北京2022冬季大会のフィギュアスケート女子シングルと団体で2つの銅メダルを獲得した坂本花織選手が18日、記者会見に出席し、メダル獲得の心境を語りました。
■「4年後のミラノに向けて今まで通りではいけない」
――シングルでも銅メダルを獲得し、一夜明けた現在の感想をお願いします。
一夜明けて少しずつ3位になった実感が湧いてきていますが、メダルが決まった瞬間の嬉しい気持ちは今も変わらずあり続けていますし、ここまでよく頑張ったなとすごく思います。
――坂本選手の明るくて人に優しい性格は、ときに競技という戦いの場では不利なることもあるのではと感じていますが、気持ちの部分で調整することなどはありますか?
皆さん自分の性格はご存じかもしれませんが、とにかく“明るく元気に”というのは幼い時から変わらなくて、それが演技に生かされることもありますし、元気が良すぎて暗めの曲だと「いまその笑顔いらない」などもよく言われています。人に優しくするというのは自分がそうしたいからしているのであって見返りを求めているわけではなく、本当に自分が思っていることがそのまま行動に出ているので、それが競技に生きているかは分かりません。ですが、例えば今回でいうと(河辺)愛菜ちゃんや(樋口)新葉がこの大舞台でトリプルアクセルにチャレンジしているのを見て、精神的な強さを見習って自分も頑張りたいなと前向きなプラスの気持ちに変換できましたし、この競技と自分の性格は合っているんじゃないかと思います。いつも緊張しました、緊張しましたとは言ってるんですけど(笑)、緊張するのはいつも練習でノーミスができていてそれが試合でできるかという不安からだと思います。それくらい先生に厳しくされながらも毎日追い込んでいる、という事実があるからこそ試合ですごく緊張するのかなと毎回思っています。
――いま食べたいもの、やりたいことはありますか?
オリンピックが終わって食べたいものは、レバーと砂肝です。やりたいことは、ユニバ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行きたいなとすごく思っています(笑)。
――中野(園子)コーチが競技後のインタビューで「新たなジャンプを習得すれば4年後にもっと良い色のメダルを狙える」とお話していましたが、現時点での4年後への気持ちを教えてください。
大学生になる頃は、最も調子が落ちていた時期だったこともあり、大学卒業とともに「絶対引退してやる!」と思っていました。でも、気が付いたらもう大学3年になっていてもうあと1年しかできないと考えると心残りで、全然まだ跳べるのに辞める必要はないなと感じていて、4年後の25歳でもまだまだ跳べそうだなと思っています。今回のオリンピック(の代表)に決まる前から次のオリンピックも目指そうと思うようになっていましたし、4年後のミラノに向けて今まで通りではいけないと思っていますので、帰ってから大技も含めてしっかりと練習していきたいと思っています。
――ジャンプの大技の種類や、どのあたりから取り組み始めるか決まっていたら教えてください。
正直なところアクセルは恐怖心もあり思い切ってできていなくて、4回転よりも難しいなと感じています。4回転をやるならトウーループかループかなと思っていますが、その日によってトリプルの調子も変わってくるので、まだ分かりません。練習は世界選手権が終わってからになりますが、振り付けの練習が始まるとそれがメインになってしまうので、なるべくその前にスタートしていきたいと思っています。
――ジャンプもそうですが、世界の潮流について感じていることを教えてください。
今回は技術点だけではなく5コンポーネンツでも自分が思っていた以上に点数が出ていて、やっと表現やスケーティングが認められたのかなと感じています。ただ、それだけだと限界もあって、やっぱり技術点で稼ぐところを稼いでいかないとロシアに対抗できないことは目に見えて分かったことなので、オフを有効活用して来シーズンに向けて頑張りたいなと思っています。
■「ロシア選手は常に追いかけさせてくれる存在」
――昨日の試合であえてスピードを落とすなど自己分析もできていたが、その点についてはいかがでしょうか?
よく朝の練習などで全く体が動かないときにセーブしながらやっていて、どんな状況でもノーミスでやるということを練習でやってきていました。昨日の試合も途中から試合というよりいつもの朝練という感じがあって、ノーミスでできたのは良かったですが、魅せる部分でもう少しできたのかなとも感じています。
――中野先生について「厳しめのママ」と表現されていましたけど、(振付師の)ブノワ・リショー先生を例えるならどういった表現になりますか?
ブノワ先生は年齢的に私の姉とほぼ同い年なのですが、「お兄ちゃん」というのはちょっと違うかな、「いとこ」くらいですかね(笑)。
――「メダルを獲得するには運と努力が必要だった」とお話してされていましたが、運を味方につける方法があれば教えてください。
自分が感じているだけなので本当にそうかは分かりませんが、とにかく何が起こってもプラス思考でポジティブに変換することが、気持ちを落とさず前向きに進んでいく方法かなと思います。あとは身の回りの整理整頓とか、いつも試合前に家を掃除するのですが、何かこれも運のひとつかなと思いながらいつも掃除しています(笑)。
――河辺選手が「オリンピックは練習時間が限られていて調整が難しい」とお話されていましたが、序盤の団体戦から終盤の個人戦まで長期間にわたってパフォーマンスを維持できた要因はありますか? また調整に関して樋口選手や河辺選手とお話したことはありますか?
序盤の団体戦はいつもの海外試合と同じように移動から数日後に試合だったので、調子を落とさず日本で調子が上がっていたまま思い切って演技ができ、疲労もなく良い試合だったと思います。団体戦が終わったあと調子が落ちてしまったのですが、個人戦が近づいてきたら自然と調子も上がってきたので、シニアに上がってからの経験が生きているのかなとすごく思いました。また、日本にいるときから短い時間で集中して練習することを取り入れていたので、それもちょっとは生かすことができたと思います。ただ、あと2日くらい(試合までの期間が)長かったらきっとボロボロになっていたと思いますし、昨日が限界だったと思います。
愛菜ちゃんは結構自分のペースで行動していたので談笑くらいしかできなかったのですが、新葉とは団体戦の前に「アクセルをトリプルにするかダブルにするか」という相談を受けたり、個人戦の時もフリーで最終グループに入ってロシア(ROC)のメンバーと滑るとなったら空気感が全然違って「いるだけで緊張する」と言っていて。自分もショートの時に感じていたのでそれは慣れるしかないし、「でも新葉はやるべきことをしっかりやれると思うから大丈夫」とか、とにかく思うことをお互い口に出してほぐし合うようにしていました。
――坂本選手にとってロシア勢はどういった存在でしょうか?
ロシアの選手ついては、毎年4回転を跳ぶ選手が滞りなく出てきて驚かされますが、自分より上の選手と競えるのはありがたいです。それを見て4回転は必要なんだなと感じるので、常に追いかけさせてくれる存在だと思っています。
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