ロンドンオリンピックの卓球女子団体で銀メダルを獲得した平野早矢香選手、福原愛選手、平野早矢香選手が8日、ロンドン中心部のジャパンハウスで会見を行い、メダル獲得の心境を語りました。
――今の心境は?
平野選手 本当に北京オリンピックを終えてからの4年間、私たち3人もそうですし、日本チームとして、このロンドンでのメダルを目標に掲げて今までやってきました。本当に3人とも自分たちの100パーセントのプレーというか、そういうものを出して、結果がメダルにつながったということで、この舞台に立たせてもらってうれしく思っていますし、またいいチームメートに巡り合えて本当に感謝しています。
表彰台に上がった時は、今までにないくらいの感動があって、やっぱり今までのメダリストの方々が味わったような最高の(舞台で)ここに立たせていただいて、本当にうれしく思っています。
福原選手 今回、こうしてメダリストの仲間入りができたことを、本当に心からうれしく思いますし、これまで支えて下さったたくさんの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。今回のこのメダルは、皆さんがくれたメダル、今まで頑張ってきた20年の中で、皆さんがプレゼントしてくれたメダルだと思うので、日本に帰って皆さんにいい報告ができることをとてもうれしく思っています。
石川選手 初出場のオリンピックで本当に銀メダルが取れて、すごくうれしい気持ちでいっぱいです。すごく緊張したんですけど、先輩2人に引っ張ってもらって本当にのびのびと楽しくオリンピックを終えることできました。これからも本当に、今回の銀メダルを自信にして頑張っていきたいと思います。
――世界の頂上対決をオリンピックの場でやった感想と、今後もう1つ上のメダルを目指すためにどのようにしたいか。また、個人戦と団体戦の違いについても教えてください。
平野選手 今回、私は団体戦だけの出場だったので、団体戦はすごく入りやすくて、1試合目からまとまって、早く試合に慣れることができてよかったと思います。昨日の決勝戦も本当に自分たちの力を出し切ったという気持ちはありますし、ああいう舞台で初めて中国と決勝戦を戦うことができて、もっともっと強化しなければいけない部分もありますし、またやればもっとできるという気持ちも湧いてきました。
銀メダルということに関しても、メダル自体を目標にやってきましたから、すごく達成感はあるんですけど、中国というのがすごく大きく感じたので、今度はそれに向けて強化をして挑戦したいなと思っています。
福原選手 私は個人戦よりも団体戦の方がもともと好きですし、シングルスで負けてしまってからは団体で絶対頑張る、シングルスでメダルが取れなかった分まで、絶対にメダルを取るという強い気持ちで団体戦に臨みました。
昨日の団体戦の決勝では、私は1番(手)で、今回のオリンピックの金メダリスト(李暁霞選手)と試合をしたんですけど、ああいった大きな、夢の舞台でオリンピックの金メダリストと試合ができたことは、すごくいい経験をさせていただいたと思っています。今後に関しては、自分の中では今回のロンドンオリンピックですべてを出し切って、こうしてメダルを取ることができたので、ゆっくりと考えたいと思っています。
石川選手 決勝でプレーすることはすごくうれしかったし、中国の選手と試合をやって、本当に強いなとあらためて感じた試合でしたので、もっと実力をつけたいと思いました。個人戦と団体戦というのは全然違って、団体戦は個人戦より勢いがすごく大切なんだなと思ったし、試合の中で1番に出た人が勝ってくれたり、それで準決勝でもすごく勢いに乗っていい試合をすることができたので、3番(手のダブルス)ももっといい試合ができて、勝つことができたんじゃないかと思っています。
――福原選手に質問です。個人戦、団体戦を通じてのベストマッチは?
福原選手 ベストマッチはすべての試合と言いたいところなんですけれども、シングルスでベストマッチを挙げるとしたら、4回戦のオランダのジエ・リー選手に1−3で負けていて、そこからばん回して逆転勝ちした試合です。(守備的な打ち方を基盤とする)カットマンはもともとすごく得意な方ではないですし、しっかりと1年間カットマン(対策)の練習をしてきて、その成果が十分に出た試合だと思います。逆転勝ちをこのような大きな舞台でできたのは、すごく自信になりました。団体戦は、もちろん全部なんですけど、やっぱり準決勝で今回の銅メダリストの(ティアンウェイ・)フェン選手に勝った試合だと思います。
――石川選手は世界選手権で韓国に悔しい形で負けた試合があったと思うのですが、その試合は今回のオリンピックにどうつながっていますか?
