前夜の雨から一転、絶好のスポーツ日和となった体育の日の10月10日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター、西が丘サッカー場などで「スポーツ祭り2011」が開催されました。2009年より開催されているこのイベントは、1964年に開催されたオリンピック東京大会を記念し、国民がスポーツに親しみ健康な心身を培うという趣旨で祝日に制定された「体育の日」に行われています。今回は東日本大震災復興支援として招待された、福島の小学生約200人や首都圏に避難している子供たちも参加し、のべ1万3090人がオリンピアンとともにスポーツを楽しみました。
午前9時半より行われた開会式では、城井崇文部科学大臣政務官が「今日は、東日本大震災や東京電力の原発事故によりスポーツをしたくてもできない方たちも参加してくれています。オリンピックの代表として活躍した選手や、今後オリンピックでの活躍が期待される選手が皆さんの先生となって一緒にスポーツの楽しさや喜びを感じてほしいです」と開会宣言。荻原健司さん(スキー・ノルディック複合)や大山加奈さん(バレーボール)らが日本国旗、続いて黒木知宏さん(野球)らオリンピアンが主催団体旗を持って入場しました。トーチランナーのアニマル浜口さん、浜口京子さん(レスリング)親子が、「スポーツ祭りの火」を点火。その後、「子どもの体力向上啓発『ポスター』『標語』」表彰式が行われました。
■オリンピアンふれあい大運動会「全力を出せばひとつになれる」
開会式の後には「オリンピアンふれあい大運動会」が黒木さん、中村真衣さん(水泳)の選手宣誓で開始。荻原健司さん、荻原次晴さん(スキー・ノルディック複合)、宮下純一さん(水泳)ら15人のオリンピアンと500人の小学生が赤、青、黄、白、緑組に分かれて、大玉転がし、ムカデ競争、しっぽ取り競争で楽しみました。子供たちは広い競技場を縦横無尽に走り回り、オリンピアンと力を合わせて3競技で熱戦を展開。結果、白組が300点を獲得して優勝しました。白組のリーダーとなった黒木さんは「全力を出せばひとつになれるんです。皆さんよく頑張りました」と笑顔で語りました。
一方、陸上トレーニング場およびその周辺で行われた「オリンピアンふれあいジョギング」では、オリンピアンと老若男女が7組に分かれて約2キロのジョギングを行いました。参加した浜口京子さんは「いいお天気で気持ちよく走れそうです。皆さん気合で走りましょう」と“浜口流”の気合を注入し、子供たちとともに一斉にスタート。また大山さんも「走るのがすごく苦手で不安ですが、楽しく走りたいです」と、元気いっぱいの子供たちと一緒に汗を流しました。
■食事が技術向上の根幹を成す “勝ち飯”料理教室
午後、アスリートヴィレッジ内のサクラダイニングでは、「親子で体験“勝ち飯”料理教室」が行われました。抽選で選ばれた10組20人の親子が、潮田玲子さん(バドミントン)、小口貴久さん(リュージュ)、長岡千里さん(ボブスレー)、鶴岡剣太郎さん(スキー・スノーボード)らとともに調理を楽しみました。
「勝ち飯」とは、オリンピックを目指す選手が競技で勝つための体作りに適した食事方法を紹介するプログラム。サクラダイニングの管理栄養士でもあり、指導にあたった高橋文子さんは、「サクラダイニングでは“勝ち飯”を食べていただいて、皆さんにトレーニングに励んでもらっています。支える土台がしっかりしていないと練習の効果が上がらないため、食事からしっかりとらなければなりません」と、“勝ち飯”がスポーツの技術向上の根幹を成していることを説明しました。その後、家庭でも簡単に作れる「豚のしょうが焼き」と「シャキシャキレンコンの簡単ごまあえ」を調理。包丁に慣れていない子供たちにオリンピアンが手を添えて野菜を切ったり、「いいね、上手いね」と声を掛け合ったりしながら料理を完成させました。最初はオリンピアンを前に緊張していた子供たちも徐々に慣れ、笑顔で話しながら自分たちの作った料理に舌鼓を打っていました。
■スポーツ教室でオリンピアンらの直接指導
国立スポーツ科学センター、味の素ナショナルトレーニングセンターを初めとした付近の競技施設では20競技のスポーツ教室が実施されました。子供たちはオリンピアンから手取り足取りの直接指導を受け、最初はまったくできなかった子供も最後には体得できて楽しんだ様子でした。
赤羽スポーツの森公園競技場で行われた黒木知宏さんの野球教室では、キャッチボールなどの技術面はもちろん、仲間を思いやる気持ちなど、スポーツに取り組む姿勢についても指導され、子供たちも熱心に耳を傾けていました。
西が丘サッカー場で行われたサッカー教室では、ドリブルなどの技術練習をしたり、チームを作ってゲームを行ったりしました。指導にあたった元日本代表の本田泰人さんは「練習の積み重ねが上手くなる秘訣。あとは楽しんでやることです」と、未来の日本代表たちにエールを送りました。
そのほか、味の素ナショナルトレーニングセンター前の「憩いの広場」では、オリンピアンらが自転車スピードチャレンジに挑戦したり、スタンプラリーが行われたりするなど賑わいをみせました。また「東日本大震災復興支援ストリート」では、りんごや野菜などを販売する東北6県の物産展や、復興写真展など被災地を応援する活動も行われ、大盛況のうちにスポーツ祭り2011は幕を閉じました。
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