ロンドンオリンピックは1日、体操男子個人総合が行われ、内村航平選手が金メダルを獲得。世界選手権3連覇中の王者がオリンピックでついに頂点に立ちました。個人総合の日本人の金メダルは1984年ロサンゼルス大会の具志堅幸司さん以来、28年ぶりの快挙。また、内村選手はオリンピックと世界選手権の個人総合の両方で優勝した初の日本人選手となりました。
内村選手の1種目目は団体戦決勝でミスをしたあん馬でしたが、「ここをしっかりやりきれば流れに乗っていけると思ったので、強い気持ちで臨みました」。幸先のいいスタートを切ると、続くつり輪、跳馬で高得点を記録して1位に浮上。その後は平行棒、鉄棒と難易度を落としながら順調にこなし、最後は得意のゆかで演技を終えました。無事着地を決めると、大きなガッツポーズ。92.690の高得点をたたき出し、世界王者の貫録を存分に示す圧勝でした。
「夢のようだった」という表彰式を終え、スタンドの声援に笑顔で応えた内村選手。視線の先にいたのは母・周子さんでした。オリンピック前、周子さんは内村選手に「一番声を出して、一番応援する」と伝えたそうです。その声はしっかりと届いていました。母の声援について、内村選手は「応援してくれた中で一番大きな応援で、一番パワーをもらえた応援でした。感謝の気持ちでいっぱいです」と語りました。
報道陣や関係者から祝福の言葉をかけられるたび、周子さんは「ありがとうございます」と律義に応対。「皆さんが満足していただけたら、それで十分です。ここ数日、今日のことを考えると、生きた心地がしなかったです。皆さんの期待が大きい分、がっかりさせたくないという気持ちは本人もあったと思うので、それが達成できてよかったです」と素直な心境を吐露しました。息子を見守る母としては、喜びはもちろんですが、日本中の期待に応えられたという安堵の思いも強かったのでしょう。
会場には親族も駆けつけ、声を振り絞りました。周子さんのいとこで体操仲間の白山みさおさんも「航平はよく頑張りました。団体戦で悔しい思いをしましたからね。執念の金メダルです」と話し、喜びを分かち合いました。試合後、周子さんを中心にできた輪からは、しばらく笑顔と歓声が絶えませんでした。
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