8月28日、アテネ・オリンピック自転車の最終種目、マウンテンバイク・クロスカントリー男子が、アテネ近郊のパルニサ・マウンテンバイク会場で行なわれた。午前11時のスタート時間が迫るにつれ、会場は自国選手の応援に駆けつけた人々で一杯になった。スタート20分前、参加する52選手の名前が実績順にコールされスタート位置に着いていく。日本からただ一人出場する竹谷賢二選手も名前を49番目にコールされ、大きな声援に手を振って応えながら笑顔でスタート位置に着き、レースは始まった。
号砲と同時に最前列スタートの実績上位選手たちが一気に飛び出し先頭争いを演じる。
隊列に変化があったのは1周目・第2ループの登り。ここまで常に前を走っていた5〜6人の中からオランダのブレンジェンス選手、フランスのアブサロン選手、イタリアのブイ選手が抜け出しトップグループを形成。2周目に入って、この3人にスペインのエルミダ選手、フランスのペロー選手が加わりトップグループは5人となった。3周目に入るとフランスのマルチネス選手が追いつき、一時トップグループは6人となるが、実質的にはブレンジェンス選手、アブサロン選手、ブイ選手、エルミダ選手の主導でレースは中盤に入った。
中盤エルミダ選手が第1ループの登りで動き、一気にスピードを上げ抜け出しを図った。これを追うのはアブサロン選手、ブレンジェンス選手の2人。この3人は第2ループの下りで合流し、新たなトップグループを形成、後続に36秒の差をつけて5周目に入った。
今度はアブサロン選手が動いた。最初の登りで猛然とスパート。他の二人を引き離しにかかる。サドルから腰を浮かし力強いペダリングで急坂を登る。エルミダ選手、ブレンジェンス選手も必死に追うがスピードが違う。あっという間に20秒近い差がついてしまった。アブサロン選手のスピードは、最終周回に入っても衰えることはなく、結局1分のアドバンテージを維持したままゴール。母国から駆けつけた大勢のサポーターとともにその勝利を祝った。またフランスにとっては、今大会自転車ではロード、トラック通して初の金メダル獲得となった。
日本の竹谷選手は完走ペースで終盤まで健闘したが、6周目に転倒するアクシデントでタイムを落とし、結局1周を残して規定タイムに30秒届かず無念のラップアウトとなった。
関連リンク
CATEGORIES & TAGS