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『未来のオリンピアン』

オリンピックコラム

吉田沙保里選手に勝ってオリンピックへ。

向田 真優(レスリング)

吉田沙保里選手の存在

「(吉田)沙保里さんに勝ってオリンピックに行きたい」という思いで53キロ級を選択(写真:魚住貴弘)
——昨年はユースオリンピックに出場して金メダルを獲得しました。

 1回戦は自分でも納得がいくレスリングができなかったのですが、2回戦からは気持ちを入れ替えて、どんどん調子が上がっていきました。でも、準決勝と決勝の間が5時間くらい空いたため、気持ちの整理と集中が難しく、結局は決勝でも納得のいく試合はできなかった。それでも金メダルが取れたのは、いい環境で練習ができているおかげだと思います。

——オリンピックに対する意識も高まったのではないですか。

 ユースオリンピックも会場のいたるところにオリンピックシンボルがついていたので、気持ちが高ぶって今まで以上に緊張しました。ユースオリンピックで金メダルを取れたことはうれしかったけど、重要なのはオリンピック本番で金メダルを取ること。リオデジャネイロオリンピックの予選では同じ階級に吉田沙保里選手がいるので、まずその試合に勝たなければいけません。とにかく自分のレスリングをすべて出し切りたいです。

——吉田選手は大きな存在ですね。

 リーダーシップがあって、合宿で一緒になると練習の雰囲気を明るくして、全体を引っ張ってくださいます。最近はスパーリングをしてもらう機会も増えました。昨年の夏は自分の得意技が決まってポイントが取れることもあったので、少し近づけているかなと思ったのですが、今年に入ってから沙保里さんがさらに強くなって、また遠い存在になったようにも感じています。
 沙保里さんに勝ってオリンピックに行きたいと思い、階級も沙保里さんと同じ53kg級に決めました。沙保里さんに勝つことは簡単ではありませんが、練習を積み重ねていきたいです。

——強化すべきポイントは。

 怖がらないことと、自分から下がらないこと。まずは、守りを固めて相手の懐に入っていく練習をしなければいけません。沙保里さんと対戦する時は、自分が攻める展開になりますが、そこをいつもカウンターで合わされます。つかまらないように警戒しつつ、自分からどんどん攻めていきたいです。

——向田選手の長所は。

 周りの方からは“すかしタックル”(ハイクラッチとも呼ばれる片足タックル)がいいと言われます。一時期、相手に研究されてポイントが取れなくなり、もうこのタックルはやめようと思ったこともあったのですが、相手に研究されたから使わないのではなく、ポイントが取れるようにもっと工夫することが大事。そう考えるようになってからは試合でもよく使うようになり、相手にも効くようになりました。

東京2020での活躍

南京ユースオリンピックでは金メダル。東京2020大会にかける思いは強い(写真:フォート・キシモト)
——向田選手もエリートアカデミーで最高学年になりました。

 以前に比べれば、後輩に教えることも多くなってきました。自分自身、練習中に声を出すことは好きなので、沙保里さんのように声をかけながら、みんなを引っ張っていく存在になりたいと思います。

——2020年には東京でオリンピックが開催されます。向田選手はどのような気持ちで5年後を見据えていますか。

 東京オリンピック開催が決まって、すごくうれしかったです。オリンピックに出場すれば、地元や中学時代の友達にも自分がレスリングをしている姿を見てもらえます。もちろんリオデジャネイロオリンピックも狙っていますが、東京オリンピックにかける思いはさらに強いです。

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