シドニー2000
がんばれ!ニッポン!シドニー大会レポート
最終聖火ランナーは、豪アボリジニ選手のキャシー・フリーマン
これまで見たことがなかったような、大掛かりで幻想的な聖火点火だった。
アトランタに続き、聖火リレー最終ランナーは最後まで極秘とされ、推測が飛び交っていたが、最後に聖火台の前に立ったのは、アトランタ400m銀メダリストの、キャシー・フリーマンだった。 まず、元メダリスト、ベティ・カスバートとレレーヌ・ボイルによってオリンピック・スタジアムに運び込まれた聖火は、東京オリンピックで3大会連続の金メダルを達成した水泳の偉人ドーン・フレイザー、金メダル3つを保持するシェーン・グールドらの手を巡り、ついに、どよめきの中、現われたフリーマンの手に手渡された。
そして、北側のスタンドの上から水が流れ落ち、スタンド中央に滝ができると、フリーマンは聖火を手に階段を上り、体を中心に円を描くように、水に覆われた床に火を灯した。フリーマンの回りを取り囲んだ炎の輪は、自動的に上方に登り、そのまま聖火台としてスタンド最上段におさまった。
IOCサマランチ会長が、開会の挨拶で原住民アボリジニが抱える問題への同情と遺憾の気持ち(現在、彼らへの過去の待遇・差別の問題が豪州で話題となっている)、そして将来への希望を表現したこともあり、最終聖火ランナーとしてのアボリジニ選手フリーマンの抜擢は、平和と融合への祈りを象徴するものだった。