平成16年11月19日(金)、国立スポーツ科学センター(JISS)研修室で、(財)日本オリンピック委員会(JOC)主催による第1回スポーツと環境担当者会議が開催され、各競技団体、JOCパートナー等90名が参加した。
この会議は、平成13年度にJOCに設置されたスポーツ環境委員会が推進してきた啓発・実践活動をJOC加盟競技団体に報告し、活動への理解と協力を得ることを主旨として行われた。
会議の司会進行はJOCスポーツ環境委員会、水野正人委員長自らが務め、はじめに竹田恆和JOC会長が開会の挨拶を行った。挨拶の内容は次の通り。
JOCはオリンピックをはじめとした国際総合大会への派遣とこれに伴う国際競技力の向上並びにオリンピックムーブメントの推進事業という2つの事業を柱として活動している。
環境に関するオリンピックムーブメントの位置付けとして、国際オリンピック委員会(IOC)はスポーツ、文化、環境を3つの重要なテーマとして掲げている。
JOCでは2001年に環境委員会を立ち上げて活動を始め、2003年7月に全世界のNOCで初めてISO14001を認証取得(審査登録)した。引き続いてさらに関係者全員で環境保全に関心を持ち、活動するよう努力したい。また1年ごとに活動がひとつひとつ大きく実ることが重要である。
続いて猪谷千春IOC委員が、IOCは1990年初頭からスポーツと文化に「環境」を加えて真剣に取り組んでいる。1995年にはIOC憲章に環境が追加され、IOCスポーツと環境委員会が設置された(第4回IOCスポーツと環境世界会議は2001年に長野で開催)。スポーツを通じて次世代に素晴らしい地球を残せるように考えたいと、IOCの立場で挨拶を行った。
次に、JOCスポーツ環境委員会水野委員長から「スポーツと環境」についてレクチャーが行われた。
20世紀の2回の世界大戦経験は負の遺産も多いが、飛行機や自動車など文明を発達させもした。そして産業が発達するのと同時に地球も汚れ始めた。私たち地球号の乗員として環境保全の義務は全員にあり、選手や観客を含めスポーツ界も例外ではない。
環境保全のためのキーワードは「持続可能性」「持続可能な開発」であり、化石燃料の資源の利用を削減し、再使用の3つのR(Reduce、Reuse、Recycle)を実行することである。例えは、ゴミを細かく分別することや再利用を繰り返すことで限りなくゴミをなくす循環型の社会を目指す(ゼロエミッション)等。環境保全活動は小さなことの積み重ねであり、気長に忍耐力を持って継続し、確実に実行することが大切である。担当者がリーダーシップを発揮し、効果を現していただきたい。またJOCでは競技会開催時にポスター、パンフレット、バナーを用意し啓発活動に協力している。
最後に、競技団体等の環境への取り組み事例が紹介された。
・日本サッカー協会:Jリーグのリユースカップ、日本代表のクリーンサポーター制度。
・日本水泳連盟:ペーパーレス化への取り組み。
・日本スキー連盟:自然環境保護を考慮したコース設定。
・日本テニス連盟:テニスボールのリユース運動。
・日本スケート連盟:冷却方式のノンフロン化、アンモニアの利用検討。
・日本バレーボール協会:環境ポスターのパネル化。
・日本体操協会:炭酸マグネシウム(滑り止め、通称タンマ)使用の代替案検討。
・佐川急便:JOCオフィシャルパートナーとしてJOCとの連携により展開している子どもたちへの環境保護アピール運動。
その他参加者からは、分別ゴミ回収方法の改善(スケート)、環境保護ルールをつくる(セーリング)などの発言が聞かれた。
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