石川選手 シングルスでは初戦ですごく緊張したんですけど、0−2からばん回して取れたことがすごくよかったなと思います。あとは団体戦の準決勝で、2番手と3番手ですごくいいプレーができたことが、自分のベストマッチだと思っています。ドルトムント(での世界選手権)で最後に負けてしまってすごく悔しかったので、その時とは全然違う気持ちで大会を終えられて、今はすごくうれしいです。
――「オリンピックのメダリストは普段、何を食べているのか?」と気にしている人たちがいます。体にいいから食べた方がいいと思うもの、それでもやはり食べられないという苦手なもの、苦手だったけど克服したものを教えてください。
石川選手 食べた方がいいと思うのは、やっぱり野菜。たくさん食べ始めてから体の調子がよくなったし、風邪もひきにくくなったんじゃないかなと思います。どうしても食べられないものは特にないです。
福原選手 私はずっと北京オリンピックが終わってから栄養サポートを受けていて、栄養指導もしていただいていて、毎食しっかりとしたバランスのよい食事を心がけていました。私は貧血を持っているので鉄分とかレバーとか、そういったものを多く摂るようにいつも心がけています。どうしても食べられないものは、ホワイトアスパラがちょっと苦手だったんですけど、最近になって生まれて初めて、卵焼きの中に入っていたものをいただいたらすごくおいしくて、たぶん食べられるようになったと思います。
平野選手 私はあまり好き嫌いがなく何でも。食べるのが好きなので、いつもよく練習をして、量もたくさん食べます。紅しょうがが少し苦手です。自分から進んでは食べないですけど、あったら普通に食べられます。
――「団体戦の方が好き」と話した福原選手に団体戦の魅力をお聞きしたいです。
福原選手 私は個人戦が嫌いというわけではなくて、同士打ちがすごく嫌いで、同じチームなのにどうして試合をしなければいけないんだろうと思ってしまうんです。でも団体戦だと絶対に当たることはないですし、後ろを振り返った時にチームメートが応援してくれたり、声をかけてくれたりすると、すごく心強くて。みんなで一緒に頑張るっていう、一つの目標に向かってみんなで力を合わせて頑張るという雰囲気がとても好きなので、団体戦が好きです。(今回は)本当に2人のおかげで銀メダルが取れたので、感謝しています。
――今一番、あるいは今後やりたいことを教えてください。
平野選手 行きたいところもたくさんあるし、やりたいこともたくさんあるんですけど、一番やりたいことは、自分のホームである大阪に帰って、会社のチームメートや社員の人たちに早く報告したいし、メダルをジュニアの子とかに触ってもらったりとかしたいです。
福原選手 特に何がしたいというのはないんですけど、こうして皆さんの力でメダルを取ることができたので、早くメダルを被災地とか出身地である仙台に持って帰りたいです。
石川選手 私も山口に帰って、地元の人や友達にメダルを見てもらいたいのと、時間があるか分からないですけどロンドンを少し観光できたらいいなと思っています。ビッグベンとか(笑)?
――これからメダルを目指そうという若い女性アスリートが日本にもたくさんいますが、メダリストとしてメッセージをいただけますか。
平野選手 本当に卓球界では初めてのメダル。どの競技でもそうですけど、卓球をしている小さい子にも強い子はたくさんいて盛り上がっているので、そういう子たちが今からオリンピックのメダルというものを夢というか目標にしてもらって(競技を)始めてもらいたいです。小さい時からの積み重ねで私たち3人はここにいると思うので、自分の目標に向かって頑張るということの素晴らしさを少しでも感じて頑張ってほしいと思います。
福原選手 私はこのメダルを取るのに20年かかりました。20年かかってもあきらめないでコツコツと目の前のことを頑張れば、夢はかなうんだなということが今回本当に分かりました。私たちも1日や2日でこういうふうになれたわけじゃないので、あきらめないで頑張ってほしいです。
石川選手 今回、銀メダルを獲得して、今まで卓球をやっていなかった子や、やっている子に「卓球って面白いな、頑張ればメダルを取れるんだな」というふうに思ってもらえて、卓球を始めたり頑張ったりしてもらえたらうれしいです。
――これまでにたくさんの涙を流してきたと思いますが、今回の涙の味はどう違いましたか?
福原選手 今回の涙は、本当にもう感謝の気持ちとか、そういった温かい涙だったと思います。
石川選手 ジャパンオープンの時(ボールを蹴ったと判断されて2度目のイエローカードを受け、一度は相手にポイントが加算され、涙を流して抗議。判定が取り消されてスコアも元に戻った)は少し動揺して泣いてしまったんですけど、ドルトムントでも負けてしまって、悔し涙ばかり流してきたので、本当にオリンピックでうれし涙が流せてすごくよかったなって思います。味? しょっぱいです(笑)。
平野選手 私も比較的泣き虫な方で、しょっちゅうつらいことがあると泣いちゃう方だし、感動することがあると涙が出てしまうんですけど、本当に今回は今までの中で一番、自分に感動して、メダルを取った瞬間、表彰台に上がった瞬間、国旗が揚がった瞬間、涙が止まらなかったので、今まで一番濃い涙だったと思います。
――世界ランクを上げるためにツアーを転戦しているが、これまでに何カ国ぐらい行ったのか? またワールドツアーの中での苦労を教えてください。
石川選手 私はジュニアの大会にも出させてもらっていたので、30カ国は行っていると思います。エクアドルなどの南米とか、試合から帰ってきて次の日にまた違う国に行ってということがあったので、いろんな国に行きました。
福原選手 30カ国前後は行っていると思いますが、空港に引っ越した方がいいんじゃないかと思ったぐらい、ずっと飛行機のお世話になっています。
平野選手 たぶん、私も佳純ほどじゃないと思うんですけど、それに近いぐらい(の国数)は行っていると思います。ヨーロッパとか一番遠いブラジル、チリとかまで遠征に行って、オリンピックレースが始まってからオリンピックまでの期間は、1カ月に試合がないことがないぐらい、みんな回っていたと思うので、私も飛行機の中が自分の家のような感じになっていたと思います。
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