日本オリンピック委員会(JOC)は9月19日、広島市の広島国際会議場で第4回JOCスポーツと環境・地域セミナーを開催した。JOCをはじめ、各競技団体のスポーツと環境担当者のほか地元などから228名が参加。セミナーでは、JOCの環境保全の啓発・実践活動をはじめ、各競技団体の実践報告などを通じ、スポーツ界における環境保全の重要性が強くアピールされた。
■「スポーツと環境」の関係
冒頭に「スポーツと環境」と題する講演を行ったのは、日清食品陸上競技部の徳本一義氏。スポーツ選手自身の活動が温暖化と無縁ではないとの自覚のもとに、「我々は温暖化が地球に及ぼす影響を知らなければならないと思う。知ったうえで、どうしなければならないかを考えるべき」と語った。また、たとえ北島康介選手といえども水がなければ水泳ができない事実をあげ、「一流選手には、感動を呼ぶ力とともに訴えたいことを見る者に意識づける力がある」とし、みんなでよりよい環境を作っていくように、一流選手が先頭に立って訴えかけていくよう呼びかけた。環境や自然に感謝しつつ、徳本氏自身も「子どもたちにも機会があれば伝えていきたい」と決意を述べた。
■地球号に乗って頑張ろう
続いて、水野正人IOCスポーツと環境委員会委員、JOCスポーツ環境委員会の板橋一太委員長そして、同山口香委員の3氏が活動報告を行った。水野委員は、北京オリンピック大会での環境にかかわる話題を報告したあと、環境変化が想像以上に進行している現在の地球の状況を紹介し、「持続可能な循環型社会を創らなければならない」と強く訴えた。
板橋委員長は、スポーツ界にも環境対策が大切なことが知られてきており、各競技団体にも啓発・実践活動に努力してもらっていること、ポスター・バナーの掲示やチーム・マイナス6%の横断幕やパンフレットの作成・配布、さらには年次活動報告書を作成・配布していることなどJOCの広範な活動を紹介。「環境に理解のあるスポーツ環境アンバサダー(一般にもよく親しまれている人々)に色々な場面で活躍してもらっている。地球号に乗ってみんなで頑張ろう」と呼びかけた。
スポーツ選手のための環境スタンダード(行動規範)の必要性を語った山口委員は、柔道における取り組みを中心に報告し、「私も最初は何をすべきかわからなかった。実現できることから少しずつ気長に、お金がかからないようにいろいろなアイデアを出していきたい」と語った。
■「広島カーボンマイナス70」
セミナー後半は、開催地の広島市から、まず広島市環境局エネルギー・温暖化対策部企画課の細戸寿彦課長補佐が、広島市の環境対策の現状、そして長期目標として2050年度に二酸化炭素排出量の70%削減を掲げる意欲的な取り組みを個別に詳しく紹介した。
そのほか、広島陸上競技協会の浜正信常務理事、広島県ヨット連盟の沖田勇三事務局長、そしてサンフレッチェ広島のホームタウン推進本部地域貢献推進部工藤宏一地域担当課長の3氏が、それぞれの実践活動報告を行った。浜ア理事は、日本陸連のグリーンプロジェクトに賛同しての植樹活動や社会貢献活動などを、沖田事務局長は「子どもたちにきれいな海を残すこと」を願っての広範な海の清掃活動を、環境意識の高いサンフレッチェサポーターと共に取り組む創意あふれる活動を工藤地域担当課長は紹介した。
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