日本オリンピック委員会(JOC)は1月6日、第3回ユースオリンピック冬季競技大会(2020/ローザンヌ)の日本代表選手団 結団式を行いました。
ユースオリンピックは、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ前会長が2007年に提案した、15歳から18歳までのアスリート(※1)を対象とした国際総合競技大会です。オリンピックと同じく夏季・冬季に分かれ、それぞれ4年ごとに開催。冬季は第1回大会が2012年にオーストリアのインスブルックで、第2回大会が2016年にノルウェーのリレハンメルでそれぞれ開催されました。また、競技以外に大会期間中を通じて、さまざまな文化・教育プログラムが行われます。
式典には、日本代表選手団(選手団)117名(選手72名、監督・コーチ等45名)のうち、海外遠征または大会参加等の選手らを除く101名が出席しました。
最初に国歌斉唱が行われた後、主催者を代表して山下泰裕JOC会長が挨拶。山下会長はユースオリンピックの目的や意義、また過去のユースオリンピックに出場した選手たちのその後のオリンピックでの活躍に触れ、「この大会が人間力の向上に加え、競技力のさらなる飛躍、そして今後の競技生活における高いモチベーションの一つとなることを期待しています」と述べました。また、競技では最高のパフォーマンスを発揮するとともに、大会を通じて各国・地域の選手団と「エクセレンス(卓越)」「フレンドシップ(友情)」「リスペクト(敬意/尊重)」のオリンピックバリューを共有するなど、国際親善にも努めることを選手団に呼びかけました。
続いて、選手団の伊東秀仁団長をはじめ、田畑百葉主将(カーリング)、鍵山優真旗手(スケート/フィギュアスケート)、各競技の選手団を紹介。団旗授与では、秩父宮殿下よりご下賜の団旗が山下会長より伊東団長へ、そして伊東団長より田畑主将の介添えのもと、鍵山旗手へと授与されました。
次に、来賓を代表して鈴木大地スポーツ庁長官から祝辞が述べられ、「ここにいる選手の皆さんの活躍が、東京2020大会に向けた機運を大いに盛り上げることになるでしょう。また、本大会は2020年のその先の2022年北京冬季オリンピックの出場、活躍を目指すうえで非常に良い経験になると思います。皆さん、日ごろの練習の成果を存分に発揮できるよう体調管理にも留意され、日本代表としての誇りを胸に、すべての力を出し切って戦ってきてください」と激励しました。
選手団からは伊東団長が代表して挨拶に立ち、トーマス・バッハIOC会長の言葉を引用しユースオリンピック参加の意義に触れ、「日本代表選手団の皆さんは、この大会で一人ひとりがベストを尽くし、2022年北京、そして2026年ミラノ・コルティナダンペッツォで開催される冬季オリンピック出場に向け、世界を知る場として貴重な経験を積んでいただきたいと思います」と述べました。続けて、世界各国・地域の選手団と友好を深めることにも期待の言葉を寄せ、「今日でちょうど200日と迫る東京2020大会に勢いをつけられるよう、チームジャパンとして一丸となって戦っていきましょう」と呼びかけました。
最後に鍵山旗手介添えのもと、田畑主将が決意表明を行い、「私たちは第3回ユースオリンピック冬季競技大会の日本代表選手団に選ばれたことを誇りとし、学びの場であることを忘れず、チームジャパンとしての自覚と責任を持ち、本大会に臨みます。大会期間中は競技でベストを尽くすとともに、文化・教育プログラムにも積極的に参加し、競技・国を越えて世界の同世代アスリートと心と心の会話で友情を育めるよう、友好親善に努めます。そして、競技を始めたころから私たちに携わってくださり、日々支えてくださる方々への感謝の気持ちを忘れず、憧れの大きな舞台でフェアプレーの精神のもと、自分を信じ、仲間を信じ、選手団一丸となってオリンピックのモットーである『より速く、より高く、より強く』を意識し、冬季競技の魅力を世界に発信できるよう、常に全力で本大会に臨むことを誓います」と力強く宣誓しました。
大会は1月9日に開会式を行い、22日までの14日間で8競技81種目を実施します。
また、結団式終了後、選手たちは日本代表選手団として必要な知識習得及び自覚醸成、また、チームジャパンとしての一体感を育み、さらにユースオリンピックの理念を理解し、現地で文化・教育プログラムへの積極的な参加を促すことを目的とした研修会「Building up Team Japan for Lausanne 2020」に参加。本研修会での各種プログラムに先立ち、最初に伊東団長が「ユースオリンピックは様々な教育プログラムが組み込まれた大会でもあります。皆さんが他の競技の選手たちや、現地の人たちと友好親善を深めて、皆さんのこれからの競技生活に役立てていただきたいと思います」と挨拶しました。
次に、Athlete365 Education Program担当として現地に帯同するオリンピアンの石野枝里子さん(スケート/スピードスケート、2006年トリノオリンピック4位入賞)が、文化・教育プログラムの内容やスケジュール、過去大会において参加した選手の様子などを紹介。それらを踏まえ、今大会に出場する選手団にも文化・教育プログラムへの積極的な参加を呼びかけました。続いて、「Real Champion−真のチャンピオンとは−」と題し、日本アンチ・ドーピング機構の大黒ゆきこさんがIOCによるドーピング検査やその手順、医薬品を摂取する際の注意点などを説明。まとめとして、「違反にならないことが皆さんのゴールではなく、フェア、クリーンであることを皆さん自身が体現していくことが、スポーツの価値を守っていくこと、真のチャンピオンにつながっていく近道だと思います」と述べました。
次に「YOGとアスリートキャリア」をテーマにグループワークが行われました。JOC情報・科学サポート部門員である土屋裕睦教授(大阪体育大学)の進行のもと、第3回ユースオリンピック競技大会(2018/ブエノスアイレス)で旗手を務めた鏡優翔選手(レスリング)がゲスト参加。鏡選手が話したブエノスアイレス大会での経験、体験談をもとに、選手たちは「チームジャパンの一員として」「ユースオリンピックアスリートとして」などの視点から目標を設定し、それらをグループ内の他競技の選手、コーチたちと共有しました。グループワークの最後に鏡選手は「ユースオリンピックで一緒に頑張った仲間とは今でもつながっていて、お互いに励まし合っています。ユースオリンピックは本当に貴重な経験になるので、皆さんにも良い思い出にしてきてほしいなと思います」と選手団にアドバイス。また、2014年ソチ冬季オリンピックで日本代表選手団の旗手を務め、今大会にはカーリングのコーチとして参加する小笠原歩さんは「皆さんはライバルではなく、同じチームジャパンの仲間ですので、一人でも多くの友達を作ってください。また、世界でも多くのユースオリンピアンと友達になって、オリンピズムを体感して帰国してほしいと思います」とメッセージを送りました。
続いて、選手たちはSNSの使い方と注意点を確認。その後、JOCオフィシャルサポーターであるECCの協力のもと、英会話プログラムを受講。現地で想定される英会話に加え、異文化理解、国際人として必要な振る舞いを学びました。そして最後のプログラムで「日本代表選手団の心得」をテーマとした講義を受けました。上田大介JOC選手強化本部インテグリティ教育ディレクターから日本代表選手団の編成方針や行動規範が説明された後、選手たちは今回の研修会で学んだことを踏まえて本大会にかける意気込み、目標をアスリートノートに記入。最後にそれらをアスリート宣言として各グループ内の選手同士で共有し、また、グループの代表者が自らの目標を選手団全員の前で発表して研修会を締めくくりました。
※1 第1回夏季大会は14歳から18歳までのアスリートを対象
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