手は、東北のみなさんと交流したパレードとイベントについて「8月20日の銀座パレードに負けないたくさんの人が集まって、歩いていてもより近くでふれあうことができました。ネームボードなどを持ってくれる人もいて、握手や写真撮影もできてよかったです」とコメントしました。
出身地・宮城県のみなさんとふれあったフェンシング男子フル―レ団体銀メダリストの千田健太選手は「メダルが重いと言ってもらって、地元の応援をあらためて感じたので感謝の気持ちでいっぱいです」と感慨深げな表情で話し、同種目で仙台市出身の淡路卓選手は「応援してくれた人にありがとうと言えてよかったです。声をかけてもらったりして、地元は特別だと思いました」と笑顔をのぞかせました。
また、パラリンピック競泳の50m平泳ぎと150m個人メドレーで銅メダルを獲得した鈴木孝幸選手は、史上初のオリンピアン・パラリンピアンの合同パレードに参加したことについて、「ロンドンが終わってからこのように一緒に活動する機会をもらい、パラリンピアンとしてはうれしく思います。その分、オリンピックだけでなくパラリンピックも注目度が高まると思うので、これからも自覚を持って行動していきたいと思います」と語りました。
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